第七十九話(3/3) 大人の階段
今回は分割投稿(3/3)です。
2/3が見つからなくても問題ないように書いています。
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「……」
朝の優しい陽射しに起こされた芹緒は、寝ぼけまなこのままそっと自分の身体をまさぐる。
覚悟はしていたがハダカだったし下半身は冷たかった。
それだけで昨夜のことが夢ではないことを理解する。
足には温かい何かが絡みついていた。
目の前にはキスが出来そうなほどに近い桜子の寝顔。
寝息とともに規則正しく動く唇。
そのあどけない年相応の少女の寝顔からは昨夜のことは想像も出来ない。
芹緒はさつきにも身体をまさぐられたことがある。ただあの時はお風呂で、一回だけだった。
今回は……。文字通り『女』の快感を身体に叩き込まれた。
リングのように広くて深く沈み込むベッドから抜け出そうとすると、後ろから起き出したハダカの桜子に抱きしめられ動けなくなってしまう。
場所を少し移動したためか、濡れたシーツの冷たさが芹緒の腰を襲う。
「おはようございます、優香様」
「……おはよ」
桜子はそっけない挨拶を返す芹緒の身体を器用に回転させると、芹緒の頭を自分の胸で包み込む。
「昨夜も聞きましたが、女の子はいかがでしたか? 今度はヒト語でお願いいたしますわ」
「……/// 良かったよ」
「男性より?」
「……」
「また身体に聞いてもいいのですが?」
「っ……こっちの方が良かった」
「良かったですわ! せっかく『女の子』になったのですから、女の子でしか分からない悦びも知らないともったいないですものね」
顔を抱きしめられて、真っ赤になった顔を見られないのは良いかもしれない。
昨夜芹緒は桜子に散々『いじめられて』しまった。
芹緒も反撃したが、それが自分の意志なのか桜子の誘導なのか、今でも分からない。
「私は優香様が美琴様の身体だから、女の子だからこんなことをしたんじゃないんですのよ」
桜子が何やら言うが、芹緒には言い訳にしか聞こえない。
「優香様は色々我慢しすぎなのです。たまには楽しんでもいいんですのよ? 私ならいつでも相手出来ますのよ。ただ」付け加える。「姫恋様はまだ年相応でしょうし、びっくりしてしまうかもしれません。ですが優香様の学習の成果を見せるには打ってつけでしょうね。葵は問題ありませんが、今の美琴様だとまだ問題が片付いていませんので慎重にしないといけませんね」
「僕からすると」芹緒がようやく自分の意志で口を開く。「昨日の桜子さんはダメ。やりすぎ」
「幻滅されましたか?」桜子は些かも傷付いてない口調で言う。「でも私も年頃の女なので人並みに性欲も興味もあるのですよ?」
「知識と技術が年頃の人並みじゃない……」
「そういう家に生まれましたので♪ ほら昨夜はとても役に立ちましたわ。優香様も男では知り得ない快感を知りたかったとおっしゃってたではないですか」
「言ってない、力で読まれたんだけどね……」
「最終的には合意の上ですので問題ありません」
「……」
その『合意』とやらも最初は力で、最後はわざわざ口で言わされたのだから、桜子は人が悪すぎる。
その時言わされた台詞を思い出して芹緒は耳まで赤くなる。
顔を赤くした芹緒は胸元を隠して身体を起こしている自分を女の子のようで恥ずかしく思い、けれども朝日が差し込むベッドルームで桜子に対してハダカを晒すのをさらに恥ずかしく思い、ギャグのように身体にシーツをぐるぐる巻きにして脱がされた衣類を拾うと、シーツの中で情けなく着けていくのだった。
芹緒はまた一つ大人になりました()。
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