【193】え、うちはS級なんですが?
「なんかうちのクランのメンバーなんだって」
カラドボルグを連れてみんなの元へ戻ると、俺はそう告げた。
反応はまちまちだ。
え? そうなの? と軽い感じのレイン。
よろしくなの。と愛想の良いペトリーナ。
ふーん、と興味なさそうなフェリちゃん。
などなど、そんな感じだった。
「なんだって、とは随分他人事ではないでしょうか?」
そう言ったのはルティル。
「うーん、俺も知らされてなかったからね。クラン設立時にロリさまが引き抜いたらしいよ」
「そうだったんですか。えっと、さっきは酷い言い方をしてしまってすみません。私はルティルです」
「……カラドボルグ・バーチェン、でぇす」
先程よりも元気の無いカラドボルグ。
はて、どうしたのだろうか? 俺の所為じゃないよね?
「ロリさまに命令されて、前に所属していたクランを抜けたらしいんだ。このままバイバイじゃ、余りにも不憫だし正式にうちのメンバーになって貰おうと思う」
「ブルが決めた事に異論はないわ」
レインがそう言うと、誰も反論する事なく頷いた。
「……良いんっすか? 私のこと知らなかったみたいでぇすけど」
「うん、知らされてなかったから雑な扱いしちゃってごめんね。でもまあ、カラドボルグがうちでやって行きたいって言うならだけど。ロリさまの命令は所属するまででしょ?」
「正式にメンバーに加えて貰えるなら……入るっす。ブル・ドッグの実力は確かでぇす。私を倒せる奴は前のクランにも居なかったでぇす」
「そうなの? 因みにだけど、カラドボルグのランクっていくつ?」
「これでもSランクでぇす」
しれっと告げられた言葉にみんなが驚きの声を上げた。
そして、ガタンッと立ち上がるルティル。
「え、Sランク!? しょ、所属していたクランはどこだったんですか?」
「ハイホーガンズでぇす」
何その中途半端な名前。ボケきれてもいないし、カッコ付けきれてもいないんですけど。
「A級クランじゃないですか! そんなところを辞めたんですか?」
「そうっす。でも、アウナス様のご命令じゃ仕方なかったでぇす」
へー、凄いとこにいたんだ。それを辞めさせるとか、ロリ様めっちゃ酷いことすんのね。
「良かったじゃない。A級クランを辞めて、S級クランに乗り換える事が出来たのだから」
レインが唐突にそんな事を言う。
「S級クランなんてあったんでぇすか!」
「これからなるのよ」
「なってないんでぇすか!」
「そうよ。けれど、うちには七人の魔王が在籍する事になるわ。つまり、うちよりも優れたクランは存在しなくなるの」
妄言のような言葉に、カラドボルグは項垂れた。
「口ではなんとでも言えるでぇす」
「なら、私と勝負してみる?」
「あんたのランクはいくつでぇす」
「最近Aに上がったわ。というかランクで相手を判断しない方が良いわよ。ブルなんて未だにGランクのままなのだから」
なにっ、と言ってカラドボルグがこちへチラリと視線を向けた。けれど、直ぐにレインへ視線を戻す。
「アウナス様も言ってたっすけど、【LG】の強さは反則でぇす。ルールを敷かなきゃあれを倒す手段はほぼ無いでぇす」
おや、ただぶっ飛ばされて、殴られただけだというのに、カラドボルグはしっかりと【LG】の性能を把握していたようだ。
そうなんだよ。強過ぎるんだよね。有り難いことに。
「なら、Sランクとはいえ、デスマッチでは私に勝てないわね」
「なんでそうなるんでぇす!」
「だって、私も所持してるもの。【LG】を」
そう言ってレインはリンドブルムの頭を撫でた。
目を細めて気持ちよさそうにレインの胸に顔を埋める姿は、ただの幼女であり、一見すると【LG】とは思えない。
「まさかその子が!」
「試して見る?」
楽しそうにレインが告げると、カラドボルグは首をブンブン横に振った。
「ダメっす。【LG】は反則でぇす」
「そんな事ないわ。ちゃんと好かれないと言う事を聞いてくれないし、今この街に来ている緑の魔王も所持しているわ」
「そもそも、なんで突然【LG】なんてものが……それも複数枚も」
「さてね。【実装】出来る人でもいるんじゃないかしらね」
「ならあんたはどうやって手に……」
言いかけたカラドボルグはレインの視線を追った。
その先には……俺がいた。
そうです。俺こそが最強の実装士、ブル・ドッグなのである。
うん、この響きは悪くないね。今後名乗って行こうかな。
「良い子にしていたら、あなたも手に入るかもしれないわね。あなただけの【LG】が」
ゴクリと生唾を飲み込むカラドボルグ。
「……それが本当なら、ウンエイは紛れもなくS級クランでぇす」
そう言ったカラドボルグの瞳は、登場した時と同様にギラギラと輝いていたのだった。
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