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拳で無双!異世界カードバトル!~ルール無用の【破壊】デストラクション~  作者: まじで
1章「エヴァルディア・ユー・カラトナ・モンテフェギア」
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【006】クエンバード

「チッ!」


 エルフちゃんが舌打ちをして狼男を睨みつけた。別に俺に対して舌打ちをしたわけではないだろう。俺が抱き着いた事と、鎧さんがやられた事とは何の因果関係もないからだ。


「あなたの所為で、私の切り札がやられちゃったじゃない!」


 ……大いに関係があったようである。というか鎧さんが、エルフちゃんの切り札だということは、熊さんから俺を助けてくれたのもエルフちゃんだったわけである。


 つまり、現時点で迷惑しかかけていない俺。


 なんかその。本当に申し訳ないです。


「あなた! 何か手札を持ってないの?」


 手札? 俺は自分のポケットに手を突っ込んで何かないか探す。すると、ポケットの中に三枚のカードが入っていた。


 そのカードはふちが白銀の色をしているだけで何も書かれていない。これがロリさまがくれると言っていた、【白無垢】のカードだろう。


 しかし、俺にはこのカードの使い方も意味もわからない。


「……って、ウォウルベアから逃げてた時点で期待出来ないか」


「【白無垢】のカードが三枚あるんだが?」


「そんなもの、この状況で役に立つわけないでしょ! ていうか、そんなモノ人目につくように取り出さないで!」


 うーむ、怒られてしまった。【白無垢】のカードは咄嗟に役立つ物ではないらしい。手札というからカードのことだと思ったのだが、違うのだろうか?


 【白無垢】のカードは、何にでもなれるトランプでいうところの、ジョーカー的な何かかと思ったのだが違ったようだ。


 エルフちゃんが懐から一枚のカードを取り出す。


「【火球ファイアボール】!」


 カードを掲げてそう叫ぶと、エルフちゃんの持つカードが発光して、人の頭ぐらいの大きさをした火の球が飛び出した。


 その火の球が狼男へと向かっていく。


「【障壁ウォール】!」


 狼男の後ろの方から声が響き、目に見えない空気の壁が火の球を弾き、狼男を守る。


「くっ、召喚がないと厳しいか……」


 そう呟いたエルフちゃんは、再びカードを取り出して叫んだ。


「【召喚サモン】! クエンバード!」


 エルフちゃんの手に持ったカードが発光すると、光が集まり生き物の形に変わる。そして、光が霧散するとそこには一匹の生物が現れた。


 鳥である。


 しかもやたらとデカイ鳥だ。おまけにデブい。


 丸々と太っていて、実に美味そ、げふんっ! 重量感がある。


「クエンッ! クエンッ! モゥ! クエンッ!」


 なんか変な鳴き声を上げ始めた。


 ……もう、食えん。


 ああなるほど、だからこいつデブなのかな。でも、なんか可愛いかも。


 俺がそんなことを考えていると、狼男が動き出しデブ鳥に向かって爪を向けた。


 デブ鳥は重そうな身体を捻って、その攻撃を躱そうとするがいかんせんデブだから動きが遅い。


 狼男の爪が容易くデブ鳥に突き立てられ、デブ鳥はなす術もなく倒れ伏した。


「……モゥ。ク、クェーン」


 間抜けな声を上げると、デブ鳥は光の粒となって霧散する。


 弱っ! デブ鳥よっわ!


 ザシュリッ。


 デブ鳥を瞬殺した狼男が、俺たちの前に歩を進めた。


 あれ? これってピンチは終わってないってことか?

読んで頂きありがとう御座います。

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