【197】ジャンジャン実装するお
「ぬう、意外と集まらなかったな」
「と云うかお金が全然足りなかったね」
センの空間移動を使用して、俺は色々な街を回って【白無垢】のカードを集めた。
けれど、俺がエディナに【LG】を与えてしまったが為に、銀の【白無垢】は高騰に高騰を重ね今じゃ【7000千万】イェンを超えていた。
しかもこれはあくまでオークションの落札価格であり、実際にはもうちょっと変動する。
しかも俺は急遽集めなきゃ行けなかったので、都合良くオークションなどやっていなかった。その為、銀の白無垢は個人を当たって買い求める事になったのだが、当然普通の金額じゃあ譲ってくれない。
【1億】イェンを提示してようやく譲り受ける事が出来たわけ。
資金は日頃のクエストと、ルティルが手掛けてくれてるポテサクの委託販売やらでそこそこあったんだけど、それでも二枚買い付けるのが限界だった。
いや、もうちょい行けたんだけど、今後メイド喫茶の二号店とかの計画が持ち上がってるから持ってるお金を全部使っちゃうわけにもいかなかったわけですね。
と云う事で結局集められたのは、銀の【白無垢】が二枚、銅の【白無垢】が十二枚、鉄の【白無垢】が二十一枚だった。
デッキ一つ作る事も出来ねぇ。
まあ、エディナは【LG】一枚しか持ってないから、十分な戦力を確保出来てるとは思うけど。
「取り敢えずミルの【LG】を実装するけどどんなのが良い?」
「え? 私のですか? 私よりも先に戦い慣れている方を優先してあげた方が良いと思いますけど? 私には、センも付いてくれてますし」
いや、仲が良いみたいだけど、センは俺の【LG】だし、今回は参加出来ないからね。
それに悪狐とはいえ、センを持ってかれちゃったらうちの子はあんなのだけになっちゃうんだから。
俺がベッドの上に視線を向けると、そこではツクヨミとワタツミが仲良くゴロゴロしていた。
ツクヨミは最初からだけど、ワタツミさんちょっと染まり過ぎてませんか? うちの真面目担当がそんなんじゃ困るのよ。
「まあ、大事な妹だからお兄ちゃんとしては、優先してあげたいわけよ」
そう言うとミルは「まあ、お兄様」と瞳を輝かせた。チョロいところも好きだよミル。
「それでしたら、センと同じキツネの獣人が良いです。モフッとしてる抱き心地の良い子なんて素敵ですね」
そっか、ミルはセンの抱き心地を気に入ってるんだ。うーむ、そうなると九尾とか尻尾がいっぱいあってモフッとしてるんだけどなぁ。でも金色の毛並みがセンと被るしなぁ。
そこで俺はハタと気が付いた。いたいた。あの子にしよう。
氷のような銀色の毛並みのあの子だ。
俺はいつものように、記憶を手繰り寄せて声を上げる。
「来いっ! 銀狐・雪!」
俺の【実装】は完璧。失敗などない。
他の【LG】と違い、静かにカードへ浮き出た模様を確認する。うむ、ちゃんと【LG】だ。
む、というかユキは何処に居るんだ?
【実装】直後に召喚されなかったのか、ユキの姿が見当たらない。
と思っていたら。
「きゃっ」
とミルの悲鳴が鳴った。
「モフ〜」
間の抜けた声を上げてミルの後ろから抱き着いていたのは間違い無い、銀狐ユキである。
「びっくりしました。というか冷んやりして気持ち良いです。センとは違った良さが……あ、なんか癖になりそうです」
「ミルはあったかくて気持ち良いね〜。僕はユキだよ〜、宜しくね〜」
「はい、宜しくお願いしますねユキ」
うーむ、まだ譲渡してないのだが、何故ユキはいきなりミルにべったりなのだ。
俺も抱き着かれたいんだけど。
そんな事を考えてたら、ユキがこちらを見てふらふらと近付いて来た。
そして俺に対してもモフッとして来る。
おうっ、確かにちょっと冷んやりしてて気持ち良い。しかもセンほどじゃないけど、柔らかな膨らみが当たってグッド。
「マスター失礼だね〜。あの天狐が大き過ぎるだけで、僕だってそこそこあるんだから〜」
そう言ってユキは自分の胸をぐりぐり押し付けて来る。
おぅふ。ちょっと、それ以上はヤバいって。
……っと待て。俺は今言葉を発していただろうか?
いや、俺は何も言ってない筈だ。
……ということはつまり。
「ピンポ〜ン。狐の妖怪は心が読めるんだよ〜」
「ヤバい妖怪だった!」
「酷いよ〜、自分で実装したくせに〜」
うん、ごめんね。でもうちには心を読んで悪さする奴しかいないからさ。ユキがそうじゃない事を祈りたい。
ともあれ、俺はミルにユキの所有権を譲渡し、次の行動に移る。まずはフェリちゃんにも召喚してあげて、その後はみんなにもデッキに合ったカードを幾つか支給して。もう夜だから急がないとみんな寝ちゃうかもしれない。
「ね〜、マスター。お腹空いたんだけど〜」
俺が次の事を考えているとユキが声を上げた。
……ああ、そうかミルを養ってるのは俺だから、この子の食事代も俺が工面しなきゃ行けないんだった。
【LG】が増えると食事代が増える。その事を失念していた。
気安く召喚してあげたりして、フェリちゃんは大丈夫だろうか? まあ大丈夫か。いざとなれば俺がサポートすれば良いだけだし。何より欲しがってたしね。
俺はミルに食事代を渡すとフェリちゃんの元へと颯爽と駆けた。
風にセンに担がれて空間を移動したのだった。
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