【051】頑張れレッド!
一歩、また一歩とウシドーンは街へと近付いていた。
まあ、正確には俺に向かって来てるんだと思うけど、俺はまだ門を出て少し先の街道へ出たところだ。直線上だと街との間だから、街へ向かっているで間違いない。
寧ろ目的地が街になってしまえば良いとさえ思っている。
最低野郎である。
そして、そんな最低野郎とウシドーンの間には、正義感溢れる愚か者……じゃなくて、責任感のある闘士たちが立ち塞がったのだ。
ほんと。他の闘士とか知らないけど、まじで心配になってくる。
でもまあ、あんなビルみたいな牛お化けを見て逃げないんだから、相応のカードを所持しているのだろう。
なのでちょっと様子見である。
あわよくば倒してくれるとありがたいです。頑張れ中二戦隊!
俺の心の応援が届いたのか、片足立ちで構えていたレッドが走り出した。あ、勝手にレッドにしてるだけです。たしか、鮮血のバイオリンとか言ったけ?
「バイオレットよ」
ふむ、ニアピンだったようだな。
で、紅一点のピンクは―――
「誘惑のリーンベルね」
そうそう。
って待てい! 何故心の声がだだ漏れしている!
むっと顔を向けると直ぐ隣にはセンが立っていた。
キッと睨みつけると、センは、ん? どうしたの? みたいな顔をしている。
「俺に対して【千里眼】使うの禁止!」
「えー、悩んでたから教えてあげたのに」
余計なお世話だ! というか本当に使うのやめたかわからんな。よしっ!
俺は心の中で強く念じた。
セン可愛いセン可愛いセン可愛いセン可愛いセン可愛いセン可愛いセン可愛いセン可愛いセン可愛い!
徐々に頰を赤く染めて、耳と尻尾をピクピク動かすセン。
「貴様ー! 見ているなっ!」
俺はズビシッとセンを指差して説教タイム。
「あーん、ブル賢い〜」
「ちょっとブル! ふざけてないで! 始まるわよ」
くっ、センの所為でエディナに怒られてしまった。覚えていろよ。あとでモッフモフの刑にしてやる。
俺があんなことやこんな事を考えていると、センがブルッと体を震わせた。
この野郎、まだ見てるな。
だが、いい加減センに構っている場合じゃない。俺たちのヒーローがウシドーンと戦闘を開始したのだ。
「【召喚】、【ピンクキャンサー】!」
レッドが召喚したのは、ピンクのサソリ。まあ、人と同じぐらいの大きさだから小さくはないけど、ウシドーンに通用するのかな?
ウシドーン七階建てのビルぐらい大きいよ。
「【巨大化】! そして【地形:砂漠】だ!」
レッドが叫ぶと辺り一面が砂漠になり、ピンクのサソリが二回りほど大きくなった。
いやいや、巨大化は怪人の役目であって、ヒーローがやるもんじゃないって。しかもサイズはでかくなったけど、ウシドーンと比べるとまだまだ小さいし。
しかも、風に砂が混じって、ペッ、ペッ、口に砂が入る。迷惑だなあ。
そんな事を考えていると、ピンクのサソリは砂の中に潜り込んだ。
なるほど、地中から攻撃するわけだ。果たしてどれほどの効果が得られるのかと期待していると……。
ウシドーンが大きく足を上げて地面を踏みしめた。
ズシーンと響く音と砂埃が舞う。それと同時にプチッという音が鳴った。
「ピンクキャンサー!」
あ、どうやらやられてしまったらしい。
地中に潜った相手を地面ごと潰すとか、もう無茶苦茶である。
というか、この人たちは本当に大丈夫なのだろうか。
読んで頂きありがとうございます。
昨日も寝落ちした〜!
なので通勤中に書いてます。
スマホだと、全角スペースの入れ方が分からん!誰か教えて下さい!
あとキャンサーはカニ座だろ!ってツッコミ忘れた!
直さんけど!




