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拳で無双!異世界カードバトル!~ルール無用の【破壊】デストラクション~  作者: まじで
1章「エヴァルディア・ユー・カラトナ・モンテフェギア」
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【070】高級な撒き餌

「ふむふむ、タイトル戦っていうのはね。自分の称号を賭けた戦いで、称号戦とも呼ばれているんだって」


 俺に向かってセンが得意げに話し始めた。


 へー、詳しいね。何処でそんな情報を仕入れて来たんだろうね。手癖が悪いというかなんというか、目癖が悪いね。


 つか、俺たちが知らない筈の事まで喋るなよ。センが心を読めるなんて知れたら厄介なんだから。


「その人、デカ妖精に一目惚れしたから、なんとか奪えないかって考えてるみたいよ」


 だから、言うんじゃねえよ!


 そういう時こそ俺の心の声を読めよ!


「知りたいかと思って」


 別に興味ねーし! つか、しっかり心の声拾ってんじゃねえか!


「な、何故その事を知っている!」


 ほらね。自分しか知らない事を言い当てられたら、驚くでしょ普通。


 男が目を剥いてセンを凝視した。


 つか、取り敢えず顔の血を拭ったら? 普通に怖いよ。


 そう思っていたら、血だらけの男なんか比にならないぐらい、凶悪な表情を浮かべてセンが声を上げた。


「薄汚い顔を向けて我に話し掛けるな、野良犬! 食い殺すぞ!」


 ぞくりと背筋を何かが這い上がるような感覚がした。


 おおぅ、おっかねえ。


 でもなんだろうこの感じ。怖いんだけど、癖になりそう。


 激辛の麻婆豆腐を食べて、ひぃひぃ言いながらもスプーンが止まらない感じと似ている。


「そういうのが好きなの?」


 表情を緩めて、センがニコニコと笑顔を向けて来た。


 このギャップである。


 確信犯でやってるこの狐は、やはり悪い狐なのだろう。ちゃんと躾ないと、俺が手の平で転がされてしまいそうだ。取り急ぎこの狐には、ピリリと辛い、麻婆豆腐センと呼び名を変えることから始めようと思う。


「それは嫌!」


 うん。この表情は本気で嫌がっているな。


 いいか、セン。大人しくしてないとこれからは、麻婆豆腐センと呼ぶからな!


 俺が心の中でビシッと言ってやると、センは狐耳をうなだれて大人しくなった。


 よしよし、で? なんの話をしてたんだっけ?


 ああ、そうそうタイトル戦がどうのって話だったわ。


「取り敢えず魔王以外の称号には興味ないから、あんたはどっか行ってくれよ」


「は! 何もわかってねえな! なんの称号も持ってない奴と魔王がタイトル戦なんてやるわけがねえだろうが!」


「ん? タイトル戦で魔王に勝てば魔王の称号が貰えるの?」


「ん? ああ? そんなの当たり前だろうが!」


 ふーん、なるほどね。それなら魔王になるのって結構簡単かもね。


「ねえ、エディナ。こっちから魔王を探しに行くのも面倒だからさ。向こうから来て貰おうよ」


「え? どうやって?」


「ティターニアを公表するってのはどうかな?」


 俺の言葉にエディナは驚き、ティターニアはくすりと笑みを漏らした。


「さすがは創造主様。大胆な発想をお持ちですね。エディナ、わたくしは一向に構いませんよ」


「え! でも、そんなことをしたら……」


「エディナ、わたくしの力を信じなさい」


 ティターニアはそう言って、氷のように冷えた視線を向けた。


 その視線を受けて、エディナだけでなく、その場の空気も凍りつく。


 ゴクリと唾を飲み込んで、エディナは眉に皺を作る。


 そして言った。


「……わかった、あなたの力を信じるわ。でも、今この場で見せて頂戴。それだけの自信を持つあなたの力を!」


 ハッキリと声を張るエディナを見て、ティターニアは口元を緩めた。


「ふふ、今のはなかなかに良かったですよ」


 そう言うとティターニアは席を立ち上がり、エディナへ向かって跪いた。


「主人の命に従い、我が力をご覧に入れましょう」


「ええ、見せつけて頂戴」


「御意に」


 次の瞬間。


 ティターニアの姿が消えた。


 その光景を目の当たりにしていた人々が騒然とする。


 そして、気が付けばティターニアは、顔面血だらけの男の背後に立っていた。


「主人の命によりタイトル戦をお受け致します。今、この場で。当然ルールは、デスマッチです」


 その言葉に慌てた客たちが、二人から距離を取り店内は更に騒然となる。


「俺が勝った場合、あんたを貰い受ける!」


「勝手なルールを付け足さないでいただきたいのですが、まあいいでしょう」


「そうこなくっちゃな! あんたみたいな召喚モンスターがいるとは、俺はついてるぜ」


「ついてる? どこまでも愚ですね」


 ふわりと舞ったティターニアは、空中で静止すると虹色の羽を広げる。


 その神々しさには、誰もが息を呑んで魅入ってしまう。


「魔王を誘き寄せる撒き餌となる為に名乗っておきましょう。わたくしの名はティターニア。【LG】【ティターニア】です。さあ、挑んだ事を後悔する準備はできましたか?」


その言葉に男はピクリと眉を顰めた。

お読みいただき、ありがとうございます。


すっかり忘れてたけど、これ広告用の作品でした。でもあんましシツコイのもウザいんで簡潔に。


真面目に書いてる方の作品「マリアンたんと英雄譚」をどうぞよろしくお願いします。

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