09 そうだ、農場を作ろう!
昼食の準備の為に厨房へ向かうと、そこには新しい大量の食材が置かれていた。
ハハハ。これで食材に悩むことはなくなりそうね。
野菜には当分困らなそう。
お塩にも。
あとは、卵とかミルクとかも欲しいわねぇ。
「これさぁ卵って、城に中で鶏飼えば良いんじゃないかしら?」
「そしたら、ある程度毎日卵には困らなくなるわよねえ?」
「なんなら、ヤギとか飼えばミルクもとれるんじゃない?」
「牛いるのかなあ?」
「後で聞いてみよーっと」
トマトが大量にあるし、卵もあるから、オムライスにしよう!
多少麦飯混ぜてもいけるでしょうオムライスなら味がついているし。
早速、小太郎くんに手伝ってもらって「オムライス」を完成させた。
「さて、持っていきましょうか」
台車に乗せて、若様の部屋に向かう。
昨日の夜、台車を作ってもらったのだ。
これあると便利だわ。
なんだかんだ言って、この小太郎くんって器用なのよね。
料理はできるし、日曜大工はできるし、おまけに気が利く。
優しいし、癒されるわ~~
「どうかされましたか? 花音様?」
「いえ。いつも手伝ってくれてありがとうね。小太郎くん」
「おやめください。私などに、礼を言われるのは」
少し照れくさそうに言う。
「お昼ご飯ですよ~」
若様の部屋に入る。
綺麗に静かに座って待っている三人の姿を見て、吹き出しそうになった。
「どうかされましたか?」
彩京様が言う。
「いえ……」
「プププ」
「言いたいことがあるなら申してみよ」
「いえ。お待ちかね? のようですね?」
笑いを堪えるのが精一杯だ。
だって。皆さん、餌を待つ忠犬のように……
「ぷぷぷ」
「これ、失礼だろ」
永建さんが苦笑いした。
「いえ。すいません。直ぐご用意しますね」
いつものように四人分を用意し、配膳する。
流石に誰ももう突っ込まなかった。
「して、これは?」
「これはですねぇ」
「『オムライス』と言う料理でして、中のご飯はトマトを使用し味をつけるんです。
だから、麦も混ぜても分かりにくいでしょ?」
「なるほどな」
「飯に味をつけるとは。なかなか考えた料理でございますねぇ」
概ね好評のようだ。
昼食時間も無事終わったところで、私は若様に言った。
「翔陽様、お願いしたいことがあります」
「ん?」
「まだ何かあるのか?」
「鶏を城で飼いませんか?」
「ブッ!」
お茶を飲んでいた永建さんが吹き出した。
汚いなぁ……
「何と申されました?」彩京さんが聞く。
「鶏をお城の中で飼育したいんです」
「それは何故だ?」
「卵をですねぇ……鶏を城内で飼育すれば、毎日新鮮な卵を食べることができますよ」
「卵は滋養にも良いですし、せめて城内の皆さんが新鮮な卵を食べれる環境を作りませんか?」
「お前……この城に何人居ると思っているんだ?」
「いえ、流石に毎日は無理なのはわかってますよ?」
「それに一人1個じゃなくても、卵を使った料理でもいいですし」
「沢山、卵がとれるようになれば、領民にも格安でお分けして差し上げたらいいし」
「鶏が卵を産まなくなれば、ね? 最悪は食べる……」
「もう一つお願いが!」
「まだあるのか……」
ちょっと頭を抱えている様子だ。
「ヤギとか飼えませんかねえ?」
「ブッ」
今度は彩京様が吹き出した。
もう皆さんお行儀悪いわねぇ。
「ヤギの乳を搾れば、新しい鍋料理や、食材もできます」
「チーズと言って、保存食品にもなりますから、栄養価もとても高く、戦にも持っていけます!」
「うちの城は、畑に、家畜か? 農場になるのだな」
「ハッ、ハッ、ハッ」
「まぁ良い」
「畑を作る時点で、もはやもう見栄などないわ」
「まさかとは思うが、卵も大量にとれるとかはないだろうなあ?」
「え?」
「流石にねぇ? それは?」
…………
何故みんな黙る?
それはないでしょう。流石に
卵は鶏が産むんだし……
ねえ?
おい! 黙るなよ みんな!
「とりあえず? 手配しましょうか? 若様?」
恐る恐る聞く彩京さんに
若様が言った。
「極秘に進めろよ!」
いやいや、考えすぎでしょう?
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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