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【171】大量のジャガイもどき

 ボリボリボリ。


「マークII、美味い」


「美味い!」


 お試しで作ったポテサクマークIIこと、煎餅は意外と好評だった。


 取り敢えず揚げれるだけ揚げて部屋へ持って行ったら、ツクヨミとリンドヴルムはボリボリ食っている。


「不思議な食感ですね。固いのに、食べ易くて風味があります」


「お兄様が私の為に……幸せです」


 ルティルは興味深そうに食し、ミルは噛み締めるように食べている。


「美味しいけど、これってポテサクではないわよね?」


 そして、レインは余計な事を言って来る。


 あのさ、取り敢えずなんか与えておけば大人しいんだから、思い出させるような燃料投下しないでくれるかな?


「ポテサクはもっと美味い」


「美味い!」


 ほらぁ。


 煎餅を夢中で食っていた二人が、手を止めてこちらを見て来た。


「ブル、ポテサクは?」


「ポテサクわぁ?」


 瞳を潤ませた二人が不安げな視線を向ける。


 やめろ! そんな目で見るんじゃありません!


 ウルウルウルウル。


 ぐ、ぐぬぬう。


 結局俺は、お子様二人には敵わなかった。


「わかったよ。作るからちょっと待ってよ」


「ブル、ポテサク作れるの!?」


「パパ様凄い!」


 めちゃくちゃ期待されてるけど、果たして俺にポテサクが作れるのかどうか。


 ……まあ、大丈夫だろう。芋を薄く切って揚げるだけだし。


 そうして俺のポテサク作りが開始されたのだった。




「それでは皆さん、これからポテサク作りを始めたいと思います!」


 別の日に、部室の黒板前に立って俺がそう告げると、パリスは顎に手を当て、ペトリーナは首を傾げ、フェリちゃんは鼻で笑って来た。


 こら! 何がおかしいんだよ!


 事情を知ってる他の面々は、ちゃんとやる気みたいだけど、この三人は経緯を知らないから、わけがわからないだろう。


 でもやるんだよ。もう決まってるんだよ。


 事情を三人にも説明してあげると、フェリちゃんが言った。


「つーか、わざわざ作らなくても、別のもん食えば良いじゃねえか?」


 あのね! それに関しちゃ同意見だけども、あの二人を前にしてもそんな事言えるんですか!


 俺がビシッとツクヨミとリンドヴルムを指差すと、二人がキラキラと期待の眼差しを向けていた。


「ぬ、ぐぬぬ」


 フェリちゃんも俺と同じリアクションだった。


 そして諦めたように耳を項垂れさせた。


「……ブルの心情が大体わかった」


 わかってもらえて結構!


「それで? 具体的にどうやって作るのかしら?」


 レインが聞いて来た。


「ルティルに材料を調達して貰ってるから、もうすぐここに到着する筈だよ」


「ここって、学園に? 学園へ持って来てどうするつもりなの?」


「食堂の調理場を借りれるように手配してる」


 ルティルがね。


「ルティルは学生でも、従者でもないわよ? どうやってここへ来るのかしら?」


「お菓子の試食会って事で、業者としてやって来る事になってるんだよ」


「随分と段取りが良いのね」


 まあね。全部ルティルが手配してるから、俺は何もやってないんだけどね! ルティルってマジ出来る子!


「まあそういう事だから、ルティルが来たら食堂へ向かうよ」



 そうして待つ事数十分。


 ルティルが学園へやって来た。大きな馬車を操って。


 馬車には大量のジャガイモ、ジャガイモ、ジャガイモ。これがジャガイモかは知らんが、間違いなく芋である。なんかマッチョ腕みたいのが生えてるけど、気にしたら負けだと思う。


 つか、買い過ぎじゃね? こんな量、調理出来んぞ……。


「ブルさん! ご依頼通り十分な量を仕入れて来ました!」


 十分どころか、限界突破してるよ。


 本気でその量、調理出来るとでも思ってるわけ?


「大丈夫です! ブルさんなら、なんとか出来ます!」


 言ってませんよー。俺は何にも口に出してませんよー。勝手に会話しないでくださーい。


 あと、俺を試すような事すんじゃねえ! 目が期待に満ちてんじゃねえか! くっそ、可愛いなこのやろう!


 もういいや。やってやりますよ。


 取り敢えず、俺たちはみんなで馬車の食材をえっちらおっちら食堂まで運んだ。


 嘘です。ツクヨミたちが衣やら尻尾やら水の中やらに収納して、サクッと運んでくれました。君たちホントに便利だね。


 リンドヴルムはそういう能力ないのかな、って思ったけど、ガブッと口の中に入れて運んでいた。


 凄いね。その口どうなってんの?


 可愛くなかったら、まず許されない収納方法だね。


 などと考えていると、調理場には大量のジャガイもどきが積み上げられていた。


「それで? まずはどうすれば良いですか?」


 ルティルが腕を捲ってやる気満々。


 ということで、俺が一つジャガイモもどきをとって水洗い。マッチョ腕を落としてピーラーで皮を剥く。それをルティルに用意して貰ったスライサーでショリショリ薄くスライス。


 紙みたいに薄く切れたジャガイもどきをピラピラして、それを水にさらしていく。


 寸胴みたいにでかい鍋へ油を投入。これまたルティルに用意して貰った、植物性の油と動物性の油を混ぜ合わせていく。比率は適当。よく知らんし。


 水に晒したジャガイもどきの水気を取って、後は揚げるだけ。


 温度は180℃ぐらいが良いけどわかんね。


 適当な温かさになったら、バラバラとジャガイもどきを投入。


 揚がったものを掬い上げて、塩を振ったらはい完成!


 どんなもんじゃい!

読んでくださりありがとうございます。


暑いので涼しくなる話を一つ。


前話でハンカチを忘れる人の話をしたんだけど、それにはまだ続きがあった。


その人は翌日、ぜってえ忘れねえぞという意気込みでタンスを開き、ハンカチを取り出したらしい。


なのに、忘れて来た。


ブハハと笑って、俺が馬鹿にしながらケツポケットに手を入れたら……。


なんと。


俺もハンカチを忘れて来ていたのである。


ひえっ!

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