【152】バトルロワイアル?
「今から、皆さんには殺し合いをしてもらいます!」
部室に設置した黒板の前に立って、ツクヨミが突然そんな事を言い出した。
俺が部内の方針について説明しようとしたら、急にやりたいって言うから任せたんだけど……。
どうやらツクヨミは、これが言いたかっただけらしい。
ツクヨミは部内の説明なんてする素振りも見せずに、胸を反らして得意げな顔をしていた。
「ツクヨミちゃん。殺し合いは良くないの!」
ダメだよペトリーナ。言いたいだけだからまともに返しちゃ。
「戦わなくては生き残れない」
「うー、それでもダメなの!」
「ペトは、みんなに呼びかけて死ぬ役で決定」
「私死んじゃうの!?」
あのねえ。それいつまでやるの?
暫し二人のやり取りを眺めていたら、そこにレインも加わって来た。
「具体的にはどうやって戦うのかしら?」
「学校で戦う。チームは三つ」
そう言ってツクヨミは、俺とフェリちゃんを指差した。
ん? 何? どういうこと?
「つまりー、チビじゃりはゲームをしようって言ってるのよ。なら、私は淫乱ピンクとクソ雑魚忍者につこうかな?」
「淫乱ピンクはやめなさい!」
「クソ雑魚って言うな!」
レインとスズネちゃんが猛烈に抗議していると、ワタツミがおずおずと手をあげる。
「私は主君のお側が良いのですが!」
「ワタツミ、我儘言わない。ペトとパリ男につけ」
「しかし、ツクヨミパイセン!」
ツクヨミに睨まれてワタツミは渋々了承する。
「パリ男って俺のことか?」
そうだよ。良かったな。ピッタリのあだ名で。
……だが、ちょい待て! ゲームとはなんだ? まじで何がやりたいんだ。
「これが、黒のウンエイのやり方。実戦で学ぶといい」
いやいや、わからんて。
ツクヨミはみんなで遊びたいのかな?
俺が疑問抱いていると、センが補足を入れてくれた。
「オリエンテーションってやつ? あれをやりたいんじゃない? 勝ったらブルがご褒美くれるとかだったら盛り上がると思うよ」
……なるほど。
確かに交友を深める為に、何かしらのイベントがあった方が良いのは確かだ。けど、やるならミルが入学してからでも良いんじゃなかろうか?
「勝ったら、ブルが【実装】したカードをくれる」
ツクヨミが勝手に言ったその言葉に、みんなの顔付きが変わった。
ペトリーナだけは首を傾げている。
あ、【実装】のこと言ってなかったわ。
「ツクヨミたちには、ポーセージ食べ放題」
それが目的かあ!
「うーめんが良いんだけど?」
「私はマチオカが良いです」
「好きな物を選べるとする」
センとワタツミがやる気になった。
あのさ、せめて俺の許可をとってからやってくれない?
既に瞳をギラつかせているみんなを見るに、やっぱ止めようとは言えない雰囲気である。
まあいっか。
「で? どんなゲームをやるつもりなの?」
「バトルロワイアル」
それじゃわかんねーよ!
「ワタツミ、あれを出して」
ツクヨミに言われてワタツミが頷くと、ワタツミの周りにザパァンと水飛沫が上がったかと思ったら、なんだか見たことある物体が床に転がっていた。
床に転がったそれ……まあ水鉄砲なんだけど、それをツクヨミが一つ手に取ると説明を始める。
「ワタツミの水鉄砲を改造した。撃つとマチオカが飛び出して、それに当たると『私は死にました』マークが付く」
色々とツッコミどころがある。
ワタツミは俺が知ってる限り、水鉄砲なんて使わなかったと思うんだが。それをどうやって用意してきたのか。
そういえば、俺が授業を受けている間、ツクヨミやセンはフラフラどっかに行ってるけど、結構遊んでやがんのな!
因みにマチオカとは、最近ワタツミがハマってる食べ物で、まあ要するにタピオカである。
水鉄砲からマチオカが飛び出るって、ゴム弾を作りたかったんだろうけど、食べ物を粗末にしちゃダメだよね?
ジト目を向ける俺のことなんて気にもしないで、ツクヨミは説明を続けた。
かくして、俺たちウンエイ部のオリエンテーションが開始される事となったのである。
あざすあざす!




