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現ファン世界で取り締まり!  作者: 楽太
第一章 覚醒編
2/2

俺の戦場その一その二

めっちゃ遅れましてすいません、つじつまあってないかも。テスト勉強ヤバかったのであります……。

 魔力測定を終えた俺は急いでいた。

 今日は土曜日で時間は午後四時五十八分。

 

 「はっ、はっ」


 ここの角をっ、左!


 「はっ、はっ、よし!間に合った!」


 その場所に踏み入った瞬間、俺はピリついた空気を感じた。

 ここでは、獲物を狙う獣のようなギラギラした視線が静かに行き交っている。


 「ちっ、間に合いやがたかあの小僧」

 「くっ、なかなか来ないから今日は来ないと思ってたのに」


 ふっ、残念だったな主婦A、主婦B。

 今日も獲物は渡さない。

 ここはぶんぶんマーケット。

 普段は『ぶんぶんぶんの歌』という頭の悪そうな歌が鳴り響く和やかなこの店だが、毎週の月曜~金曜の六時~七時、土曜日曜の五時~六時、この限られた時間帯でのみ、この場所は戦場と化す。

 その原因となるのはこの店の商品の圧倒的な安さだ。

 その価格設定、何と定価の半分。


 『午後六時になりました。これより、ぶんブンマーケット、タイムセールを始めます。』


 そして今、戦いの幕が切って落とされた。

 店内の客達が一斉に動き出すのと同時に俺も動き出す。

 今日の獲物は鶏もも肉、エノキ、ごぼう、ひき肉、豆苗、大根、白菜だ。

 攻略ルートは既に構築済みだ。

 まず売り切れの恐れがある鶏もも肉、ひき肉のある肉コーナ―へ向い、それから野菜コーナーへ向かうというルートだ。

 タイムセールは短期決戦。準備不足は敗北に直結する。

 俺はこのルート構築の技術で今まで数多の戦場を制してきた。

 今日も絶対にゲットして見せる。


 今日は冬の醍醐味、鍋の日だ。


 そうして主婦たちと格闘すること、およそ十分。


 「ふぅ、何とか全部買えた」


 周りでセール品の入手に失敗した主婦たちが敗走していくのを尻目に俺は呟いた。

 それにしてもぎりぎりだった。

 ずっと走り続けて疲れていたのかもしれない。

 特に白菜なんかラスイチで危なかった。


 ウチは俺がバイトをしているので、両親が居なくとも稼ぎはあるのだがもちろんその金額は多くは無い。

 なので、タイムセール品が買えないとなると中々に手痛い出費なのだ。


 まぁ、何はともあれ、これで今日作る鍋の材料は全て揃った。

 後は帰って鍋に材料をぶち込んでコトコトすればいいだけだ。

 ほろりと崩れる肉団子、味のしみ込んだ大根、こりこりの白菜。野菜達から出ただしの芳醇な香り。

 想像しただけで腹の虫が鳴りそうだ。

 さっさと家に帰る事にしよう。


____________________________________

 

「すっかり遅くなっちゃったな」


 冬というだけあって今は日が短い。

 辺りはすっかり暗くなっていたが、重い荷物を持ちながらもなんとか家にたどり着いた。

 静香は今日は部活で遅くなるって言ってたっけ。


 ちなみに俺の家は一軒家だ。

 二人暮らしにしては広いこの家だが、物心つく前から見慣れたこの家をを見ると毎度毎度安心感を覚える。


 で、そんな我が家の前まで帰ってきたわけだが、今日は何故か玄関の前に変な人が座り込んでいた。

 

 言っておくが、俺は良い人である事を心がけている為、初めて見た人を変な人、等と呼ぶことは普通しない。

 

 だが、玄関の前に居るその人は、そんな俺でも変な人と言うしかない人だった。

 

 身長は百五十センチ後半から百六十センチ前半位。

 全身黒づくめでフードを被っていて、その上銀色の仮面を付けていた。

 仮装、という線は限りなく薄いだろう。

 今はもう十二月、ハロウィンは二カ月前に既に終わっている。


 これもしかしたら本当にヤバい奴じゃないか?

 まさか、犯罪者、とか……?。


 ありえる……。

 

 そんなことを考えていると、いかにも怪しいその人物は俺の顔を見るや否やこちらへ向って歩いてきた。


 そして今この辺りに俺以外の人の気配はない。

 つまりあの変な人は俺に向かってきているわけだ。

 

 変な人の表情は銀の仮面に阻まれて見えなかったが、心なしか俺の事を見つけた瞬間に笑ったような気がした。


 こっわ。


 この時点で俺の中の変な人への評価は変な人から不審者にランクアップした。

 

 そしてその不審者が(恐らく)笑いながら近づいてくるこの状況。


 ヤバいよなぁ。

 足震えて来たんだけど。


 だが、こうしていても仕方ない。

 ここはいっちょ、頑張って話しかけてみるか。

 もしかしたら仮装趣味好きの普通の人かもしれない。

 あれ?普通ってなんだっけ?

 まぁいいや。


 「あのぉ、何か御用でしょうか?」


 「ちょっと一仕事しにきただけ」


 仮面の不審者はなお近づきながら、くぐもった声で言った。

 いや、こんな真夜中にそんな恰好でする仕事って何だよ。

 俺と仮面の不審者との間の距離が五メートル位に差し掛かると、止まる。

 

 「えっとー、ちなみに、その仕事とは?」


 「大丈夫、すぐ分かるから」


 仮面の不審者はそう言って右手を俺の方へ突き出す。

 突き出された手を見て俺はある事に気づいた。


 「手首につけてるそのリング、それ、魔法杖ですよね。なんで俺はそれを向けられているんでしょう?」


 冒険者になるなら必須のそのアイテムを俺はよく知っていた。

 魔法杖。

 ダンジョンで現れる魔物の能力を体系化し、汎用技能に落とし込んだ魔法を使うための必須アイテム。

 そして魔法杖を街中で使う事は法律で禁止されている。


 「気にしないで……」


 「あー、そうですか……」


 気にしないで……。じゃ、ねぇよっ。


 まぁうん、全然大丈夫じゃなさそうなことはわかった。


 それはそうと、この人の目的が何であるにせよ、俺がこのままここで立ち止まっているのは最悪手だろう。

 ここで俺がとるべき行動は一つ。


 逃げる事である。


 俺は回れ右して全力でその場から逃げ出した。

 食材のたっぷり詰まったエコバックを両手に持ちながら。

 

何とかギリ二千文字は書きました。頑張りました。見てる方が居るかはわかりませんが。ポイントください。マジで。

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