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193/204

【193】え、うちはS級なんですが?

「なんかうちのクランのメンバーなんだって」


 カラドボルグを連れてみんなの元へ戻ると、俺はそう告げた。


 反応はまちまちだ。


 え? そうなの? と軽い感じのレイン。


 よろしくなの。と愛想の良いペトリーナ。


 ふーん、と興味なさそうなフェリちゃん。


 などなど、そんな感じだった。


「なんだって、とは随分他人事ではないでしょうか?」


 そう言ったのはルティル。


「うーん、俺も知らされてなかったからね。クラン設立時にロリさまが引き抜いたらしいよ」


「そうだったんですか。えっと、さっきは酷い言い方をしてしまってすみません。私はルティルです」


「……カラドボルグ・バーチェン、でぇす」


 先程よりも元気の無いカラドボルグ。


 はて、どうしたのだろうか? 俺の所為じゃないよね?


「ロリさまに命令されて、前に所属していたクランを抜けたらしいんだ。このままバイバイじゃ、余りにも不憫だし正式にうちのメンバーになって貰おうと思う」


「ブルが決めた事に異論はないわ」


 レインがそう言うと、誰も反論する事なく頷いた。


「……良いんっすか? 私のこと知らなかったみたいでぇすけど」


「うん、知らされてなかったから雑な扱いしちゃってごめんね。でもまあ、カラドボルグがうちでやって行きたいって言うならだけど。ロリさまの命令は所属するまででしょ?」


「正式にメンバーに加えて貰えるなら……入るっす。ブル・ドッグの実力は確かでぇす。私を倒せる奴は前のクランにも居なかったでぇす」


「そうなの? 因みにだけど、カラドボルグのランクっていくつ?」


「これでもSランクでぇす」


 しれっと告げられた言葉にみんなが驚きの声を上げた。


 そして、ガタンッと立ち上がるルティル。


「え、Sランク!? しょ、所属していたクランはどこだったんですか?」


「ハイホーガンズでぇす」


 何その中途半端な名前。ボケきれてもいないし、カッコ付けきれてもいないんですけど。


「A級クランじゃないですか! そんなところを辞めたんですか?」


「そうっす。でも、アウナス様のご命令じゃ仕方なかったでぇす」


 へー、凄いとこにいたんだ。それを辞めさせるとか、ロリ様めっちゃ酷いことすんのね。


「良かったじゃない。A級クランを辞めて、S級クランに乗り換える事が出来たのだから」


 レインが唐突にそんな事を言う。


「S級クランなんてあったんでぇすか!」


「これからなるのよ」


「なってないんでぇすか!」


「そうよ。けれど、うちには七人の魔王が在籍する事になるわ。つまり、うちよりも優れたクランは存在しなくなるの」


 妄言のような言葉に、カラドボルグは項垂れた。


「口ではなんとでも言えるでぇす」


「なら、私と勝負してみる?」


「あんたのランクはいくつでぇす」


「最近Aに上がったわ。というかランクで相手を判断しない方が良いわよ。ブルなんて未だにGランクのままなのだから」


 なにっ、と言ってカラドボルグがこちへチラリと視線を向けた。けれど、直ぐにレインへ視線を戻す。


「アウナス様も言ってたっすけど、【LG】の強さは反則でぇす。ルールを敷かなきゃあれを倒す手段はほぼ無いでぇす」


 おや、ただぶっ飛ばされて、殴られただけだというのに、カラドボルグはしっかりと【LG】の性能を把握していたようだ。


 そうなんだよ。強過ぎるんだよね。有り難いことに。


「なら、Sランクとはいえ、デスマッチでは私に勝てないわね」


「なんでそうなるんでぇす!」


「だって、私も所持してるもの。【LG】を」


 そう言ってレインはリンドブルムの頭を撫でた。


 目を細めて気持ちよさそうにレインの胸に顔を埋める姿は、ただの幼女であり、一見すると【LG】とは思えない。


「まさかその子が!」


「試して見る?」


 楽しそうにレインが告げると、カラドボルグは首をブンブン横に振った。


「ダメっす。【LG】は反則でぇす」


「そんな事ないわ。ちゃんと好かれないと言う事を聞いてくれないし、今この街に来ている緑の魔王も所持しているわ」


「そもそも、なんで突然【LG】なんてものが……それも複数枚も」


「さてね。【実装】出来る人でもいるんじゃないかしらね」


「ならあんたはどうやって手に……」


 言いかけたカラドボルグはレインの視線を追った。


 その先には……俺がいた。


 そうです。俺こそが最強の実装士、ブル・ドッグなのである。


 うん、この響きは悪くないね。今後名乗って行こうかな。


「良い子にしていたら、あなたも手に入るかもしれないわね。あなただけの【LG】が」


 ゴクリと生唾を飲み込むカラドボルグ。


「……それが本当なら、ウンエイは紛れもなくS級クランでぇす」


 そう言ったカラドボルグの瞳は、登場した時と同様にギラギラと輝いていたのだった。

読んでくださりありがとうございます!

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