【020】カツ丼は出てこない
「だから刑事さん! 俺はやってないんですよ!」
狭っ苦しい部屋の中で、俺は言った。
小さな机を挟んで俺と対峙している兵士は、話を聞いているのかいないのか生返事を繰り返していた。
「あー、まあ話は大体わかった。で? 何人やったの?」
「刑事さん、話聞いてますぅ! 」
「聞いてるよ。それと、その刑事さんとかいうわけのわからない呼び方やめてくれるかな?」
「わけは分かりますよ! 取り調べをする人は刑事さんって相場が決まってるでしょう! そんなことより俺はお腹が空きましたよ!」
「あー、もう刑事さんでも何でもいいや。俺も腹が減ったからさっさと帰りたいんだが?」
チッ。この刑事はまるでわかってない。腹が減ったと言ったらここはカツ丼を出すところだろうが! 言葉もわかるし、金銭の感覚も同じだというのに、肝心のお約束が通じないとは! なんたる異世界!
「黒髪の子は君に追いかけられたと言っていたぞ?」
「ツクヨミはうちの子ですよ! 可愛さ余って抱擁ぐらい普通にします!」
「エルフの子は舐め回すように見られたと言っていたね」
エディナはいったい何がしたいのっ!? 味方じゃないの!?
「……刑事さんはエルフが可愛いとは思わないんですか?」
「まあ、成人したエルフはみな綺麗だとは思うよ」
「じゃあ、わかるでしょっ! あんな可愛い子がいたら見ちゃうでしょ! 舐めるように! 余すところなく!」
「性欲に素直っと」
「何書いてるんですか、あんた!」
勢いよく立ち上がった俺に対して、刑事さんはいいから座りなさいと俺を宥める。
ぜいぜいと息を切らして、俺はどかりと椅子に腰かけた。
「惚けているようだからハッキリと言うけどね。君たちの話は辻褄が合わないんだよ。いいかい? 君たちが襲われたという長馬は、まだこの街に到着していないんだよ。どうして長馬から落ちたらしい君たちが、長馬よりも先にこの街に到着しているんだい?」
「だからそれは、召喚モンスターを使ってですね」
「なら、その召喚モンスターをここで出してみなさい」
ぐぬぬ。もう出している。なんて事も言えない。俺の持っていた鞄は押収されてしまったが、カードだけは取られなかった。この世界では、取り調べをするぐらいでは人様のカードを押収することはしないらしい。
だから、俺の手元にはツクヨミのカードと【白無垢】カードがある。
さすがにそれを使用するわけにもいかない。
俺が困り果てていると刑事さんは、肩を竦めてみせた。
くっ! 勝ったつもりか! なら見せてやろうか! 新たな召喚モンスターを!
俺はポケットの【白無垢】のカードをぎゅっと握りしめた。
その時、部屋の扉が開いて、一人の兵士が部屋に入って来た。
「兵長! 確認が取れました。その男の入学許可証は本物のようです」
「そうか。良かったなブル君。もう、行ってもいいよ」
は? 何言ってのこの人?
俺の入学許可証を調べてたわけ? だからまともに話を聞いてなかったわけ? 腹立つぅ!
わざわざ詰めるようなことまで言って!
俺がジト目を向けていると、刑事さんはニヤリと笑ってみせる。
「君たちのような若者に何が出来るとも思ってないのさ。けどね。こっちも仕事でやってるんだ。あまり嘘を吐くのは良くないよ」
別に嘘なんて吐いてないのだが……もういいだろう、面倒くさい。
無事釈放されるみたいだし。
そうして無事釈放された俺が外へと出ると、美少女二人が待っていた。
俺と視線が合うと、サッと目を逸らしてくる。
こいつら〜! 俺のことをうりやがって!
いつか抱き締めてチューしてやるから覚悟しろよ!
読んで頂きありがとう御座います。
歯医者に行った所為で、適当な内容になってしまったぜ!歯医者なっ!全部歯医者が悪いんだ!




