10 未来に馳せる
「おい、領内を視察に行くがついてくるか?」
「行く!」
「なら、ついて参れ」
馬屋の前にたどり着いた。
やっぱりこれよね……
悪夢が再び……
「おい! 今日は吐くなよ!」
人が触れられたくないことを……
「それとも、後から走ってついてくるか?」
いやーーーーそんなの
首を横に振る。
若様は馬に、蹴上がる。
「さっさとしろ!」
睨まれた。
え? これ一人で乗れってこと?
「あーーーーもうめんどくせぇなぁ」
「だから、女は」
「チッ」
え? 舌打ち? ひどくね?
しかも、自分がついてこいって言ったくせに。
手を差し出してくれたが、届かない。
こいつ絶対わざと届かないところに手を出したろ?
むぅ……
しかたなく、台を借りて、よじ登る。
てか、見てないで、手伝ってよ!
ちょっと優しいかも?
って思ったの損した!
やっぱり俺様じゃんか!
「行くぞ!」
「ちょっと待ってよーまだ、ちゃんと乗れてー」
「きゃーーーーーー」
「うっせえぞ! 黙ってつかまってないと舌噛むぞ! あほ!」
「あほって言う人があほなんですぅー」
「あ?」
「落とすぞお前!」
すいません……
でも、あほってひどくね?
なんか私、毎回あほって言われているような気が
気のせいよねえ?
命の恩人ですよ? 私
もはや忘れてませんか?
「着いたぞ!」
「降りろ!」
「降りれません……」
「あーーーーめんどくせぇ女だなあ」
「待ってろ!」
若様がヒラリと馬から降り、そのまま、私を抱えた。
「ひぇーー」
「うるせぇ女だなぁ」
「すいません……」
「ここだ」
「若様! 例の塩でございますが、こちらへ」
「どうだ? 進んでいるか?」
「はい。現在、急ピッチで袋詰めをしております」
「足りない物があれば、申し出るように」
「ありがとうございます」
「これで、工夫達を労ってやれ」
懐からお金のような物を出し渡していた。
意外……
タキさんが言ってた通り、
思ったよりいい人なのね。
「何だ?」
「いえ……」
「行くぞ!」
「え? もう行くんですか?」
「嫌ならそこにいろ!」
「嫌なんて言ってないじゃない」
「さっさとしろ!」
繋いだ馬の元に早足で歩く若様に、急いで走ってついて行く。
「はぁーーめんどくせぇなぁ」
と、言いながら手を差し伸べる。
なんとか馬によじ登ったと思った瞬間、若様が蹴上がり、馬が駆け出す。
ちょ! 一言いってよーーーー
「きゃーーーーーー」
「お前、マジでぶっ殺されたいのか?」
「だってぇー ギャーーーー助けてぇーー」
「着いたぞ。さっさと降りろ」
だーかーらー
若様を睨むと
「チッ」
手を貸してくれた。
そこから、少し歩くと
そこには、荒れた田畑の姿が広がっていた。
それを一生懸命耕している農民達。
活気がなく、みんな疲れたような表情だ。
倒れてしまった麦穂を刈り取り束ねていた。
そこには矢が刺さったままの荒地も多数残っていた。
思わず、目を覆いそうになった自分を恥じた。
平和な日本で育った私にはあまりにも、ソレは衝撃的な光景だった。
「どう思った?」
若様の問に私は答えることが出来なかった。
「俺は、こんなくだらないことを終わらせる」
「その為にはどんな犠牲も払うつもりだ」
「その為に、俺は戦い続ける」
「俺の夢を実現するために」
「この国の未来の為に」
「俺についてこい!」
「夢の先をお前にも見せてやる!」
そう力強く言った彼の顔は、遠く未来を見据える
真っ直ぐな鋭い目だった。
私は私にできることをやって、少しでもみんなが豊かになれるように頑張ろうっと。
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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