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拳で無双!異世界カードバトル!~ルール無用の【破壊】デストラクション~  作者: まじで
1章「エヴァルディア・ユー・カラトナ・モンテフェギア」
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【059】エディナは悶々する

 宿へと戻って来た私は溜め息を吐いた。


 別に溜め息なんて吐くつもりではなかったけど、自然と漏れて来てしまったのだから仕方ない。


 そもそも、ブルがいけない。


 ウシドーンを倒したのはブルなのに、全部私の功績にしてしまって……。


 お陰で大変だった。


 どうやって倒したんだとか。地割れはどうやって引き起こしたんだとか。とどめはどのように刺したのだとか。そんな質問攻めにあっても私は知らない。


 私がやった事といえば、ブルから貰ったカードを使用しただけなのだから。


 ブルの指示に盲目的に従ったに過ぎないのだ。


 だというのに、みんなが私に羨望の眼差しを向けて来る。


 本当に困った。


 仕舞いには委員会に呼び付けられて、事情を説明する羽目になった。


 ここでもブルは、私が倒した事を前面に押し出して、【偶然ピタゴラス】がいかに凄いのかを力説していたけれど。唖然としていた私は、正直ブルが何を言っているのかよくわからなかった。


 精神的に疲れきった私は、食事もそこそに部屋に戻りベッドの上にダイブしてクッションに顔を埋めた。


 あー、もう。


 ブルと出会ってからは、驚きの連続だ。


 拳一つで召喚モンスターを消し去る力。


 【白無垢】を容易く【実装】してしまう想像力。


 どんな状況でもけろっとしていて、悪ふざけが出来る精神力。


 仕舞いには、異世界の知識があるだとか、神アウナス様と交換日記をしているとかも言っていた。


 何処から何処までが本当なのかなんてわからないけど、事実、ブルは伝説の【LG】を二枚も実装してみせたし、山のように巨大なモンスターを倒してみせた。


 それだけのことをしておいて、飄々としていてるのだから彼はちょっとおかしいのかもしれない。


 黙っていれば可愛らしい顔付きをしているのだが、黙っていても何を考えているのかよくわかる。顔に出ているのだ。


 ブルが一人で変な顔をしている姿を思い出して、思わず笑い声が出てしまった。


 本当に変な人だ。


 でも、豊かな表情から伝わるように悪い人間じゃない。それは私でもわかる。


 私のお尻ばかり視線で追ってるスケベなところはあるけれど、何か真剣な目標を持って行動している気がする。


 彼は、何がしたいのかな?


 私は、彼に何をしてあげれば良いのかな?


 偶然出会って、気まぐれに世話を焼いたのは、家を飛び出したばかりで不安だったからだ。


 それだけのことだったのに、彼は私に希少なカードをくれた。【実装】によって作られた世界に一つしかない【偶然ピタゴラス】と【ピクシー】のカード。


 計り知れない価値を持つこのカードの事を彼は理解しているのだろうか?


 いや、あの呑気な顔は絶対に理解していない。


 なら、私は彼が悪い人に利用されないよう、注意をして……。


 私は溜め息を吐いた。


 その必要もないかな? 彼にはツクヨミちゃんもいるし、センちゃんだっている。なんなら彼自身も委員会事務所で堂々と言い返していた。


 こうなると本当にしてあげられる事が何もない。


 かくなる上はお尻を!


 いやいや、私の尻に【SSR】以上の価値はない。胸は当然【C】の価値にも満たない。


 あれ? 女としての魅力が無い私には、最早価値と呼べるものなんて無いのではなかろうか?


 ぐぬぬ、エルフは何故胸が小さいのだ! 巨乳エルフがいたっていいじゃない。


 己の出自を恨みながら、私は悶々と一夜を過ごした。

読んで頂きありがとう御座います。


昔、塾の先生がくしゃみをする時、「くしゅん」って可愛らしい声を上げていたのを思い出した。

何故そんなことを思い出したのかというと、先日電車の中で「ぶぇくしっ!」って我慢しながらくしゃみをした後、とって付けたように「くしゅん」ってくしゃみをする女性がいたんです。

いやいや、いいけどさ。

もうちょっとやりようはあるだろっ!

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