【055】チート×チート
ウシドーンの棍棒を力任せに弾き返したツクヨミは、飛び上がるとウシドーンの腕に着地した。
そのままスタタタと腕の上を走り出し、手に持った【胡蝶】を首元に一閃。
ぶしゃっ、と血飛沫を上げてウシドーンの頭が切り離される。そう思った時。
ウシドーンの首からはモクモク煙が上がってその傷口を瞬く間に癒してしまった。
むっと顔顰めてツクヨミは二回、三回と【胡蝶】を振るうが、傷ついた体はどれも直ぐに回復してしまう。
ツクヨミの攻撃を無視して、ウシドーンはグワッと手をつき出す。
ちょこまか動くツクヨミの動きは捉えにくいが、ウシドーンのスピードの方が速い。
ツクヨミがウシドーンの腕に捕まりそうになった時、その背中に大きな衝撃が走った。
センが再び放った【天雷】の一撃である。
ツクヨミを無視して振り返ったウシドーンがセンを睨み付ける。
そして、素早い動きで棍棒をセンに向かって振り下ろした。
ツクヨミでさえ躱せなかったその一撃。
しかし、センはその一撃を透過するようにスラリと躱す。
バリバリと音を立てて帯電する雷が、センのもふもふの毛を棘のように逆立てている。
全身に雷を纏ったセン。
その動きは閃光のように速かった。
センは【緋千華】を振るいウシドーンに一撃を加えていく。
だが、それでもウシドーンは怯まない。
速度が上がったとはいえ、【天雷】でも倒せないウシドーンの肉体を容易に傷付ける事は出来なかったのだ。
チッと舌打ちをしてウシドーンから距離を取るセン。
「ええい、 頑丈なっ! チビじゃり、ゆくぞ!」
そう言ってセンは、【緋千華】を尻尾の中に戻して印を結ぶ。
センの両手が流れるように形を変え、帯電する雷が力強さを増した。
「招来せよ、【天竜】!」
センが叫ぶと天が割れ、雷で作り出された一匹の竜が出現した。
竜は口を開けて吠えるとグルリと旋回したのち、バリバリと音を立ててウシドーンへと向かって降下してくる。
そして。
そのまま竜はウシドーンに纏わり付いていたツクヨミに直撃した。
それで良い。
【天竜】は攻撃用の術ではない。
これは、センの持つバフ。
攻撃力、防御力、素早さ、連撃率、属性耐性、追撃、ダメージ上限上昇の付いた完璧な性能だ。
【天竜】を付与したツクヨミは本当に強い。レイドボスでさえ、一人で倒してしまうほどに。
センのようにバリバリと音を立てて、体に雷を纏ったツクヨミ。
その眠たげな瞳がギラリと光る。
そして、ツクヨミは刀を掲げて上段から振り下ろした。
その一太刀は、大地を割った。
ウシドーン諸共。
綺麗な線が入り、ウシドーンの体は真っ二つに割れて地面に倒れた。
物凄い地響きを立てて倒れるウシドーン。
そのウシドーンへ背を向けてツクヨミが【胡蝶】を鞘に収める。
チンッと音を立てて刀を収めると、ツクヨミが声を漏らす。
「つまらぬモノを斬ってしまった」
……ツクヨミさん。とりあえず台詞に統一感がないです。
「やったの!?」
二人の戦いを興奮気味に眺めていたエディナが声を上げる。
ちょ、エディナさん。
それは言っちゃダメなやつだよ。
誰かがそう言うと大概……。
ズシンッと大地を踏みしめ真っ二つにされた筈のウシドーンが立ち上がった。
ほらあ、やっぱり。
ウシドーンの怒りの咆哮が周囲に響き渡った。
読んで頂きありがとう御座います。
休憩を伝えようと思ったら、自分のチームの人がトイレに立っていたわけですよ。
だから、その人のPCでメモ帳開いて「休憩です」ってフォントサイズ大きくしてメモを残しておいたの。
そんでもって自分が帰って来た時、その人がそのメモ帳を眺めていたから自分が書いたんですよって言ったら苦笑い。
そんな顔するところか?と思ってそのメモを覗き込んだら、「ハゲ、休憩です」って自分の知らない文字が付け加えられてました!
やめて、勝手に付け加えるの! そんな酷いこと言ってないよ!




