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【189】カラドボルグ・バーチェン

 帰路に着こうとした時だった。


 俺の道を塞ぐようにして、七色の翼をはためかせた妖精が降り立った。


 地に足を着けると、妖精は俺に対して膝を折って頭を下げる。


「ご無沙汰しております。我が創造主様」


 言わずもがな。ティターニアはその美しい声音で言うと、顔を上げてニコリと笑った。


「久し振り。というかやっぱり気が付いてたの?」


「お姿は見えませんでしたが、創造主様の気配を感じましたので。あの少女を引かせた【LG】が、そのお姿を隠していたのですね」


「そうだね。さすが、ティターニアにはお見通しだったかあ」


 あの時一瞬目が合ったような気がしたのは、どうやら勘違いではなかったらしい。


 というかどうしよう。隠れようとしてるのに、早速見つかってるんだが!


「エディナには?」


「黙って追いかけて参りました」


「そう。じゃあ、俺の事は黙っておいてね」


 俺がそう言うと、ティターニアは困ったような表情を浮かべた。


「今回この街へやって来た理由ですが、エディナは創造主様を探しにやって来たのです。ですので、お伝えしないわけには……」


 ティターニアがそんな事を言うので、俺はティターニアの肩に手を置いて言った。


「なら、一度消えて貰うしかないけど?」


 脅すように言ってみたけど、実際にはやらない。だってそんな事をしたら、エディナを守る【LG】が三日間も不在になってしまうから。


 俺が本気じゃない事はティターニアもお見通しのようだった。抵抗する素振りもなく、膝を折ったままジッとしている。


「創造主様のお気持ちはお察しします。ですが、エディナにも色々と事情があったのです」


「わかってるよそんなこと。俺が好きになった子は、理由もなく黙って居なくなるような子じゃないって今でも思ってる」


「でしたらせめて、会って話を聞いてあげてはくれませんか?」


 俺は小さく溜め息を吐いた。


「女々しい事を言うようだけどさ。ようやく気持ちの整理が着き始めたところなんだ。悪いんだけど、突然現れて話を蒸し返さないで欲しいんだ」


「エディナはただ、創造主様に謝りたいと―――」


「謝られて俺にどうしろっていうのさ! 恨んでもいないし、怒ってもいないのに。エディナは謝ってスッキリするかもしれないけど、俺はせっかく折り合いを付けた気持ちがよみがえって苦しくなるだけだ。俺と会った事をエディナに伝えるって言うなら、俺は会う気が無いって事もちゃんと伝えておいてくれよ」


「……エディナには、伝えるのをやめておきましょう」


「酷いね。俺が会う気が無いって言ってるのに、そのことは教えてあげないんだ」


 意地の悪い言い方だったけど、ティターニアは苛立つ様子もなく首を横に振る。


「エディナは強い子ですよ。創造主様が思っているよりもずっと。ですので、わたくしは余計な事を伝えるのをやめただけです。創造主様がどう思われていようと、エディナはきっとあなたとお会いになる」


 いや、だから会わないって!


 俺がそう言いかけた時だった。


「何をコソコソ話してるでぇすか」


 俺とティターニアが振り向くと、そこには見慣れない女の子が立っていた。


 グレーの髪を後ろで一つに束ねた、所謂ポニーテールってやつ。頭部には二本の角がみえる。牛? それとも鬼とかかな? まあ、なんでも良いけど知らない子である。


 だけど、なんか格好がエロい。丈の短いジーンズに上はビキニかなんかをつけているだけだ。まさかブラってわけじゃないだろうけど、どっちもおんなじようなもんだと思う。


 因みに胸はでかい。センよりは少し小さいけど、俺の周りは基本的に小さい子が多いから、十分でかいと言えるだろう。


「緑の魔王の【LG】とお話ししてるのは、黒のウンエイのリーダーでぇすね。ちょっと手合せ願いたいっすけど。もちろん景品はあんたの持ってる【LG】でぇす」


 なんかよくわからんのが出て来たな。


「誰? てかごめん、取り込み中だからまた今度ね」


「私の名前はカラドボルグ・バーチェン! 悪いんっすけどこれは強制でぇす!」


 なんか仰々しい名前だな。


 誰だか知らないけど、とりあえずカラド何ちゃらがカードを取りだそうとしたからセンを呼んでおく。


「セーン」


「はいはーい!」


 にゅるっと空間から現れたセンは、ティターニアを一瞥したあと俺にもふっと抱き着いた。


「とりあえず、あの子が襲って来そうだからやっつけて」


「りょうかーい」


 軽い口調で言うと、センの姿は一瞬で消えた。次の瞬間にはカラド何ちゃらにキック。


「へぶぅ!」


 カラド何ちゃらは、カードを使う間も無く蹴られた衝撃で吹き飛んだ。そのまま壁を破壊してノックダウン。うーむ、ちょっとやり過ぎじゃね? まあいいか。


「とりあえず、俺は会う気は無いからね」


 邪魔が入ったけど、再度ティターニアにそう言うと、ティターニアは困った表情で肩を竦めてみせた。

読んでくださりありがとうございます。


気が付けば三章に入っていた。書いてる自分も気がつかなった……。


はい、そんなわけないね。

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