【149】足りない!
「つまり、触れ合い方次第では、召喚モンスターが自発的に行動したという例も上がっており……」
終業の鐘が鳴り、先生が説明の途中で話を切り上げる。
「今日はここまでとする。委員長、号令を」
「はいなの。起立、礼なの」
締まらない口調で委員長こと、ペトリーナが元気よく声を上げた。
みんなそれに従って、席を立ち先生に礼をする。
本日の授業は終了。今日はこの後、部活で話合いがされることになってるから、部室まで行かないといけない。
筆記用具を片付けて、隣の席に座ってるフェリちゃんに声をかけようとしたところで、まだ教室内に残っていた先生に声をかけられた。
「ブル・ドッグ。このあと職員室へ来なさい」
とりあえず生返事を返しておくけど、いったいなんだろう? 先生に呼び出されるような悪い事はしてないと思うんだけど?
「ついになんかやらかしたか。俺はいつかやると思ってたぜ」
あのね、フェリちゃん。
人を犯罪者みたいに言わないで欲しい。
インタビューで答えるなら、やると思ってたじゃダメだからね。もうちょっとオブラートに包まないと放送出来ないから気をつけて!
「とりあえず行って来るから、みんなには遅れるって言っておいてくれる?」
「良いけど、牢屋にぶち込まれてたらこれねえじゃねえか」
だから、犯罪者から離れて! 先生に呼び出されただけで逮捕された奴なんて、聞いた事もないんですけど!
言い返そうと思ったけど、フェリちゃんがシッシッて追い払うような仕草をして来た。
ぐぬぬと唸りながらも、俺は溜息を吐いたあと手を振ってその場を立ち去った。
「なんだ。もう来たのか」
俺が職員室へ到着すると、既にウォーカー先生が待っていた。
「部活があるので、早く済ませたかったんです」
そう言うとウォーカー先生は無愛想に頷く。
「ならば手早く済ませよう。幾つかあるが、先ずはミル・ドッグ入学の件についてだ」
攫って来たミルは現在、俺の借りてる宿に居る。
一応、ミルから両親宛に連絡を入れてたみたいだけど、両親は全部俺に任せると言って来たらしい。
以前のブルとどういう関係性だったのかは知らないが、結構いい加減な親だったようだ。
ということで、晴れて一緒に生活することになったんだけど、俺が学園に通ってる間ミルは暇になってしまう。センを側に付けてるから好きに行動してくれても良いんだけど、俺以外には内向的な性格なので結構人見知りをする。
友達の一人も出来ないと可哀想だと思ったから、学園に入学出来ないかと打診したのである。
「理事長から許可が下りた。だが、試験も受けていない特例の為、入学費用が通常の三倍になる。奨学金制度も利用出来ない為、結構な―――」
「わかりました。お支払いします」
「………………」
被せ気味に即答すると、ウォーカー先生はギョッとして沈黙した。
「で? 他の要件とは?」
「……委員会から通知が来ている。なにやら【黒のウンエイ】というクランに対して問い合わせが殺到しているようだ。何故君に通知が来ているのかは知らないが……ウンエイ部と関係があるのかね?」
あー、着実に浸透してるんだね。
【黒のウンエイ】。
つか、登録名は【ウンエイ】なんだから、俺のところに通知が来るのっておかしくね?
委員会が気を利かせたって?
いらぬ気遣いだよ!
「さあ? 通知を読んでみないとよくわかりませんね。それだけですか?」
「いや、あと一つ。ウンエイ部の部員が足りていない」
「え? どういう事ですか?」
「聞いてないのか? 部活の設立は基本的に六名以上のメンバーが必要になる。今回は理事長の特別処置として三名で設立したが、今週中に残り三名を集めなければ廃部になるぞ」
えー、聞いてないんですが。
つーか、あのロッリが、特別処置で三名でもオーケーだって言えば済む話じゃないの?
こんな後出し情報とか、絶対わざとだよね?
「ミル・ドッグの手続きは事務室で行なってくれ。部員の件は今週中に六名の署名が入った書類を提出すること。以上だ」
そう言われて、書類を受け取った俺は職員室を後にした。
うーん、部員かあ。
まあ、なんとかなるかな?
読んでくださりありがとうございます。




