【161】お問い合わせの人々
「なんか色々問い合わせが来てるんだって」
委員会事務所の外で待っていたみんなにそう言うと、キョトンとした顔を向けて来た。
いや、わかるよ。確かに言葉足らずだった。
全部断るか、黙秘でもしてれば良いじゃないって思ってるんだろ? 俺もそうしようとしたさ。
でも、それを言ったら職員さんに泣きつかれたんだよ。
こっちの方は二位階級の貴族でとか。この方は教会の関係者でとか。大店の商人とかいうのも居たね。
無碍に断ると角が立つからやめて欲しいんだってさ。
「だが断る!」
俺が事情を詳しく説明したら、ツクヨミがそう言った。
いや、だから断れないんだって。
まあ実際は、突っぱねればなんとかなりそうだけど、敵を作っても仕方ないわけで……。
「まあ、そんな感じだから今日は俺抜きでクエスト受けて来てよ。センとワタツミ貸してあげるから大丈夫でしょ?」
「私も付き合うわ。大物を相手にするなら、私がいた方がいいでしょう?」
「いや別に……みんなと一緒にクエスト行って来なよ」
「なっ! 私を誰だと思ってるのよ!」
「Fランクになりたて闘士ちゃん」
「違う! あ、いえ違わないけど! 私こそが三位階級の魔貴族、レイン・ゼノーーー」
「わかったよ。知ってるってば、じゃあレインはついてくるってことで」
「最後まで言わせなさいよ!」
もう、その口上聞き飽きたって。何かにつけて名乗りたがるのやめた方が良いよ。
「主君、具体的には何をされるのですか?」
「会える人には会って、遠い人には手紙で返信かな? ツクヨミが居るから結構遠くまでは行けると思うし」
「それならば私もお連れください! どんな悪党が相手でもお守り致しますので!」
いやいや、悪党って。会うのはちょっと位の高い人たちであって、別に悪党ってわけじゃないんだけど……決めつけるのよくないよ。
ワタツミは食い付いて来たが、車出せないでしょう? って言ったらシュンとなってしまった。
ごめんよ。今度マチオカたらふく食わしてあげるから。別に何も起きないと思うしね。
……と、思っていた時期が俺にもありました。
俺たちは……闘士の皆さんに取り囲まれていたのであった。
「……あの、これはいったい」
「黙れ! 大人しく黒塗りの馬車を渡して貰おうか!」
声を上げたのは、一位階級の貴族ベンゼン。
直接黒のウンエイについて聞きたいことがあると言ってたから出向いたのに、いきなり酷い仕打ちである。
レインが居るから、貴族たちも高圧的な態度はとらないと思ってたんだけど、この人はレインのことを知らないらしい。
三位階級は最高位だから、一位階級とはあんまり交流がないんだって。
それでも、成り上がりたいなら、目上の人の顔は覚えておいた方が良いよベンゼンくん。
「ご用はそれだけですか?」
「黙れ! 平民が一位階級の貴族に対して、軽々しく口を開くな!」
「じゃあ、用はないって事で」
「貴様!」
ベンゼンくんが手を振ると、俺たちを取り囲んでいた闘士たちが一斉に襲いかかって来た。
【召喚】カードや【魔法】カードを駆使して、俺たちを取り押さえるつもりらしい。
なんだかミルを攫った時と変わらないな。
数秒後、俺が何かを指示するまでもなく、ツクヨミが全部やっつけてくれた。
「ば、馬鹿な! たかが平民にこんな事が出来るはずが」
説明も面倒くさかったので、取り敢えずベンゼンくんをポコパンすると、俺たちは何も言わずにその場を去った。
「貴族に手を上げて無事で済むと思うな!」
去り際にそんな事を言ってたから、ツクヨミが縄で縛り上げて下半身丸出しの状態で、庭の木に吊るしてしまった。
ツクヨミさん、別に良いけど汚いモノがチラチラ視界に入るからやめてほしかったんですが……。
続いては大店の商人と会った。
この人は普通の人っぽかったんだけど、話をしていくとどんどん変な方向へと向かっていった。
「つまりですね! この浄水器をブル君が売ると【10パーセント】の利益が入って来るんです。更に会員を増やすと子が増えて行って、その子が売った利益も【10パーセント】の利益となる画期的な商売なんですよ!」
うん、凄いね。
確かに画期的だし、自分で思いついたんならめっちゃ賢いと思う。
でもそれってマルチ商法ってやつで、上手くやらないと破綻するやつなんだよね。
丁重に断ったけど、商人さんはしつこく食い下がるから、結局はツクヨミがポコパンすることになった。
会う人会う人問題があるんだが。
え、まだたくさん居る?
もう既にお腹いっぱいなんですが……。
あざす!




