(乙女ゲームから)脱線中1
私の家はパン屋を営んでいる。以前はどこにでもある普通のパン屋だったけれど今では王都で人気のパン屋だ。私が前世の記憶を元に色々やったせいで。
最初は菓子パンが食べたくなっただけでそれをそれとなーく両親に伝えたらインスピレーションを刺激された両親がノリノリで試行錯誤して再現してくれたんだよね。おかげでうちの店は菓子パンやお惣菜パンを沢山売って話題になりました。ちなみにこの世界はさすがゲームの世界と言うか、中世ヨーロッパ風の世界なのに売ってる食べ物の名前とか味が日本と全く同じなんだよね。と言っても米や味噌と言った日本に昔からある食べ物はないんだけどね…。いつか絶対見つけてやる!!
で、パンは出来るんだけどお菓子とかはあんまりないんだよね。あるにはあるけど高いから庶民には手が届かないんだよね…。野菜とかお肉とかは日本の値段を反映してるくせに砂糖や蜂蜜と言った甘味はお高い。そんなとこだけ忠実に再現しやがって!そのせいで菓子パンの値段ちょっと高くしないと行けなくなったじゃないか!!このまま焼き菓子にも手を出して行こうと思ってたのに!!
と、ここまで考えた所で思いつきました。せっかく継承スキルあるんだから使えばいんじゃね?冒険者になって依頼こなしてその金で砂糖買えばいいんじゃね?そう思い立った瞬間両親に直談判して冒険者になることに決めた。
ゲームの頃は学園がメインで外のことは会話で出てくるか攻略対象とのイベントで出てくるだけだったから知らなかったけど実は冒険者ギルドが存在している。ついでにダンジョンも。せっかく戦闘系スキルがあるんだから使わなきゃ勿体ないよね!両親には反対されたけど簡単な採取依頼で小遣い稼ぎするだけって言ってどうにか了承してもらった。勿論ダンジョンに行く気満々だけどね☆
そして今日私は冒険者ギルドに登録に来たんだけどお約束と言うかなんと言うかガラの悪い冒険者に絡まれている。
「ここはお嬢ちゃんみたいな子供が来るとこじゃねぇんだよ!」
「とっとと帰ってままごとでもしてな!」
絡まれた時はテンプレキタコレ!ってなったけど実際にやられるとめっちゃイラつくな。つか酒臭い。昼間から飲んでんじゃねえよ。
「どうした?怖くてなんも言えねえのか?」
「うっせんだよおっさん。口臭が酷いから喋んな。つかいちいち新人につっかかってきてんじゃねーよ。格下にいきがって優越感に浸りたいだけの雑魚が」
おっと、つい口が滑っちゃった☆ニタニタした顔がうざくてつい正直に言っちゃった☆
「テ、テメェ!調子乗ってんじゃねえぞ!」
顔を真っ赤にして怒鳴りながら殴りかかって来たからつい腕を掴んで投げちゃったんだよね。さすが体術Lv.MAXすごく簡単に投げれた。あ、勿論ギルドの物壊さないように何も無いところに投げたよ?
「今日冒険者登録に来た女の子に吹っ飛ばされるくらい酔う暇があるなら鍛えた方がいいんじゃないんですか?」
にっこり笑ってそれだけ言うとカウンターの方に向かう。
「よくも!」
今度は投げ飛ばしたやつの仲間っぽいおっさんが掴みかかって来ようとしたから今度はどう反撃しようかと考えたけど実行に移す必要はなかった。
「お前ら子供相手に何やってんだよ」
私とおっさんの間に二十歳位の男の人が割り込んだ。
「どけよレンリ!そいつがジアンに手を出しやがったんだ!」
「どうせまたあんた達から難癖付けたんでしょ」
いつの間にか私の隣にレンリ?さんと同じくらいの歳に見えるお姉さんがいた。
「新人を見つける度に難癖つけて絡んで、いい加減ギルマスに〆られるわよ?」
「ぐっ」
「つーかもう新人潰し予備軍として目ぇ付けられてると思うぞ?」
「その通りだ」
声がした方を見ると眼帯を付けたガタイのいいおじさんがいた。
「ギルマス!?」
「多少の難癖なら依頼主に難癖付けられた時の練習ってことで見逃せたがてめぇらこれで何回目だ?てめぇらが難癖つけた奴らから集めた依頼品を横取りされたって報告が上がってんだよ。流石にもう看過出来ねぇ。分かってんだろうなぁ?」
「ちがっ!俺達は」
「言い訳は後で聞いてやる。おい!こいつら地下牢にぶっ込んで来い!」
そう声をかけると奥から数人の職員が出てきておっさん達を引きずって行った。