【067】召喚モンスターだから問題ないもん
街へ戻ったのは夕方となり、門が閉まる直前だった。
そして、閉門ギリギリにやって来た俺たちだったが、門兵に止められてしまった。
まあそりゃそうだろう。
今までは、俺とエディナ、ツクヨミにセンといった、見た目上はおかしくない面子だったわけだけど、今はこれにティターニアが加わっている。
妖精自体が珍しい生き物である上に、人と同じ大きさの虹色の羽を持つ彼女はやたらと目立つ。
つーか、そんな妖精居るのかよって感じで騒然となったのである。
ティターニアの周りには、俺が【実装】したピクシーたちがふわふわ飛んでいる。
それがまた幻想的で人目を引くのである。
いや、当然この状況は俺もエディナも想定したよ。
けどさ、ティターニアもカードに戻るつもりなんてこれっぽっちもないんだもの。
エディナも良い主人で居たいから、強く言えないし、俺が代わりに「目立つからカードに戻ったら?」って言ったら、ティターニアはエディナにチラリと視線を向けて、威圧するんですよ。
エディナも諦めた……というか目立つ事に対して覚悟を決めたのか、戻らなくて良いなんて言うから、俺にはそれ以上何も言えなかったわけです。
因みに俺が【実装】したピクシーたちも言葉を喋るのがいた。【SSR】の【フラワーピクシー】【フォレストピクシー】【アクアピクシー】の三人は流暢に言葉を発する。
ピーピーうるさかったけど、ティターニアが注意するとシュンとなって大分大人しくなった。ティターニアじゃなくてエディナの言うことを聞いてあげてね。と思わなくもなかったけど。
ともあれ、そんな妖精さんたちがエディナの周りにフワフワしてるもんだから、門兵さんも困惑して俺たちを止めざるを得なかったわけである。
「あのさあ、ブル君。困るんだよね」
俺にカツ丼を出さなかった兵長こと刑事さんが言った。
つか、なんで俺に言ってくるのこの人。妖精さんがフワフワしてるのはエディナの方でしょ。
「何が困るんですか刑事さん」
「その設定まだ続いてたのか? 何がって、こんな得体の知れない……いや、得体は知れてるんだが、そんなでっかい妖精見たことないんだけど」
「刑事さんが見た事ないと問題あるんですか?」
「いや、そんな屁理屈じゃなくてだね。常識的にいないだろって話だよ。居たとして……いや、実際目の前にいるんだけどね。とにかく街が騒ぎになるって話だよ」
「この子たちは私の召喚モンスターです。珍しい召喚モンスターなんて、何処にでもいると思いますけど?」
「え? 召喚モンスターなの? いやいや、こんな人型で綺麗なの見た事も聞いた事もないよ」
刑事さんが疑いの目を向けてくると、エディナは小さく溜め息を吐いた。
「ティターニア、ごめんね。直ぐに呼び出すから、一度だけカードに戻ってくれる?」
エディナに言われてティターニアはやれやれと肩を竦めて頷いた。
そして、エディナは刑事さんの前でティターニアをカードに戻すと、直ぐに召喚してみせた。
「ほ、本当に召喚モンスターだったのか!」
「ご存知かと思いますけど、先日現れた牛の化物を倒したのは私たちです。その功績でSランクの闘士となった私が、手持ちのカードで身を守る事に何か問題がありますか?」
「い、いや何もありません。そうですか、Sランクの闘士とは知らず失礼な事を致しました」
Sランクと聞いた途端に刑事さんの態度が、丁寧になった。
なるほど、権力の犬である刑事さんは、権力に弱いのか。悲しいね。このまま街に入ったら刑事さんが懸念しているように、騒ぎになるのは間違いないはずなのに。
でもまあ、街に入れて貰わなきゃいけないし、騒ぎになっても知らんけど。
そうして、入街を許された俺たちであったが、当然のごとく俺たちを目にして街は騒然となったのであった。
読んでいただきありがとうございます!
寝坊したー。
昨日昼寝をして睡眠時間は十分だったのに、十時間以上寝ていたー!
昼寝すると夜は眠くならないくせに、寝たら寝たでいつも通り寝ちゃうのなんでなん!
この原理を解明したらノーベル賞取れるね!知らんけど!




