【154】狙い済ます
バーンと扉を開けて、屋上までやって来た俺たち。
さて、やって来たは良いけど、ツクヨミはこれからどうするつもりなのだろうか。
ツクヨミは、ツカツカと歩って鉄柵まで行くと衣を広げてなにやらでっかい水鉄砲を取り出した。
そのまま鉄柵の隙間から先端を外へ向けて、体を伏せてスコープを除き込む。
あのさ、それって反則じゃないの? みんなにはハンドガンを渡しておいて、自分はスナイパーライフルとかどんだけだよ。
「ツクヨミは何をやってんだ?」
フェリちゃんは、ツクヨミを見て首を傾げていた。
たぶんこの世界には銃自体が存在しない。だから、水鉄砲を見てもよくわからないだろうし、スナイパーライフル何てもっとわからないのだろう。
「これは本来、引き金を引くとマチオカじゃなくて弾が出る武器なんだよ」
俺が銃について説明してあげると、フェリちゃんは目をキラキラさせた。ハンドガンの説明をした後に、スナイパーライフルの説明をしてあげると瞳が更にキラキラして来た。
なんだろう。凄く興味津々なんだけど。
それに気が付いたツクヨミが体をおこしてこちらへ寄って来ると、再び衣を広げてもう一丁のスナイパーライフルを取り出す。
それをフェリちゃんに手渡すと、フェリちゃんの尻尾は左右に大きく振られた。
「反動が大きいから、撃つときは体でしっかり支える」
ツクヨミがひとしきり説明をすると、フェリちゃんは任せろと言ってツクヨミの隣で伏せてスコープを除き込んだ。
なんかこの二人仲良いんだよね。
まあ、ツクヨミの好みが俺の影響を受けてるから、見た目で既に、フェリちゃんには心を許してる感はあるけど。
二人が楽しそうにライフルを構えて話をしてるけど、俺だけ一人蚊帳の外。
というかさ。
作戦とか何も聞いてないんだけど。
そうこうしている間に十分間は経過して、戦いは静かに開始された。
ツクヨミさん。フェリちゃんと楽しそうで、大変羨ましいんですけど、勝負に勝つならそれじゃあダメだと思うよ。
相手にはセンがいるんだから、こっちの位置なんて千里眼で直ぐにわかっちゃうと思うんだよね。
位置を見つけられて突然背後にワープなんて事も考えられるから、油断なんてこれっぽっちも出来ないんだよ。
そのあたり、ツクヨミはわかってるのかなあ。
俺が心配してるとフェリちゃんが声を上げた。
「あ! 居た! ここは……体育倉庫かな? センチームが纏まってる!」
「フェリ、見つけたらロックオンして、直ぐに引き金を引く」
「よっしゃ、任せろ!」
フェリちゃんが即座に引き金を引くと、バンッと結構大きな音が響き渡った。
え? そんな撃ち出し早くて、当たっても大丈夫なの?
「あ! 避けられた! なんだよあいつら、人間の動きじゃねえぞ!」
「それは、センのバフ。遠慮はいらないから、どんどん撃って」
ツクヨミも参加して、二人は狙撃しまくっていた。
まず一つ。
その銃は弾切れを起こさないのか?
何のアクションもなく既に二十発ぐらい撃ってるんだが……。
それともう一つ。
体育倉庫の中を狙ってるみたいだけど、その位置からじゃ中は絶対見えないし、狙えないんですが!
色々とおかしいと思っていると、ツクヨミが俺の隣でチョイチョイ袖を引いて来た。
「マチオカ粉と水を入れる。弾が作られる」
ああ、俺が凄く不思議そうな表情をしてたから、説明してくれたのね。
「じゃあ、スコープは?」
「空間を超えれるように設計した」
しれっととんでもない事を言わないで欲しい!
相変わらずの無茶苦茶っぷりである。
読んでくださりありがとうございます。
どうやら、毎日ギリギリなのが習慣付いてしまったようだ……。




