【069】ならばタイトル戦だ!
顔面血だらけの男が、カードを掲げて決闘を挑んで来た。
別に決闘を申し込むのにカードを掲げる必要はない。
ご大層に【SSR】を見せつけてるけど、何がしたいんだろうか?
相手に手札を晒すなんて普通はしないだろうし、自分は【SSR】を持ってるから勝てばうまいぞアピールかな?
まあ、いらんけどね。
つか、そもそも決闘を受ける必要も無い。なんと言っても俺はGランクの闘士だ。委員会の決まりで、Gランク以下の闘士は決闘を受けても申し込んでもいけない。
ランク差による制限もある。
自分よりランクの低い者に決闘を挑んでもいけない。
つまり、この男はルール違反しかしてないので、相手にする必要すらないのである。
だが、俺は敢えて相手の言葉に乗っかる。
「誰を相手にしているのかわかっているのか?」
「貴様など知らん。誰だ貴様は!」
えー。知らないのに決闘吹っ掛けて来たの? ウシドーン退治のこと聞いて絡んで来た人かと思ってたんだけど……。
まあいっか。
「聞いて驚け! 俺はウシドーンを倒し、これから魔王となるエディナの恋人(予定)ブルだ!」
「ほぅ、魔王になるだと?」
男はそう言ってエディナを睨み付ける。
けど、睨まれてるエディナは全然男のことなんて気にしてなかった。
「ちょ、ちょっとブル! 何言ってるのよ! プロポーズはまだはやいわ」
いや、顔を真っ赤にして凄く可愛いけど、プロポーズはしてないよエディナさん。というか何この反応。もしかして脈ありか? ちょっとそこんとこ詳しく聞きたい。
「エディナ、もしかして俺の―――」
「無視してんじゃねえ! さっさと日時とルールを決めやがれ!」
「断る!」
俺が言うと、男はポカーンと口を開けた。
あれ? 何? もう決闘が成立したとでも思ってたの?
まあいいや、それよりエディナさん、その反応ってまさか―――。
「てめえ、決闘を断われるわけがねえだろうが!」
あーもう、この人うっさいんだけど。
「俺はGランクの闘士だから決闘は受けられないの。以上、さっさとどっか行ってくれる」
シッシッと追い払って、俺はエディナに顔を向ける。
「Gランクだと? どういうことだ!」
男が俺肩をガシッと掴んで来た。
「お前らは牛の化物を倒したと聞いたぞ! だというのにGランクだと!?」
俺のこと知ってんじゃん!
知ってて絡んできてんのかよ。面倒なやつだなぁ。
「俺はGランク。あっちの子はGランクだったけど一気に昇格してSランクだ」
「なら、そっちの女! 俺と決闘しろ!」
「え? お断りします」
「馬鹿野郎! だから決闘は断れねぇって―――」
「私、もう別の方から決闘を申し込まれてますので」
そう。強制力の強い決闘だが、実は断る事も出来る。決闘を受けてから、決闘が終わるまで。そして、決闘をした後の三日間は、どの闘士も決闘の義務から解放される。
つまり、どんなに多くの者から挑まれても、日時を最大まで引き伸ばせば、決闘は十三日に一回ほどのスパンにする事が出来るのだ。
月に二回ほどこなせば良いと考えると、ある程度強制力がなければ中々決闘が成立しないという事もあるのだろう。
ともあれ、俺たち今、この変な男の申し出を受けなくて良い立場なのであった。
あ、男が悔しそうにプルプル震え始めた。
「……ならば、タイトル戦だ!」
え? ああ、タイトル戦ね。うん、知ってる知ってる。
あれだよね。そう、あれあれ。
「なにそれ?」
「タイトル戦も知らねーで、魔王がどうのとか言ってんのかよ!」
あー、どうやらタイトル戦とは、魔王に関わりのある事らしい。
読んでいただき、ありがとうございます。
二日も病に倒れてました。
嘘です。
やる気ない病だっただけです。
だって釣り動画面白いんだもの。
あー、釣りがしたーい。
よし、まともにカードバトルしてないから、釣り物語にしよう。
ブル、自慢の竿で美少女を一本釣り!
あ、物は投げないでください。




