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魔王に召喚された俺「妾を守れ!勇者よ!」勇者が魔王を守るってどういう事だよ!?  作者: ソラ・ルナ


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23.魔王と御剣の妹・勇者1

「止まりなケイ」


「はい!お姉様!」


 なンだ、あれは?

 国の城壁が見えてきて、そろそろかと思った。

 で、もっと近づいたら、ラッパを口に加えた、鎧を着こんだ兵士共がズラッと並んでやがる。

 まだ少し離れている、ここからでもファンファーレが聞こえンだけど。

 ドラ○エしてる時は壮大な曲だなって思ってたンだけど、実際に聞くとまた凄いな。

 つかうるせぇンだけど。


「ケイ、あれなんだか分かるか?」


「あれ?ええと……ああ、『勇者』達が『魔物』の討伐に行くんでしょうね……」


「『魔物』?『魔王』じゃなくて?」


「はい。多分、召喚されたばかりなんじゃないでしょうか……いきなり『魔王』様に挑んだところで、返り討ちだって馬鹿な人間共でも分かるんでしょうね……」


 そう言うケイの目は、鋭かった。


「あっ!お姉様は違いますよ!?」


 慌ててそう言うケイの頭に、手をポンと置く。


「違わねぇよ。私も人間だ。私が違うとしたら……『魔王』に興味ねぇってくらいだかンな」


「お姉様……ふふ、やっぱりお姉様は違いますよ。お姉様なら、きっと……『魔王』様とお会いしても……」


 最後の方は小声でよく聞こえなかった。

 ま、パレードやってンなら丁度良い。


「よし、これに紛れて街に入り込むぞケイ。今のタイミングなら、ばれずに入れるっしょ」


「はい!お姉様!」


 人型に成ったケイと共に、街の中に入り込む。

 なんの苦労もなく入れて拍子抜けした。

 その辺の屋台から、良い匂いがしたから、お好み焼きみたいなモンを買った。

 銅貨2枚、食いモンってなんでこんな安いンだ?絶対に必要なモンなのにな。

 ま、助かるから良ンだけど。


「ほれケイ、食うだろ?昨日から何も食ってねンだ、腹も減ってるだろ」


「お、お姉様が私に!?わ、私、これ家宝に致しますぅ!!」


「いや食えよ、なまもンだぞ」


 呆れつつも、そのお好み焼き風な食べ物を食う事にする。

 ソースとマヨネーズがしっかりとかかっていて、鰹節(かつおぶし)もまぶしてあるし、中々にイケる。

 これ、容器どうすんだ?と思ったら、至る所にゴミ箱が設置してある。

 ここ、異世界だよな?無駄にしっかりしてンな……。

 まだケイは食べてるようだったから、ベンチに座りながら周りを観察する。

 私達の服装が珍しいのか、割と見られてンな。

 まぁケイは巫女服だかんな。

 私の元の世界の服は、『アイテムポーチ』の中だ。

 この世界の服を買ってもらってから、すぐに着替えた。

 下着とかは買い占めてやった、何着も要るしな。

 ま、視線の半数は、私達が珍しいからってわけじゃなさそうだが……。

 はぁ、こういうトコは異世界でも変わらねぇンだなぁ。

 顔を見て、次に胸を見て残念そうな顔をする奴を、問答無用で殴って良い法案できねぇかな?

 あ、この世界なら殴っても問題ねぇンかな?


「お、お姉様、何を考えているのか分かりませんが、その殺気を抑えた方が……」


 おっと、つい自然とそういう雰囲気を出してしまってたみたいだ。

 道理で、すぐに視線を逸らす奴らが増えたと思った。

 声を掛けてくるまでに至らねぇようだから、ぶっちゃけこのままで良い気はすンだけど。

 すると、ざわざわと辺りが騒がしくなってきた。

 なンだ?そう思ってそっちを見ると、学生服を着た奴らが二人、こっち側へ歩いてきているのが見えた。

 兵士達に囲まれながら。

 あいつら、召喚された『勇者』か?

 まだ少し距離があンけど、『鑑定』できっかな?


「『鑑定』」


「お、お姉様!?」


 なンか隣でケイが慌ててるけど、なンだよ?



槇村 重雄 男(18歳)


職業 勇者


称号 武士


Lv.1

HP    3000/3000

MP    300/300

こうげき力 3000   

しゅび力  2800   

ちから   3000

まりょく  1000

たいりょく 2800

すばやさ  2500

きようさ  3000

みりょく  50




槇村 味醂 女(16歳)


職業 聖女


称号 僧侶


Lv.1

HP    1000/1000

MP    3000/3000

こうげき力 1000   

しゅび力  1500   

ちから   1000

まりょく  3000

たいりょく 1500

すばやさ  1200

きようさ  3500

みりょく  200



 こいつら、名前からして兄妹か。

 しかも、『勇者』に『聖女』たぁね。

 というか、槇村?なんかどっかで聞いたような名前だな。

 それも、ごく最近に……なンだったっけ?


「お、お姉様、こんな公の場で平然と『鑑定』は不味いですよぉ」


 そういうもンか。

 ま、ケイも食い終えたみてぇだし、移動再開だ。

 立ち上った私に、ケイが聞いてきた。


「お姉様、今度はどちらへ行くんです?」


「決まってンだろ?『魔物』を倒しに『勇者』達が行くんだろ?なら、後をつけるっきゃねーじゃン?」


「えぇぇぇぇ!?」


「ほら、ボサッとしてンな。さっさと追いかけるよ」


「ひぃぃん!お姉様の行動が読めませんー!」


 とりあえず、兵士達に連れられた二人を追いかけた。

 少し離れた位置から追いかけたが、なんせ兵士達がわんさか居る。

 私も脱出しなかったら、こうやって進んでたんだろうか?

 考えるだけでゾッとすンな。

 欠伸が出るくらいのスピードで進み、辿り着いたそこは森。


「ま、魔の森ですお姉様。ここは、迂回した方が……」


「なンで?」


「凶暴な野生の魔物が、たくさんいるんですぅ~!!」


「魔物に野生もなンも……」


「良いですかお姉様!『魔王』様の(しもべ)足る魔物と、その他の魔物では全然違いますから!」


「そ、そうなン?」


 いつもより謎の迫力があるケイに、少し押されてしまった。


「そうなんです!私も、『魔王』様の僕の魔物です。でも、『魔王』様の僕でない魔物は、本能に従って生きています。私達ならしないような行いを、平気でします」


 あー……もしかして、私のイメージの魔物は、そいつらかもしンねぇな。

 おっ、てことは、だ。


「なぁ、そいつらなら狩っても、お前は悲しまないンだな?」


「え?」


「いやさ。魔物狩ってレベルあげンのもさ、お前が魔物だし、どうしようかなーって一応思ってたンよ。でも話を聞く限り、そいつらは違うンだろ?なら、狩ってもお前は悲しまないンだよな?って」


「お、お姉様……!」


 ケイが瞳を潤ませて、私の胸に顔を埋めてきた。


「お姉様、お優しいです!大丈夫です!魔物なんて狩りつくちゃってください!!」


 はぁ、本当に調子の狂う奴。


「あぁ、お姉様の平らな胸、少しだけ柔らかな膨らみが合って、素敵ですぅ……!」


「まずはお前から経験値になンかぁケイー!!」


「ご、ごめんなさいですー!!」


 その首根っこを掴もうとしたら、外れた。 


「待ちやがれ、ケイ!!」


 逃げ出すケイを追いかける。

 すばやさが圧倒的に高い私から、逃げられると思うンじゃねぇ!!

次話も妹編が続きます。

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