第49話:ファーム王国から使者がやって来ました
「とにかく、王太子殿下の実の父親をまずは探しましょう。多分その男性が、ポレスティレイ王国と何らかの関係がある可能性が高いですし」
「そうだね。とにかく、兄上は怪我を治す事に専念して欲しい。僕たちは引き続き王宮図書館に行って、ポレスティレイ王国に関する記述を読んでみるよ」
「それで、クラウド様。次に王宮図書館に行く日は決まったのですか?」
「それが、まだ父上と話しが出来ていないんだ!兄上の件もあって忙しそうで、中々父上に話しかけられなくてね。それに僕が父上に近づけない様に、王妃が邪魔をして来るんだよ…」
そう言って苦笑いをしているクラウド様。
「わかりました。とにかく、出来るだけ早く陛下に話を付けてくださいね!」
クラウド様に念押しをして、一旦王太子の病室を後にした。それにしても、王太子が陛下の実の子供ではなかっただなんて!そもそも、そんなストーリーは小説にはなかったわ。きっと私が悪役令嬢をやめた時点で、話しが一気に変わってしまったのね。
「ミレニア、今度は何を考えているのだい?」
馬車の中で一言も話さない私を不審に思ったクラウド様が話しかけて来た。
「まさか王太子殿下が陛下の子供ではなかったという事に、驚いていただけですわ。それでクラウド様は、今後どうしようと考えているのですか?」
「僕かい?正直、王位は兄上が継ぐものだと思っていたからね。今は何も考えられないよ。ただ、兄上の事はしっかり守りたいと思っている。兄上には借りがあるしね」
そう言えば、クラウド様断罪事件の時、王太子が“貸し1だ”と言っていたわね。それにしても、我が儘で自己中だった王太子が、まさか自分を犠牲にしてまでクラウド様とソフィー様を助けたいと思うなんてね。さすがヒーローだわ。
「クラウド殿下、ミレニア様。どうかマシュー様をお願いします。本当は私が何とかしたい所なのですが、生憎私は男爵令嬢。地位も無ければ力もない!本当にただの役立たずなんです」
そう言って涙を流すソフィー様。
「ソフィー様は役立たずなんかじゃないわ!ほら、泣かないで。きっと今の王太子にとって、ソフィー様は心のよりどころでもあると思うの。今まで通り、笑顔で王太子殿下を支えてあげて。それだけで、十分王太子殿下の為になるから」
「ありがとうございます…ミレニア様。そうですよね。私に出来る事をするしかないですよね。そうだわ、今度マシュー様がお好きな、お肉入りサンドウィッチを差し入れいたしますわ!」
急に元気になったソフィー様。そんな話をしているうちに、公爵家に着いた。
「それでは私はサンドウィッチの準備がありますので、これで!」
そう言うと、猛スピードで屋敷に入って行ったソフィー様。
「クラウド様、良かったらこの後、公爵家で私のスペシャルマッサージを受けませんか?」
「いいのかい?それは嬉しいな」
ここ数日、王太子とソフィー様の事で、クラウド様とイチャイチャする時間が無かった。それに、クラウド様の肉体美も拝みたいし。何より、じっとしているとどうしても王太子の今後を考えてしまう。
一度クラウド様の肉体美を拝みつつ、気持ちをリセットしたいと思ったのだ。早速客間へと案内し、アロマオイルを準備する。
「クラウド様、今日はどのオイルにしますか?」
「そうだな、今日はバラにしようかな」
「それでは早速服を脱いでください!」
私の言葉で、服を脱いでいくクラウド様。美しい肉体美が露になり、一気に鼻息が荒くなる私。
あぁ、クラウド様の美しい体に早く触りたい!!そんな感情を何とか抑え、ベッドに横になってもらった。そしてゆっくりとアロマオイルを塗っていく。
クラウド様の生肌にまた触れられるなんて、なんて幸せなのかしら。ダメだわ!鼻血が出そう…
マッサージをすると言う名目で、思う存分クラウド様の肌を堪能していく。これはどんなご褒美よりも嬉しい。ゆっくりゆっくりクラウド様の肌を堪能…じゃなくてマッサージしたせいか、眠ってしまったクラウド様。
マッサージが終わった後も、眠るクラウド様を見つめる。あぁ、どうせなら背中だけでなく、厚い胸板や腹筋も触りたいわ…
その時、クラウド様が目覚めた。
「ごめん、寝ちゃったようだね」
そう言って起き上がったクラウド様に、すかさず抱き着いた。あぁ、クラウド様の生腹筋に胸板!そう思ったら、もう止められない。胸板に頬を摺り寄せ、腹筋を手で触りまくる。
「ミレニア、何をしているの?」
クラウド様の言葉で、我に返った。しまった、つい興奮して暴走してしまったわ!
「えっと…クラウド様の腹筋があまりにも立派だったので、つい…」
急に恥ずかしくなって下を向く。
「なんだ、そんな事か。ミレニアが触りたいなら、いくらでも触っていいよ」
そう言ってくれたクラウド様。では、お言葉に甘えて!クラウド様の腹筋を手で触りつつ、胸板に頬ずりをする。あぁ、至福の時だわ…
しばらくクラウド様を堪能した後
「もういいよね」
そう言って、私を引き離し、さっさと服を着たクラウド様。もしかしてあまりにもしつこく触っていたから、嫌がられたのかしら…
「クラウド様、ごめんなさい。ちょっと調子に乗りすぎました!」
慌てて謝った私を見て
「ミレニアのせいじゃないよ。僕の個人的な理由だから気にしないで!」
そう言って頬を赤らめたクラウド様。個人的な理由?何だそれは?
よく分からないが、クラウド様に嫌われていないのであれば、まあいいか!
その後2人でティータイムを楽しんだ後、晩ご飯を一緒に食べ、帰って行ったクラウド様。食後はソフィー様とティータイムだ。その時だった。
「ソフィー様、旦那様がお呼びです。至急居間にお越しください!」
明らかに慌てているメイド。一体どうしたのかしら?そんなメイドの姿を見て、動揺しているソフィー様にそっと近づいた。
「ソフィー様、私も一緒に行きますから」
そう声を掛けると、安心した表情を浮かべた。2人で手を繋いで、お父様の待つ居間へと向かう。
コンコン
「失礼します、お父様。お呼びでしょうか?」
居間に居たのは、お父様と陛下、マルティーノ男爵、さらに見た事が無い男性だ。男性はソフィー様を見るなり、凄い勢いでこちらにやって来た。
「ソフィー王女、ご無事だったのですね!王妃様によく似ていらっしゃる!国王陛下、この方が私たちが探し求めていたソフィー王女です!」




