【174】オープン!
商品開発は進んだ。
何をやってんだかと思わなくもなかったが、メイド喫茶でプルンプルンポテトをする為なら色々そっちのけで頑張れなくもない。寧ろ頑張りたい。
というわけで、ポテサクだけではシャカシャカ出来ないかもしれないので、細長いポテトフライも作ってみようと思ったのである。
まあ、何というか、ジャガイもどきのマッチョ腕が勿体無かったから、その部分を細長く切ってあげただけなんだけどね。
あと、昔……というか前世で個人的に作って見た事もあって、作り方を知っていたのもある。
細長く切った芋を、グラニュー糖とシロップを溶かしたものに浸してねかせる。水分を切ってまずは植物性の油で揚げてから一度冷ます。そのあと動物性の油で揚げるという、少し手間のかかるやり方だったけど、これだけの手順で味も食感もただ揚げたものよりだいぶ良くなるのである。
グラニュー糖やらシロップらしき物もちゃんとあったし、問題なく作成出来たのである。
試食して貰ったら、これはポテサクよりも好評だった。
ただ、ポテサクと違ってスナック菓子じゃないから販売には向かないけど、メイド喫茶で出すには丁度良い。
名前は、マッチョポテトになりました。
違うよ。俺が名付けたわじゃないよ。ツクヨミが言い出したら、何故だかそれが浸透しちゃっただけだよ。
そして、遂にメイド喫茶ケモケモはオープンを迎えた。
今日という日の為に仕込みは万全。
際どいメイド服のデザインに口を出し、正しいおもてなしの作法も伝授した。ポテサクやマッチョポテトもちゃんとメニューに加えて貰ったし、メイドさんと遊ぶ為の課金システムも説明してある。
加えて、リアル獣っ娘が営業するとなれば、これはもう間違いなく完全無欠のメイド喫茶が出来上がっていることだろう。
そして。
俺が期待に胸を膨らませてお店へ向かうと……そこには長蛇の列が出来ていた。
え? あれ? 人多過ぎじゃね? まだオープンしてないよね?
予想以上の人集りに唖然としていると、聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「ブルさーん!」
驚きに目を剥いたまま顔を向けると、そこには手を振ってこちらに駆け寄るルティルの姿があった。
快活で本日も可愛らしい。
「何でルティルがここに居るの?」
「何でと言いますか、ブルさんが手掛けている事業に私が協力しないわけにはいかないじゃないですか」
「え? いや、別に俺が手掛けてるわけじゃないよ。出資もしてないし、ただアドバイスを色々しただけで……」
「それは聞いてますけど、人気が出たら二店舗三店舗と増やしますよね? こういうのは勢いが大事ですから、折を見て出資するのかと思ってましたけど?」
いやいやいや、そんな真面目な事業として考えてないって! 俺はただ、自分が通いたいからあれこれ口出ししただけなんだってば!
そう言いたかったけど、そんな素直過ぎる言葉を口にできるわけも無い。
「……まあ、そこまで考えてなかったかな。それで? ルティルは何かしたの?」
「はい、フェリナスさんにご相談されたので、客寄せの広告を打ちました」
なんてこった。それでこの人集りが出来てるのか……。
「どんな広告を出したの?」
「いえ、大したことはしてませんよ。普通にチラシを配っただけです。あ、けどチラシを配る際には、メイド服を着たままで猫なで声を出してくださいとはお願いしてあります」
それだー!
つか、なんで教えてくれないの! 俺もキャピキャピしたメイドさんからチラシ受け取りたかったんですけど! フェリちゃんが恥ずかしそうにチラシを配ってる姿を、遠巻きにストーキングしたかったんですけど! しかも、こんなに人を集めたら俺が入店出来ないじゃん! 意図してないとはいえ、俺の楽しみを邪魔するなんて、いくら可愛い可愛いエルフでも怒っちゃうんだからね! はぁはぁ。
と、少々興奮気味にルティルに視線を送っていたら、ルティルはニッコリ笑って言った。
「ちゃんと、ブルさんの席はご用意してありますよ」
……ルティル、良い子じゃん。好きだわ、まじで。
ルティルに案内されて、俺は誰よりも先にオープンしたてのメイド喫茶ケモケモへと入店したのであった。
読んでくださりありがとうございます。
そろそろカードバトルしよっかな……と思って数話経過しました。
いやほら、宿題やろうと思ってたらゲーム始めてた事とかあるでしょ? それと一緒だと思うんだ。




