【002】プロローグ②
だんだん口が悪くなった神さまに、殺すぞって言われた。
もうお仕舞いだ。絶望的だ。
大体もう死んでる筈の人間をどうやって殺すのだろう?
俺は二度死ぬ!
なんだかタイトルっぽくてカッコいい。
てか俺の名前はなんだっけ?
なんか主人公っぽいカッコいい名前だったような気がするんだが? うーむ思い出せない。
『野良犬もしくは、淫犬ね』
あのさー。ロリさまさぁ。さすがにそれはないって。淫犬と陰険を掛けてるのところに頑張りを感じなくもないけど、人の名前じゃないって。
『反省の色が見えないようね』
ロリさまの機嫌が明らかに悪くなった。うん、そろそろふざけるのはやめよう。
で? で? 俺にどんなチート能力をくれるんだい?
俺は犬のように尻尾を振ってみた。実際尻尾はないし、体も動かないんだけどね!
『チート能力をあげるなんて言ってないんだけど』
え? ハーレムうはうはにするには、チート能力がなきゃ無理でしょ? そりゃあもう凄いやつ。どーんとかバーンってやつが必要だって。
『そもそも、あなたが転生する先でどーんとかバーンとか出来ても意味がないと思うけど」
え? どんな世界に転生させようとしてるわけ?
『あなたが転生する場所は、カードゲームが流行ってる世界よ』
え? なにそれ。なんでそんなつまらなそうなところにすんの? もっとダンジョンとかケモミミとかエルフとかいるファンタジーにしようぜ。
『あるわよダンジョン。ケモミミもエルフもいるわ』
良いね! そこにしよう!
『じゃあ、さっさと送るわよ』
待てええい! しれっとそのまま送ろうとするんじゃない! チート能力はどうした! ハーレムうはうははどーした!
『凄く不愉快だったから、別にいっかなって』
いやホントすみません。マジで謝るから勘弁してください。
俺が必死で懇願するとロリさまは、溜め息混じりに頷いてくれた。
ちょろいね! ホント!
『世界中のカードの中から一つだけ、カードを使用せずに無制限で使用できるようにしてあげるわ』
ロリさまがそう言うと、俺の脳内に目まぐるしくカードの情報が映し出された。【拘束】【毒】【消去】【上昇】【罠(落とし穴)】【罠(大石)】【火球】【水球】【フィールド(砂漠)】【フィールド(氷山)】などなど。
魔法カードにトラップカード。そしてフィールドカード。一体どんなルールで戦うのかは知らないが、数が随分と多くて、特性がよくわからないものまである。
先ずはルール説明からして欲しいんだが……。
そう考えていると、ロリさまがせっついてくる。
『はやく選びなさい』
いや、選べと言っても、効果とかいまいちわからないし……。
『じゃあ、なしでいいのね? あと十秒で決めないとな無しにするわ』
うわー。待て待て、ええっと。わかりやすい【業火】とかどうだろう? でも魔法があまり効かなかったら? 怪我した時の為に【治療】とかは? いや便利だけどチートにしちゃ弱過ぎる。
そうこう考えているうちに、ロリさまのカウントは十を数え切るところになった。
あーもう仕方ない。これだ!
そして俺が最後に脳内で掴み上げたカードは、拳の絵が書かれたカード。【破壊】と書かれたカードだった。
『じゃあそれで決定ね。あと、召喚カードってのがあるから、特別に【白無垢】のカードを三枚あげるわ。それと毎日日記を書いて私を楽しませること。つまらなかったら、即人生終了だからよろしく』
いや、いきなり条件追加とか酷くね?
そもそも、日記とか書いたことないから!
『じゃあ、いってらっしゃい』
まてまて! ルール説明は? 【白無垢】ってなにさ!
俺の質問には答える気もないのか、ロリさまは何やら呪文のようなものを唱えると、さっさと俺を異世界に送ってしまった。
俺はこの時初めて思った。
ロリをおちょくるのは良くないと。
読んで頂きありがとう御座います。
二時間後に三話目投稿済みです。