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拳で無双!異世界カードバトル!~ルール無用の【破壊】デストラクション~  作者: まじで
1章「エヴァルディア・ユー・カラトナ・モンテフェギア」
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【081】ルールなんて無用

「【トラップ】カード!? 仕掛ける素振りもなかったのに!」


「エディナ、この男は決闘開始直後に仕掛けていたのでしょう。あなたを妨害したのもこの仕掛けを打つ為だったのです」


 ティターニアの言葉を聞いて、グレンは静かに笑った。


「くく、間抜けだな。遅刻をしたら罠の警戒をするのは常識だぜ?」


「っ! 汚い手ばかりを使って、あなたは!」


「はは、怒るのは勝手だが良いのかな?」


 そう言ってグレンは手に持ったカードをチラつかせた。


 その行動を見て、エディナは、はたと気がつき手持ちのカードを確認する。


 【トラップ】カードは、仕掛ける際に掛け声を必要とする為、マスによって行動に制限がかかるリミットバトルなどで使用される事が多い。


 リアルタイムで戦うデスマッチでは、あまり使用出来るタイミングも多くない。


 しかし、使い難いだけあって、決まれば戦局をひっくり返せるほど効果の高いものも多いのだそうだ。


 通常なら罠があるとわかっていて引っ掛かる間抜けも居ないのだが、グレンは小細工をしてまで【トラップ】にこだわった。


 つまりそれは、グレンの仕掛けた罠には、勝敗を決するほどの効果があるということだ。


 エディナが僅かに焦りの表情を浮かべる。


「くく、やっと気が付いたか? 俺の仕掛けた【踏替トレッドチェンジ】の効果に! そいつはジョーカーだ。踏んだ召喚モンスターと手札を入れ替て所有者の手札に戻る。今の所有者はあんた。そして、ジョーカーを最後まで手にしていた方が負けとなる!」


 そう言ってグレンは高笑いをした。


 グレンが仕掛けたカード【踏替トレッドチェンジ】は、罠を踏んだ召喚モンスターを自分の手札に加えるという効果があるようだ。


 つまり、罠にはまった召喚モンスター、【ティターニア】のカードは今、グレンが所持していることになる。加えて、エディナはティターニアと強制的に交換させられた【踏替トレッドチェンジ】を処理しなくてはいけない。


 一時的ではあるがティターニアの所有権を奪われたこともヤバイが、【トラップ】を再度相手に仕掛けないと必然的に負けとなってしまうのもヤバイ。


 正に絶体絶命だ。


「しかし、驚いたな。まさか本当に【LG】を手にしているとはな。それがあんたみたいな甘ちゃんだと宝の持ち腐れだぜ」


 グレンの言葉にエディナは何も言い返さない。


「俺たちがやってるのはルール無用のデスマッチだぜ? なんだって有りなんだ! 何にも縛られない。それこそがルールなんだよ!」


 グレンが煽るように言葉を続けるが、こんな状況に陥ってもエディナは俺の予想に反して落ち着いていた。


「ピクシーたち! 遊んでないで早くユー・タートルを倒して戻って来て!」


「「「はーい」」」


 エディナが命令すると、ユー亀と戯れていたピクシーたちは突然鋭い目付きとなって牙を剥いた。


 鋭く尖った爪が硬いはずの亀の甲羅を豆腐のように切り裂く。


 ほどなくして、ユー亀を倒したピクシーたちがふわふわとエディナの周囲に集結する。


「チッなんだアレは!? あいつらも言葉を話すのか……おかしなカードばかり持って、まあ良い」


 グレンはニヤリと笑みを浮かべた。


「こちらには【LG】があるんだ。おいっティターニア! あの妖精共を蹴散らせ!」


 グレンは命令を出すが、ティターニアは微笑を浮かべたまま、微動だにしなかった。


「おいっ! 俺の命令が聞こえているのか!?」


「ええ、聞こえていますよ。ですが、ご命令には従いません」


「なっ! どういうことだ! 今の所有者は俺の筈だぞ!」


 グレンが叫ぶとティターニアはニコリと微笑む。その後方からエディナが声を上げた。


「あなたは【LG】のことをわかってないわね。強い意思を持つ【LG】は、ルールなんかに縛られないのよ。彼女たちは自分の意思で主人を選べるの。そんなやり方で、従えた気になっていると痛い目に合うわよ」


「それは語弊がありますよエディナ。神の創造したカードの効果は確かに届いています。わたくし心はそこの男を確かに主人と認めているのです」


「でも、ティターニアはそういう汚い奴は嫌いなんでしょ?」


「その通りです。このような蛆虫を主人と認めてしまっている自身の心に虫唾が走ります」


「なら、好きにして良いわよ」


 エディナがそう言うとティターニアはニコリと微笑んだあと、能面のように表情を消してグレンを見た。


 グレンの喉から小さな悲鳴が上がる。


 そして、身の危険を察したのかグレンがティターニアをカードへ戻そうとした瞬間。


 グレンの頭がごとりと地面に落ちた。


 きっとグレンは何が起きたかわからなかった筈だ。


 だって、ティターニアが何をしたのか、離れて見ている俺ですら何もわからなかったのだから。


「勝者が死んでしまった場合、どうやって戦利品を指定するのでしょうね」


 ティターニアはそう言って、その美しい姿には似つかわしくない悪意のある笑みを浮かべた。

読んでいただき、ありがとうございます。


土曜日が雨予報になった所為で、BBQが中止になった。

ぐぅ、わしがリア充する日を返してくれ……。

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