【097】カード払いで良いですか?
「それと、寮にお住いの場合は月に【4万】イェン。従者とご一緒に一人部屋をご希望の方はプラスで【10万】イェンとなります。また、従者の入園許可証もお一人様【10万】イェンでご購入いただけます」
ちょいちょい、待て待て。
あんた事務員さんだよね? 急にただの商売人になってんだけど。
つか、普通にそんな金額をみんな払ってるわけ? ドッグ家がどんなもんかは知らないけど、足元みてないかな?
「結構な金額になりますね……」
「まあ、そうでしょうね。ですが、良心的な金額設定ではあるんですよ。数千万イェンもするカードを教材として扱いますので、この金額で多くのカードに触れられる場所はこの学園を置いて他にないでしょう。寮に関しましても、街で宿を取り続ければ月に十万前後の金額がかかります」
なに! 意外と真っ当な返しで困惑する。
確かに一枚で数十万から億までするカードを四年間、試しに扱う事ができるならその金額設定にも納得できてしまう。
「一般の学生さんなどは奨学金制度をご利用したりもしていますし、闘士のアルバイトなども斡旋してますので実戦も兼ねて学ぶ事が出来るんですよ」
なんだこの人、ホントにただの事務員さんか? 話を聞いてるとだんだんお買い得に思えてきたじゃない。
とは言っても俺としては、面白おかしく学園生活を送れればそれで良いんだけど……新しい出会いとかも欲しいし。
ぶっちゃけそっちの方が本命だったりもする。
共に切磋琢磨して友情を育み、それはいつしか互いになくてはならない関係となる。淡い青春の一ページ。初心な二人は次第に大人の階段を登って行き……。
良いね! 学生!
俺の心の傷を癒してくれそう!
「まあ良いや。取り敢えず入学します。学園には通いたいので寮は結構です。後ろの二人を連れて歩くので許可証を二枚貰えますか?」
「え? あ、はい。ですが、保護者の方に一度連絡を取って頂いた方がよろしいかと思いますが?」
「保護者? ああ、大丈夫です。自分のことなんでお金は自分で払いますよ。カードで良いですか?」
俺がさらっとそんな事を言うと、事務員さんはギョッと目を剥いた。因みに、俺の隣に座っているレインも、顔が『なん……だと?』と言っていた。
俺がピッと指に挟んで銀行のカードを出すと、事務員さんはなんか機械みたいなのでピピピとやって確認する。
「た、確かにお預かり致しました。このような大金を普段から持ち歩いていらっしゃるのですか?」
「え? あー、まあそうかもしれないですね」
俺はちょっと言葉を濁した。
普通の顔して【1000万】とか言ってきたから、この場で払わせるつもりかと思ったんだけど、まずかっただろうか?
マルーイの支店長とか、俺に平然とそのぐらいの金額のものを勧めてくるから、感覚がよくわからなくなっていた。
「あなた、親からどんだけ貰ってるのよ! 私ですらそんな大金自由にできないわ!」
病弱設定を早速忘れたレインが、俺に突っかかって来た。
「いや、一イェンも貰ってないよ。あ、いやー最初に五万イェンぐらい貰ったかも」
「五万って……貰ってないのと同じじゃない……」
レインがなんか不審な目で俺を見てくる。
まあ、そんな目で見られるような金額だったんだね。でも、俺。この五倍ぐらいの金額のプレゼント渡した事あるんだよ。振られたけどね! ……ぐすん。
「ま、まあ、ちょっと事情があって、闘士になって稼いだんだよ」
「闘士? 学園の入学試験を受けておいて? ランクは?」
「え? Gランクだけど?」
「Gランク!? 」
む、Gランクってそんなに驚かれるランクなのかな?
初心者のHから一つ上がっただけなんだけど?
「Gランクがそんな大金稼げるわけないでしょ! もっとまともな嘘をつきなさいよね!」
あ、そっちの驚きでしたか……。
読んでくださりありがとうございます。
家系ラーメンでニンニクたっぷり入れて息くっさくなるの好き。
でも必ず食べた後お腹が緩くなる。
どうやらニンニクは食べすぎるとお腹こわすらしい。はじめて知った!




