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【184】レインの考え

「私の負けです」


 唐突にレインが言った。


 状況的にはどう考えてもレインが優勢なんだけど、何を考えているのだろうか?


 俺と同じ事を父ちゃん母ちゃんも思ったみたい。顏を顰めて難しい表情を浮かべている。


「今日見せたかったのはリムの……【LG】の力です。イーヴィル家の家督を継ぐ為ではありません」


「見せつけるだけにしては、少々事を大きくし過ぎたな。最初に告げたように、今敗北を認めるのであれば今後私に挑戦する為には大きな制限をかけさせて貰うぞ」


「……構いません。三位階級も、イーヴィルの家督も、今やどうでも良いのです」


「口が過ぎるぞレイン!」


 激怒する父ちゃんに対して、レインは落ち着いた様子で言葉を続けた。


「意味がないとは思いませんか? 【LG】がこの世に存在してしまった以上、私たちが培って来た知識も力も、全てがその一枚で覆されてしまう。どんな歴史のある家も、力を蓄えた組織も、【LG】を持つ者には敵わない。時代は大きな転換期を迎えているのですよ」


「だからと言って、今までの歴史が無駄になるわけではあるまい」


「そうです。ですが、時代の流れにいち早く乗る為に、古きしがらみに囚われていては出遅れてしまう。新たに生み出される流れに沿うには、自由である事が一番都合が良いのです」


「……レイン、家を捨てるつもりか!?」


「いいえ、私はただお父様の理解を得たかっただけです。時代を先取る為に、三位階級もイーヴィルの決め事も必要ないと言う事を。家に縛られる事なく、彼と共に自由に行動する事をお認めいただきたいと」


 そう言ってレインは俺の事を指差した。


 なるほどね。わからん。


 レインが何を言いたいのか、ちっともわからん!


「彼の作り上げた【黒のウンエイ】は、現存する全ての魔王をすげ替えるようにと神アウナス様より命じられています」


「アウナス様……だと!」


「そうです。これから起こる変化は、アウナス様が望まれる形となるでしょう。その中心には彼がいる。私は彼と共に歩み、何れは魔王の一人として時代を引いて歩く事になります。それをする為に、イーヴィル家の小さなしがらみは、ただの足枷にしかならないのです」


「……その男、それほどか」


「今申し上げた事に偽りはありません。今日の戦いはそれを証明する為のものです。彼に貰ったリムの力はご理解いただけましたでしょう? それと同等以上の力を持つ【LG】を、彼は現在三枚も所持しているのです。そして、神アウナス様の加護を受けている彼に対して三位階級の魔貴族程度が、刺客を放って良いはずもありません」


 レインがそう言い放つと、父ちゃんは言い返す言葉が見つからないのか、口をへの字にして押し黙った。


 そして、俺の事を憎い敵のように睨み付けてくる。


「……レイン、お前の言いたい事はわかった。そして、お前が嘘を付くような娘ではない事は私が誰よりも理解している。だが、それでも! 何処の馬の骨とも知れん奴に、大事な娘を容易く差し出せるか!」


 ……えーっと、何言ってんの? このおっさん。レインはそういう話をしてるわけじゃないと思うだけども。


「レインが欲しいなら、私から力付くで奪ってみせろ!」


 なんだか一人で盛り上がってるレインの父ちゃんは、そう言い放つと突然俺に向かって突進して来た。


 とんでもない身体能力を持つ、ヴァンパイアの容赦ない突進である。当然、俺が生身で対抗できるわけもないのだが……。


 俺はその突進を片手で受け止めた。


「なにっ!」

「なにっ!」


 レインの父ちゃんと俺は、同時に驚きの声を上げる。


「何故貴様が驚いている!」


 ごもっともです。でもさ、まさか自分で止める事になるとは思わなかったからさ。ツクヨミがガードしてくれると思ってたんだよね。


「……力帯」


 ツクヨミがボソリとそんな事を呟いた。


 俺は突き出された腕に視線を送ると、腕に巻き付いたツクヨミの衣が筋肉みたいな形で巻き付いていた。


 ツクヨミさん、これも某漫画のパクリ技なんですが!


 全身に巻き付いたツクヨミの衣が全て、筋肉の代わりとして俺の膂力を何倍も強くする。


 受け止めたままレインの父ちゃんをぶん投げると、空中で霧へと変わり何事もなく着地。相変わらず凄いね。それ。


 しかもさ、強化してくれるのは有難いんだけどさ。センもそうだったけど、何で俺の体を自動で動かすの? 影響受けんのやめてもらえませんかね。


 センはまだ俺の心が読めるから良いけど、ツクヨミは俺の考えわかんないでしょ?


「……なるほど、やはり只者ではないという事は間違いないようだな。貴様がレインの事を生涯守り抜くと誓うならば、認めてやらんことも―――どわぁ!」


 レインの父ちゃんが話してる途中で俺の体は突然動き出した。とんでもない身体能力で、格闘漫画みたいにパンチとキックを繰り出していく。


「な、待て、話の、途中だ、ぼぁはっ!」


 巧みな身にこなしで俺の攻撃を回避していたレインの父ちゃんだったが、ついにはその一撃が顔面を捉えて殴り飛ばした。


 盛大に吹き飛んだ父ちゃんが壁に当たると、ガクリと力なく倒れる。


 ……………。


 何してんの?


 俺がツクヨミへ視線を向けると、ツクヨミはサムズアップして俺に応えた。

読んでくださりありがとうございます。


新作を作っていると都度頭を悩ませて筆が止まるんだけど、じゃあこっちでも書くかと思って向き合うと驚く程早く仕上がる。


何事も気張り過ぎないのが良いらしい。


なお、気張らずに作ったものが面白いかは別だぞう。

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