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異世界転移の話

「全員確認できましたね。」


モーリスさんはそう言いながら、俺らを見渡す。


「それでは、班分けをします。4人から6人でグループを作ってください。どういう風に作るかはお任せします。この後しばらくしたら、そうですね、今の季節だと大体陽が落ちる頃になりますと、夕食を告げる鐘が鳴ります。それまでに作っておいてください。もし一人でも余りがいたら、こちらで勝手に決めたものを班とします。基本的にはこの班で行動してもらいます。魔王の軍勢と戦う時もこの班で行動してもらうことになるので、できれば連携がとれるグループにしてください。何か質問はありますか?」


マスターが手を挙げた。


「それぞれのスキルについてもう少し詳しく知りたいのですが、あと、スキルのバランスとかは班決めの時に参考にしなくていいのですか?」


「スキルの詳しい説明は使うときにした方がいいでしょう。班決めには反映させる必要はありませんが、まあ、お互いのスキルを教えあってバランスを取っても構いませんよ。」


「なるほど、わかりました。それと、僕らの世界に帰るのは不可能ではないというのはどういうことでしょうか?」


「君はよっぽど帰れるかどうかが気になるみたいですね。ふむ、そうですね。魔法の説明も兼ねてざっくりと説明しましょうか。」


「お願いします。」


どうやら、魔法について教えてくれるみたいだ。ふと疑問に思ったのだが、魔法を当たり前のように、いや、スキルがないと使えないんだったか、だとしても、魔法が使えるということがわかってる世界の人間なのに、俺らの世界に魔法がないと決めつけているのはなぜなんだろうか。


「魔法というのは、この世界の神が私たちに与えた現実に干渉する力のことを指します。魔法は原理的には何でもできます。それこそ、魔王を滅ぼす魔法を使うことも理論的には可能です。ですが、魔法を行使する私たちの魔力には限りがあるので現実的には不可能ということになります。さて、皆さまを召喚する魔法というのも膨大な魔力を必要としています。最高の魔術師が時と場所を選ばないとできないほどです。その上、皆さまをピンポイントで選んで召喚しているわけでもないのです。もちろん、大まかに狙いをつけて召喚はしていますが。ここまで話せば大体想像がつくかと思いますが、世界間転移の魔法を使う、それも目的の座標まで決めないといけない。これは非常に困難なことです。この世界から別の世界へ飛ぶくらいなら、稀代の魔術師くらいになればできるかと思います。ですが、座標を指定するとなるとどれほどの魔力が必要になるのか。ランダムな転移を繰り返せばいずれ辿り着くとか考えるかもしれないですけど、魔法はこの世界でしか使えません。飛んだ先でこの世界の魔法は使えません。神の管轄から外れるからです。ですので、元の世界に帰るのは不可能ではないですけど、難しいと思います。まあ、私は魔法が専門なのでもしかしたら魔法に頼らない方法もあるかもしれませんよ。」


そこまで話すと一息いれて、


「長く説明しましたが理解してもらえましたでしょうかね。わからなくても特に困ることはないと思うのでこれ以上の説明はしませんが。他になにか聞きたいことはありますか?…なさそうですね。勝手にうろつかれても困るので、この建物からは出ないようにしてください。では鐘が鳴るころにまた会いましょう。」


そう言って、モーリスさんは教会から出て行った。

モーリスさんがいなくなると、各々近くにいる人と話し始め途端に教会は騒がしくなった。

質問をしたマスターは何か考え込んでいるようだった。


窓から射し込む日は高い、鐘が鳴るまではまだ時間はありそうだったが、班決めは恙なくできるのだろうか。そう考えたところで、モーリスさんの言われたとおりに動こうとしている自分を自覚して、複雑な気分になった。

ここはどこ?

わたしはだれ?

いまなんじ?

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