ポッキーゲーム
「ポッキーゲームしようよ」
帰り道、君はそう言った。
そして半ば強引にポッキーの先を僕の口に入れた。
「目開けちゃだめね」
彼女もポッキーを咥えた。
僕は目を閉じた。
「かじって」
言われるがまま僕はポッキーを少しずつ歯で砕いた。チョコの甘くてほろ苦い味がふわっと口に広がった。
大分時間が経った。
チョコの味なんかもう感しない。
君の髪の毛のいい香りと、少しお酒の匂いがする。
君が僕の首に腕を回した。
耐えられず、僕は目を開けてしまった。
「目開けちゃだめって、言ったのに」
そう言って君は明るく笑いながら僕を見つめた。まるでコルクボードにメモでも貼るかのように、君は僕を釘付けにした。