01 プロローグ
※思いのまま書いたご都合主義なところや、矛盾点が多くありますが、あまり気にせず軽い読み物として読んでください。
「花音ちゃん、これ持って行きな」
「今日も病院寄ってから行くんだろ?」
「うわ! 綺麗なお花!」
「おばちゃんいつもありがとう。」
「大好き!」
「お母さんもきっと喜ぶわ」
「いいってことよ。このくらい。」
「気をつけて行ってきな」
「はーい!」
笑顔で私は自転車をこぎながら手を振り商店街を抜けた。
学校へ行く前の1時間だけだが、この八百屋でバイトをさせてもらっていた。
そして、学校から帰ると、今度は隣の食堂でバイトをしている。
お母さんと二人暮らしの私は、働き過ぎで数年前倒れてしまった母を支えながら学校に通う毎日だった。
────キーンコーンカーンコーン
チャイムの音がする。
「セーフ!」
「花音! セーフじゃないわよぉ! まったくもう」
「ごめんごめん。おはよ早紀」
「ほら、早く席に着かないと!」
「うん!」
いつものように親友の早紀ちゃんと挨拶を交わし席に着く。
朝から最悪、大嫌いな数学の時間だ。
「えーこの時Xに~代入して~~aの項が……」
段々呪文のように…… 眠い。
ガラガラガラッ
突然教室の入口の戸が開いた。
「羽村。羽村花音はいるか?」
「急ぎついて来なさい!」
「え?」
「今? 私の名前呼ばれた?」
「花音!」
早紀ちゃんが私を呼ぶ。
「う、うん」
立ち上がり、先生の後をついて行く。
「羽村、落ちついて聞きなさい」
「先程病院から電話があり……」
頭の中が真っ白になった。
その後はどうやって病院にたどりついたのか覚えていない。
目の前のお母さんの変わり果てた姿を見て……
「おかあさーーん! お母さん! なんで!」
「何でなの?」
「私を一人にしないで! お母さん!」
真っ暗な部屋に私は一人で膝を抱えて座っていた。
お母さん……
今までお母さんが倒れてから、私は一度も泣いたことがなかった。
私の笑顔が大好きだと言ってくれた母の為に。
笑っていれば、頑張っていれば、
お母さんの病気も必ず治ると信じていた。
おかあさん……
私を置いていかないで……
もう頑張れないよ……
明日から一人でどうやって生きていけばいいの?
もういっぱい頑張ったからいいよね……
◇◇◇
────ドーーン! カキン、キン
「探せ! 必ず探し出せ!」
「まだ近くに居るはずだ!」
「必ずヤツの首を持って帰るぞ!」
ワーーーワーーーー キン、カキン
「え?」
「何これ?」
「え? 時代劇の撮影?」
「何で?」
「家に居たはずよね? 何で?」
シュッ。
イタっ! って何これ?
痛みがした自分の頬に手を当てると、血がついた。
「え?」
「ちょっと待ったぁ!」
「なんじゃこれえ!」
驚き、足が震え、その場に座り込んでしまう。
足元の草むらには一本の矢が刺さっていた。
「え?」
「もしかして本物?」
ド、ド、ドドド。 ドーン ワーーーー
「ええい! 早く見つけんか! 暗くなるぞ!」
「殿! あちらに駆けて行く馬が!」
「よし! 直に向かえ! ついてこい!」
「ちょっと? 何これ? やばくない? これ?」
「ここに居たらこれマズイ感じじゃない?」
「うん、絶対これダメなヤツ!」
草むらを小さく身体を隠し這いながら進むと、
小さな古びた小屋のような建物を見つけた。
「とりあえず、あそこに入って、一旦整理しよう」
「うん、それがいい」
恐怖のあまり独り言が多くなっている自分に気づかない花音だった。
「誰かいますかぁ? いませんかぁ? はいりますよぉ?」
ギィーッ
古びた小屋のドアを少しだけゆっくりそっと開けて隙間から中を確かめる。
「誰もいないみたい?」
「とりあえず、ここで今の現状を整理しよう!」
「うん。そうしよう!」
「お邪魔しまぁーす。入りますよぉ?」
ゆっくりと小屋に足を踏み入れる。
木箱の上にとりあえず座った。
えっと……
てか! ここ! どこぉーーー!
「これどう見ても、現代の日本じゃないわよねぇ?」
映画のセットにしてはあまりにも……
そっと、小屋の木壁の隙間から外を眺めるが、荒地には沢山の矢が刺さったままで、甲冑を纏った兵士のような人達の死体が散乱していた。
「でも? 日本じゃない? 西洋の鎧ともちょっと違う感じだし?」
「これ、どうやって帰ったらいいんだろ……」
「てか、帰れるの私??」
独り言をブツブツ呟いていたら
ガサッ。ウッ……
?
人の声?
音がした方に視線をやると、
背中に矢が刺さったままの男性が血を流しながら、横たわっていた。
「ひぇーーーーー」
これダメなやつだ……
さようなら。私の短い人生……
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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