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拳で無双!異世界カードバトル!~ルール無用の【破壊】デストラクション~  作者: まじで
1章「エヴァルディア・ユー・カラトナ・モンテフェギア」
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【054】ウシドーン

 スタタタと忍者走りをしながら、ツクヨミは衣の中から一本の剣を取り出した。もちろんただの剣である。


 しかし、ツクヨミはその剣を、衣を弓の形に変えてあてがうと、力強く引き絞りウシドーンへ向かって放った。


 どれだけの力で引き絞ったのか、その一撃は有り得ない速度を生み出しウシドーンへ直進する。


 突然放たれたこともあってか、ウシドーンはその攻撃に気が付かない。


 そして、ウシドーンへ届いたその剣は、着弾と同時に大爆発を起こした。


 なんでだよ!


 ツクヨミに装備させていたのは【胡蝶】のみである。大爆発する剣など持っているわけもない。どうやって爆発を起こしたのかがまるでわからん。


 ツクヨミは英霊ごっこをしているだけなのだろうが……あ! 今度は双剣を取り出した。さすがに良くないと思ったので、俺はツクヨミのカードに向かって注意をする。


「ツクヨミさん。カッコいいけど、そろそろ自重してくださーい」


 立ち止まり、ムッと不貞腐れるツクヨミ。


 しかし、その横をセンが駆け抜ける。


 センは風のように地を駆けると、大地を踏みしめ大きく跳躍した。


 金色の尻尾がふわりと風にそよぐ。


 そして……。


 センは高々と掲げた腕を振り下ろして声を発した。


「【天雷てんらい】!」


 それと同時に、天から五本の雷が降り注ぐ。


 雷は砂と化した大地を抉りながら、五本全てがウシドーンへと直撃する。


 その衝撃にはウシドーンの巨漢を以ってしても耐えきれず、大きく仰け反った体を支え切れずに尻餅をついた。


 地響きを鳴らし、周囲に砂埃が捲き上る。


 さすがレジェンド。強いです、凄く。


「ゲホッ! 何が起こった!」


 あ、戦隊いるの忘れてた。


「センさーん、ツクヨミさーん。彼らには避難して貰ってね」


 俺が指示を出すと、ツクヨミは俺の指示なんてそっちのけで手に握った双剣をブンブン振ってやらせろアピールをしてくる。


 その点センは素直だ。


 直ぐにAランク戦隊の前に駆け寄って避難を呼びかけてくれた。


「邪魔じゃ、ゴミ共が! こやつの相手は我がする。小蝿が舞うと気が散る、とっとと帰ってクソでもしておれ!」


 急に口悪っ!


 つか、その喋り方やめたんじゃないの? そっちが素なの? もうちゃんと言うこと聞かないこの二人はどうしたらいいんだ。


 いや、聞いてはくれてるんだけどね。


「何者だ! お前らは!」


「童、口の利き方には気を付けろ!」


 そう言ってセンは、尻尾から取り出した【緋千華】を戦隊にひと薙ぎした。


 烈風が巻き起こり、戦隊とついでにゴリラを容易く吹き飛ばす。


「ぎゃー!」


 結構な高さまで上がっちゃったけど知らない。俺は悪くない。悪いのは世界であり、ロリ様でありセンだ。これは必要な犠牲だった……南無。


 とかなんとかやってると、ウシドーンが完全に体勢を立て直している。


「セン! ツクヨミ! まじで気を付けろよ!」


 戦隊のことはすっぱり忘れて、俺が真面目な声で言うと二人は顔を引き締めた。


 ツクヨミも双剣は諦め、【胡蝶】を取り出す。


 そして、ウシドーンが今まで見せなかった動きで、二人に襲い掛かった。


 竜巻を起こしながら振られる棍棒は、恐ろしく速い。その動きはツクヨミよりも格段にだ。


 避け切れなかったツクヨミに振り下ろされた棍棒が激突する。


 ドーン! と大きく音を立てて叩き付けられた棍棒。その一撃はツクヨミ諸共、大きく地面に沈んだ。


 まさかっ!


 牛がドーンする。


 だからウシドーンなのか! なんて安直な! 絶対牛丼から文字ってるんだと思ってた。予想を外してくるとはやるな、ロリ様!


 いや、そんなことよりツクヨミだ。


 俺は手元のカードに視線を向ける。


 うん、大丈夫。カードはくすんでない。ツクヨミは無事だ。


 そう思っていると、ウシドーンの棍棒が地面からぐぐぐっと押し返される。


 肥大化したツクヨミの衣が、腕の形となって棍棒を掴んでいるのだ。


 屈んだ状態でツクヨミは静かに声を発する。


「お前に足りないもの……それは、情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ! そして何よりも―――」


 ツクヨミの衣がドンッと棍棒を一気に弾き飛ばした。


「速さが足りない!」


 ちがーーーう! それ兄貴の台詞!


 しかもめっちゃスピード負けしとったやん!


 言いたいだけじゃないっ!

読んで頂きありがとう御座います。


今日は頑張って真面目に書こうと思ったらこうなりました。

反省はしていない模様。

途中でコメディを真面目に書くってどういうことやねん!ってことを思ったり思わなかったり。

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