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朝のHRの時間が始まる少し前、教室にはすでにほとんどのクラスメイトがいた。

だべっているもの、予習するもの、寝てるもの、スマホをいじってるもの、本を読んでいるもの。

俺も後ろの席の結城くんと他愛のない雑談をしていた。

その時だった。突然あたり一面をまばゆい光が覆ったかと思った瞬間、俺は、いや俺たちは見知らぬ場所にいた。

そこはドーム状の空間で照明によって影ができないようになっていた。

騒然とするクラスメイト達、パニックになってる子もいたが、大して興味がない様子のもの、逆に高揚してる奴らもいた。


「静まれ!」


大音声が響き渡る、声のする方を見ると豪華な服を着た厳ついおじさんが一段高いステージに立っていた。

彼の一声によってあれほど騒いでいたクラスメイト達はすっと静かになっていた。いや、よく見ると声が出せないのだろうか、口をパクパクさせているものが何人もいた。


男はその様子に満足したような顔をして

「我が国は現在大いなる苦境に陥っている。貴様らはその役に立てることを光栄に思うがいい。」

などど宣った。


何言ってるんだ此奴はと思ったが、男はそれだけ言うとその場から去っていった。


男が去ってすぐに、背の高いローブを着た男が現れた。


「ええと、皆さま混乱されているかと思いますので、わたくしモーリスが状況を説明いたします。」


モーリスという人の話をまとめると、

・ここは異世界であり、地球から俺たちは召喚されてここにいる。

・現在、魔王と呼ばれる存在が力を増してきていて、その状況を打破するために異人の力を借りる目的で俺らを召喚した。

・この世界に渡る際に神からスキルが付与されているらしく、その力を使って魔物をやっつけてほしい。

だいたいこんな感じだった。

スキルとはなんぞやとは思うが、いずれわかってくるだろう。


「大体理解していただけましたか?サイレンスを解除いたしますが、どうか暴れたりなさらぬよう。わたしくしも手荒な真似はしたくありませんので。」


そう言って、右手を軽く振った。

喋れるようになった実感はなかったので、恐る恐るだったのだろうがだんだんざわつき始めた。


「何か質問はありますか?なければ皆様のステータスを確認します。」


「ひとついいですか?」


そう言ったのは、クラスマスターの佐々木くんだった。

クラスマスターは言ってしまえば級長なのだが、俺の学校ではそう言っているため、佐々木くんはマスターと呼ばれている。


「僕らは元の世界に帰れるんですか?」


「…それは、、今、お答えした方がよろしいですか?」


「それはほとんど帰れないと言ってるようなものだと思いますけど、あとででもいいですよ。」


「詳しい話はあとでいたします。不可能ではない、とだけ。他にないようでしたら、ステータスの確認を行います。私の後についてきてください。言うまでもないことですが、わたくしどもは皆さまを制圧する術を備えています。めったなことはお考えになりませぬよう。」


俺らはぞろぞろとモーリスさんの後をついていき、ドーム状の部屋を後にした。




午前九時の木曜日、空から布団が降ってきた。

宙を舞う錦鯉が蛙の足を引き摺って、

メトロノームは階段の鼓動を確かめる。

蝶番を弄る前に、命の炎を消さなくては。

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