【079】妨害工作
「エディナ、時間がないよ!」
「ええ、わかってるわ」
急ぎ足で階段を降りて来たエディナは、少し不機嫌な様子でそう言った。
早足で俺の横を通り過ぎ、決闘の待ち合わせ場所へと向かおうとする。
俺はエディナの後に続き、駆け足になりながら話を聞く。
「何があったの?」
「何がって、何もないわ」
「その割に怒ってるけど?」
「何もなかったから怒ってるのよ! だらだらと事務的な話をしたと思ったら、世間話を始めて来て、資料がないとか言って長い事待たせたり……こっちはだんだん不機嫌になるティターニアをなだめるのが大変だったんだから!」
「ですから、最初から蹴散らした方が良いと言ったではないですか?」
「ええ、そうね! ティターニアが正しかったわ。穏便に済まそうとした私が間違ってました!」
エディナがプリプリしながら駆け足で進んでいると、目の前にガタイの良い男たちが立ちはだかった。
「おっとごめんよ、お嬢さん」
行く手を阻む男たちに向かって、エディナは苛立ちの表情を浮かべると、ティターニアに首を切る仕草をする。
それに頷いたティターニアが、問答無用で男たちに向かって手をかざす。
「悪いけどここは通行ど―――ぶあはっ!」
巻き上げられるように吹き飛ばされた男たち。
当然、俺たちは誰一人として男たちの事を気にせず通り過ぎる。
その後も、エディナに対する妨害は続いた。
「すみません。手相を見せて―――あべはっ!」
「良いツボがあるんですが―――ほげろっ!」
「すまんが、足を挫いてもうて―――あちゃばっ!」
「君たち何て事をして―――ひょろげっ!」
そのことごとくを、ティターニアが容赦なく蹴散らして行く。
てか、最後のは普通の衛兵さんだったと思うけど、大丈夫だろうか? まあでも、ひょろげっ、はないな。せめてもう少しやられた感のある言葉にして欲しい。
「鬱陶しいですね。走っていては面倒です」
そう言ってティターニアはエディナと俺を掴んで空へと舞った。
「わ、わわわっ!」
「や、ちょ、高いわ! 私、高い所はダメなの!」
「少し我慢してください」
あっという間に空中へ舞い上がると俺とエディナは慌てたが、落とされては敵わない。ここは大人しくしていよう。
下からセンの叫ぶ声が聞こえてくる。
「こぉうらあああ! 蛾の王! 勝手に我が主人を連れて行くなああ!」
「まったく、あの獣は品のない」
ティターニアがそう言うと、ブンッと音を立てて何かが横を通り過ぎた。
何今の? 早すぎて見えなかったけど……。
俺が振り返って下を見ると、センが拳ほどの大きさをした火の玉を手に追い掛けて来ていた。
うっそ! あれ投げたの? 当たったら俺たち墜落しちゃうんですけど! つか、俺に向かってそんなもん投げんじゃねえ!
センが腕を引いて遠投の体勢に入る。
「ティターニア!」
俺が叫ぶとティターニアは何故か俺を盾にした。
え? 何で? 違う、そうじゃなくて気を付けろって意味だよ!
そしてセンは、大きく振りかぶって―――投げたー!
恐ろしい豪速球。俺に当たるとか全然気にしちゃいない。つか、このままじゃ絶対当たる。
「【破壊】!」
叫んで拳を突き出すぐらいしか出来なかったけど、何とか効果はあったようだ。
センの豪速球は、俺に当たる前に霧散した。
「セン、てめえ! 後で覚えてろよ!」
思わず口が悪くなってしまった。正直死に掛けたし、全然反省してないけど。寧ろ反省するのはあの狐である。
そんなこんなをやってると十一時の鐘が鳴っていた。
間も無くして、決闘に指定した広場が見えてくる。
何故だか周囲には人集りがあるが気にもしていられない。
俺たちは人集りの中心に上空から降り立ったのだった。
読んでいただき、ありがとうございます。
ツイッターを始めてみたんだけど、何をしたら良いのか全くわからん。
今日のご飯はトンカツでした。とか、クソどうでも良い事呟いておけば良いのかな?それともお仕事ナウ。とか、誰も興味のない事言えば良い?
ツイッタープロの人たち教えてください(切実)




