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その三
公園の入り口に自動販売機が三台設置されていたので缶コーヒーを飲むことにした。少々のどが渇いていたのである。
冷たい缶のタブを引いてごくごくと半分ほど飲み干すと改めて景観を眺めやった。
ー昔通りだー
そう心の内で呟き、残りのコーヒーを飲もうとして腕を持ち上げた。
ーおやっ、いつの間にー
私をじっと見つめている少女が約二メートル離れた位置に立っていた。
ー何だろう。ジュースでも飲みたいのかなー
最初は構わずにいたが、まだ私を見つづけている。
ー買ってあげてもよいのだが、昨今は周りの目がうるさい。それに親が出てくると面倒だ。気の毒だが無視することにしようー
私は飲み終えた空き缶をダストボックスに捨て、その場を立ち去ろうとした。
行ってみたい場所がまだ数ヶ所ある。
しかし少女が立ち塞がった。