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拳で無双!異世界カードバトル!~ルール無用の【破壊】デストラクション~  作者: まじで
1章「エヴァルディア・ユー・カラトナ・モンテフェギア」
52/204

【052】イエローは何度も引く

 ピンクのサソリがやれてしまい、驚き硬直するレッドを、ウシドーンが踏み付けようとした。


「退がれ! バイオレット!」


 そこに疾風怒濤のなんちゃらが声を上げて滑り込み、なんとウシドーンの足を両腕で受け止める。


 ズンッ! とのし掛かるウシドーンを疾風なんちゃらは、生身で支えたのだ。


「助かる!」


 ぺちゃんこになりそうだったレッドは、なんとか後退し体勢を立て直す。


 うおっ! すげえ! そんな事できんの!?


「ぐっ、重い! 【筋力強化パワーブースト】! 【召喚サモン】! 【アイアム・ゴリラ】!」


 目をキラキラさせたゴリラが召喚され、疾風……もう、グリーンでいいや。


 明らかにパワーファイターなグリーン。それを手伝うように、ゴリラはウシドーンの足裏に手を添えた。


 疾風怒濤はどこからきた二つ名なのだろうか。すごく気になる。


 あとゴリラ。無駄にやれやれみたいに、イケメン面すんな。ムカつくわ! 自己主張の激しい奴め。……私はゴリラか。うん、ウザい。


「一気に行くぞ!」


 今度はエンドマジックことブルーが声を上げた。それに追従するようにピンクと、えーっと、あと……黄色ね! イエローも続く。


「【風刃ソニックブレイド】!」


「【火槍ファイアランス】!」


「【再引ドロー】!」


 三名の魔法カードが発動する。ブルーの出した風の刃がウシドーンへと迫り、ピンクの炎の槍も迫った。イエローはカードを引いた。


 風の刃も炎の槍も、ウシドーンが振るう巨大な棍棒で簡単に蹴散らされる。


 眉間に皺を寄せて唸るブルーとピンク。


 そして、イエローはデッキから引いたカードを見て唸っていた。


 イエローさん。公式戦じゃないんだから、デッキからカード引いても意味ないと思うよ。周りのみんなもツッコンであげてよ。


「もう一度行くぞ!」


 三人にレッドが加わり再び魔法カードを発動させた。


「【光剣ライトソード】!」


「【風刃ソニックブレイド】!」


「【火槍ファイアランス】!」


「【再引ドロー】!」


 またしても、ウシドーンの棍棒で薙ぎ払われる魔法。イエローは相変わらず、引いたカードと睨めっこである。


 あ、そろそろグリーンがヤバそう。


「ま、まだか!」


 プルプルと震えるグリーンは、額から汗を噴き出して喘いだ。隣のゴリラは苦虫を噛み潰した表情をしている。まじいな、これは。ってか? ゴリラまじウザい。


「イーカサマ!」


 レッドの叫びにイエローは首を振った。


「くっ、もうワンターンだ!」


「【光剣ライトソード】!」


「【風刃ソニックブレイド】!」


「【火槍ファイアランス】!」


「【再引ドロー】!」


 三度放った魔法は、今まで同様打ち払われる。あー、もうダメそうだな。俺はそう思い、ツクヨミとセンに指示を出そうとした。


 その時だった。


 イエローが声を上げた。


「来た! 一枚足りないが仕方ない!」


 そう言ってイエローは手に持った四枚のカードを掲げる。


「集いし力を一つに束ねよ! 【魔導マギア】!」


 イエローが声を発すると四枚のカードが光り輝き、黒い稲妻を巻き起こした。暴風を生み出す稲妻は、巨大な腕の形に集まると、イエローの合図と共にウシドーンへと殴りかかった。


 棍棒で受けたウシドーンがバランスを崩し、たたらを踏むように後退する。


 おぉ、イエロー凄いじゃん。


 ふざけてるのかと思ったけど、真面目だったんだな。なんだろう? カードを集めて使用するタイプもあるのか……。実戦でも、ターン数を稼がないといけない制約でもあるのかな? まあ、取り敢えずブラボー。イカサマつおぃ。


 危なかったぜ! そんな表情を浮かべながら、ゴリラが額を拭う仕草が目に留まる。


 ゴリラ……お前はいちいちウザいな。

読んで頂きありがとうございます。


いや、古戦場が忙しくてお休みしてしまいました。文句はあんなに時間のかかるゲームを作ったサイゲにお願いします。

私は悪くないのだ!

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