【172】完成!
出来たのは良いけど、出来上がりがまばらである。
ちょっとベチャッとしてるのと、丁度良いサクサク感。若干焦げてしまってるのもある。
どうやら温度が一定じゃないから、投入のタイミングで、出来上がりにムラが出来るようだった。
「美味いのと美味くないのがある」
ツクヨミが、試しに作ったポテサクをひょいひょい摘んで口へ放りながら言った。
「うーん、油の温度が一定じゃないから、仕上がりが変わっちゃうんだよね。普通はどうやって温度管理してるんだろう?」
「油の温度管理は料理人の勘が頼りになりますね。油は熱すれば温度が上がりますし、火から離せば冷めていきます。食材が投入されても温度は下がりますし、一定を保つのは難しいですよ」
へえー、ルティルは物知りだね。
つか、それじゃあ温度管理なんて出来ないじゃん。
俺が唸っていると、ツクヨミが手を上げた。
「はい、ツクヨミさん」
「温度はセンが千里眼で見る。それをリムが調整する」
なるほど。ツクヨミさんからまともな意見が飛び出るなんて、今日は雨でも降るのかな?
というか、リンドヴルムは温度調整出来る能力なんて持ってるのだろうか?
取り敢えず、出来るかどうかを聞くと二人は頷くから任せてみることにした。
コンロを弱火にして、リンドヴルムの背丈が合うように台を設置する。
そして、リンドヴルムがすぅっと息を吸い込むと、吹きかけるように吸い込んだ息を吐いた。
弱火だった火が大きく燃え上がる。
「弱くしてー」
センが合図すると、リンドヴルムが息を弱める。すると、燃え上がった火が小さくなる。
おお、三段階しか調整出来ないコンロだけど、これなら微調整も出来そうだ。
試しにスライスしたジャガイもどきを油に投入。
色が変わったところで掬いあげるのを繰り返していくと、今度は均等な出来上がりだった。
オッケー、オッケー。
これなら量産しても同じ感じに出来上がりそうだ。
というわけで、大量のジャガイもどきをみんなで下処理していく事にした。
ペトとパリスがマッチョ腕を落として、レインとフェリちゃんが皮を剥いていく。ルティルがスライサーを使って、ワタツミが水の刃でシュバババとジャガイもどきをスライスして、水に晒した物をこれまたワタツミが水分を程よく飛ばす。
センとリンドヴルムに油の温度は任せて、俺は丁度良い感じになったら油から引き上げる。
仕上げにミルが塩やら青のりやらコンソメやらを振りかけたり、紙袋でシャカシャカして味付けをしていった。
そうして出来上がった大量のポテサクが、厨房内を埋め尽くしていた。
味は四種類。塩、のり塩、コンソメ、ガーリックである。
パリポリパリポリ。
出来上がったものをみんなで摘んでいく。
「美味い! ポテサクに可能性が広がった」
コンソメを気にいったツクヨミは満足そうである。
「ママ様も食べて」
レインはリンドヴルムといちゃこらしながら、のり塩を食べていた。リンドヴルムの表情を見る限りご満悦の様子である。
良かった良かった。
「ブルさん、試食会という理由でやって来てますので、いくつか食堂の方へお出ししますよ?」
「そういえば、そうだったね。というか、告知とかしてないのに食べに来る学生とかいるのかな?」
「大丈夫です、ちゃんと広告も打ってありますから」
ほほう。さすがルティル。
何から何まで手を回してくれる。
俺がルティルと一緒に、大皿に乗ったポテサクを食堂へと運んで行くと、そこは学生で溢れて返っていた。
「なん、だと!」
驚いた俺はテーブルにポテサクを置くと、振り返った。
そこには。
『【黒のウンエイ】による、召喚モンスターの作る、新食感お菓子試食会』
そう貼り出されていた。
ルティルさん! 話題を引くような広告出してるー!
読んでくださりありがとうございます。




