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【177】問答無用でポコパン

 なんだかセバスチャンに認められたけど、面倒臭いので逃げて来ました。


 陽もある内から襲って来るとか、彼らはきっと頭がおかしいのだろう。けど、人通りのある大きな通りに出たら忽然と姿を消してしまったから、目立ちたくは無いようだ。頭はおかしいけど。


 取り敢えず逃げたは良いけど、セバスチャンたちが諦めたとも思えない。だから、色々と対策を練っておかなくちゃいけないんだけど……。


 むむむと唸って俺が通りを歩いていると、何かを踏み抜く感触がした。


 というか、石造りの通りが俺の踏んだ部分だけ、ガコンッと沈み込んだのである。


 何これ? なんかダンジョンとかにある罠みたいな感じなんだけど……。


 そんな心の声を、未だに俺の背中に貼っついてるセンが読んだらしく、答えを教えてくれた。


「【トラップ】カードみたいね。なんだか街中に仕込んでるみたいよ」


 へえー、そうなんだ。


 街中に【トラップ】カードを仕込んでるのかー。


 他人事みたいに考えて、俺が踏み抜いた場所から足を退けると。トラバサミみたいに左右の地面がせり上がり、俺を挟もうと迫って来た。


「うひゃあっ!」


 変な声が出たけど、センのバフはまだ有効だったみたいだ。左右から迫った地面を両手で支えて押さえ込み、そっと体を下げると発動した罠はスッと消えていってしまった。


 つかまじかよ! こんな人通りが多い場所に【トラップ】カード仕掛けるとか、まじで頭沸いてんのかよ!


 俺だから良かったけど、他の人が踏んだらどうするつもりだったの!?


「なんか街中に【地形フィールド】カードの効果が発動してて、対象以外は罠にかからないようになってるみたいよ」


 何その便利な仕様。対象って俺だよね。俺以外が罠にかからなくなってるは良い事だけど、いやちっとも良くない。


 これじゃあ、部屋に戻ってもゆっくり出来ないんだけど。やっぱり逃げたのは失敗だったかな? 何も出来ないようにやっつけておけば良かった。


「取り敢えず、宿に戻ってレインに相談してみようか」


 そう言って歩き始めると、また地面が沈んだ。


 おいおい。


 飛んで来た毒々しい色をした矢は、ワタツミが水の壁で防いでくれたけど、間隔短くね?


 そうしてまた一歩踏み出すとガコンッ。


 ……あのさあ。


 宿に帰るまでの間。


 俺は五十六回も罠にかかったのでした。多くね!?



 宿に戻るとレインは居なかった。


 代わりに待っていたのは、勿論この人。


「あれだけの罠を突破してくるとは……やはり只者ではないみたいだな」


 セバスチャンである。


「あの、迷惑なんで帰ってくれない?」


 至極真面目に言ってるんだけど、セバスチャンは何故かニヤリと笑うだけで俺の言葉なんて聞いちゃいない。


「そちらの従者も中々に厄介だ。あまりやりたくは無かったが人質をとらせて貰ったぞ」


 セバスチャンがそう言うと、縄で縛られたツクヨミが忍者に連れられて姿を現した。


 ……何やってんの? この子。


「ブル、ツクヨミに構わず逃げて」


 眠たげな表情のまま、ツクヨミが抑揚の無い台詞を述べる。


「遊んでないで、真面目にやってくれる?」


「むう。ブル、ツクヨミに構わず逃げて!」


 いや、さっきも聞いたよその台詞。


「もう一人いるぞ」


 セバスチャンがそう言うと、今度はフェリちゃんがメイド服のまま縛られて連れて来られた。


 メイド緊縛プレイ……ゴクリ。


 って、いやいやいや、そうじゃない。


 こいつらまじで何やってんの!?


 メイド喫茶でそんなメニュー無かたっつーの! 俺ですら出来ない事を平然とやって退けやがって! 許せん! まじ許せん!


 しかもフェリちゃん仕事中だったよね! どうやって攫って来たんだよ!


「わりぃ、なんか気が付いたら捕まってたぜ」


 いや、フェリちゃんは何も悪くないよ。悪いのはこいつらだから大丈夫。というか、ツクヨミだけならまだしもフェリちゃんを攫ったら、流石の俺でも怒る。


「お前が随分と熱心だったから連れ―――へぼぉあ!」


 セバスチャンがなんか言おうとしてたけど、言い終わる前に殴ってやった。センのバフはオート機能で俺を動かしてるけど、心を読めるセンは、俺が本当にやりたい事を読み違えない。どちらでも良い事は平然と読み違える。寧ろ外してくる。


 ともかく、俺が絶対殴ると決めれば、センはその通りに俺を動かすのである。


「貴様! 大人しくしろ! でなけれ人質がどうなっても知らんぞ!」


 フェリちゃんの首に小刀を当てて、忍者の一人が言った。


「というか、ちゃんと周りを見た方が良いよ」


 俺の言葉に忍者が周りをキョロキョロすると、捕まっていたはずのツクヨミが既に他の忍者を捻り上げていた。


「馬鹿な! そっちのチビも動く―――ぼへぁっ!」


 忍者が言い終わる前に俺は殴った。


 首に当てられた小刀が誤ってフェリちゃんを傷付けないようにと、ワタツミが水の膜で守ってくれたからやり易かった。


「大丈夫、フェリちゃん?」


「お、おう」


 なんだか歯切れの悪いフェリちゃん。


「……つか、てめぇも意外とカッコ良いとこあんのな」


 頰を薄く染めた姿は……うん。べらぼうに可愛い。


 ……というか、別に大した事はやってないのだが、フェリちゃんがデレた。


 ……どうやらフェリちゃんは、チョロインであったようだ。

読んでくださりありがとうございます。


休みがあっという間に終わってしまう。一日中を一年ぐらいに引き伸ばしてくれるアイテムはないだろうか。

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