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拳で無双!異世界カードバトル!~ルール無用の【破壊】デストラクション~  作者: まじで
1章「エヴァルディア・ユー・カラトナ・モンテフェギア」
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【071】マナー違反はダメ絶対!

「【LG】だと? 冗談を言うな、それはただの伝説だ。誰も見たことのないカードが実在するわけがねえだろう」


「やはり愚かですね。伝説を目の当たりにして発する言葉がそれですか」


 顎を上げてゴミを見るように見下ろすティターニア。その右手がスッと掲げられる。


「辺りを灰と化せば野良犬も少しは実感出来るでしょう」


―――! いやいや、ちょっと待て!


 普通に魅入っちゃったけど、ここ店の中だぞ!?


 灰にしちゃったら、みんな巻き添えだろ! せめて表に出てやってくれよ。


 血だらけ男も懐からカードを取り出して、やる気満々。


 さすがにまずいと思った俺は、二人に注意しようとしたところで、チョンチョンと袖を引かれて振り返った。


 見るとツクヨミが眠たげな瞳を向けている。


「あれ、やりたい」


 あれ? 何を言ってるんだ?


 俺が首を傾げると、ツクヨミは片足を上げて両腕を斜めに広げると手首曲げてポーズを決める。


 何その荒ぶる鷹のポーズ。


 ツクヨミの視線の先には、宙を舞うティターニアの姿があった。


 あー、なるほどね。確かにちょっとカッコ良かったもんね。厨二病のツクヨミさんはティターニアみたいにフワフワ飛んで相手を見下すヤツがやりたいわけね。


 どうやってやるつもりなんだ? って思うけど、どうせ衣をうまいこと使って空でも飛ぶんでしょ? いやいや、ダメだろ。ティターニア以上に目立ちそうじゃん。今はツクヨミが目立っちゃダメなんだよ。


 俺は仕方なく、ツクヨミが喜びそうな代案を出す。


「じゃあさ、忍者っぽくカッコ良く二人を止めて、外で戦うように説得してくれる」


 俺が言うとツクヨミはコクコクと頷き親指を立てた。


 うむ、ちょっと不安だ。


 俺の心配を他所にツクヨミは動き出す。


 そして。


 動き出した瞬間、周囲に旋風が巻き起こった。


 竜巻のような風がテーブルに乗っていた食べかけの料理を撒き散らし、椅子を薙ぎ倒す。


 周囲から叫び声が上がる中、巻き起こった旋風は螺旋のように渦巻き、対峙する二人の間にあったテーブルの上に収束すると、一人の人物を登場させる。


 まあ、ツクヨミなんだけど。


 黒い忍び装束を口元まで覆ったツクヨミは、テーブルの上で背筋をピンと伸ばし、腕を組んで指を口元で二本立てていた。


「店に迷惑が掛かる。やるなら、表でやるんだってばよ」


 えー、途中まで良かったのに、最後ので急に忍者っぽくなくなったんですけど。いや、それも忍者だけどね。つか、君も既に店に迷惑かけてるけどわかってるのかな?


 俺の心のツッコミは他所に、対峙した二人はツクヨミの発言に納得した様子だった。


「それもそうですね。面倒ですが、表に出ましょう」


「チッ、なんで忍者がここにいるんだ。仕方ねえな」


 だからこの世界で忍者の扱いってどうなってるんだよ。


 周囲の連中もさすが忍者だなんだと騒いでいる。


 そして、ティターニアが地に降りて、男に背を向けて店の外へと足を向けた瞬間。


 男はカードを取り出して声を上げた。


「【散弾ラットショット】!」


 男のカードが向けられたのはティターニア、ではなくエディナだった。


 男から放たれた【散弾ラットショット】は、無防備だったエディナの全身を容赦なく撃ち抜く。


「馬鹿め! デスマッチは既に開始されてるんだぜ! それに、俺が相手をしているのはあんたじゃない! 油断したな!」


 叫び声を上げた男に対して、ティターニアは氷のような視線を向けてゆっくりと振り向いた。


 そして、その腕の中には何故か、今し方全身を撃ち抜かれた筈のエディナの姿があった。


 キョトンとした表情でティターニアにお姫様抱っこされているエディナ。


 その姿を見て、男は驚きの声を上げ、撃ち抜いた筈のエディナへと視線を向ける。


 そこに居たエディナは、血も流さずにゆっくりと薄くなり、溶けるように姿を消していった。


「マナーがなっていないようですね。大人しく表に出なさい」


 そう言ってティターニアは、エディナを抱えてたまま外へと出て行ってしまった。


 チッと舌打ちをして、男がティターニアの後を追うように表へ出ようとした時、突然男の右足が吹き飛んだ。


「ぐあああああ!」


 何をされたのかも分からず、男が腿を押さえて転げまわる。


 その光景に周囲からは悲鳴が上がる。


 焼け焦げているのか、男の足からは血が出ていない。


 だが、痛みに悶えて男が蹲っていると、表から声が響いた。


「早く表に出なさい。でないともう一本の足も吹き飛ばしますよ」


 ティターニアの容赦ない言葉に、男は唇を震わせて青褪めたのだった。

読んでいただき、ありがとうございます。


なんか最近コカインで捕まった有名人に対して、芸人が「その人はコカインやっちゃっただけで本当は良い人」なんて発言をして、賛否両論あったけど、良くわからんなあと思いました。

当人ではない自分たちがわかる事なんて、ダメだとわかっている事でもやってしまうような人間だって事ぐらいなものです。

ルールを守ろうとしない不誠実な人間が、果たして良い人に分類されるのだろうか?

まあ、誰しもが悪い部分を持っているから、この一件だけで決めつけるのはどうかと思うけれど、少なくとも人間性の一部は透けて見えるけどなぁ……。

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