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【146】あっという間に

 ツクヨミは眠た気な瞳で暇そうに天井を眺めている。どうやら、先程の口上を述べたところで満足してしまったようだ。


 ワタツミは姿勢良く直立しているけど、「やれ」とか「そこだ」とか声が漏れていて、なんか俺たちを応援しているみたいだ。


 そしてセンは、欠伸をしながらモフモフの尻尾を毛繕いしていた。


 あのねえ! もうちょっと緊張感をだね!


 俺が目を逸らしていると、闘士たちが召喚モンスターへサポート用の魔法カードを使って強化を施していく。


 腐ってもAランクの闘士たちである。


 手数も多いし、対応も早い。


 レインたちの召喚モンスターも結構強いけど、もし俺が【破壊デストラクション】を使いまくってなければ、あっさりと押し切られてただろう。


「【巨大化ジャイアント】【地形フィールド:地下】【筋力強化パワーブースト】【反射リフレクト】これでどうだ! もう魔法カードの効果は効かないぞ!」


 バフてんこ盛りの巨大な蜘蛛が、レインのドラゴンを押し退けて俺の前に立ちはだかった。


 そのまま俺を押し潰さん勢いで、前足を振り下ろしてくる。しかし、俺は振り下された足へと迷わず拳を叩き込んだ。


 すると、巨大な蜘蛛は今まで同様、呆気なく霧散していった。


「な、馬鹿な! 魔法カードは無効な筈だ!」


 残念。俺の拳は魔法カードじゃないんだよ。


「【破壊デストラクション】と同時に【解除キャンセル】を使っているのよ! 油断しないで!」


 いや、使ってないけど。つか、なにそのコンボ?


 諦めの悪いAランクの闘士たち。


 まあ、さすがに俺たち学生と違って、戦いに対する姿勢が違う。必死というか、まじで命懸けで戦ってる感じがする。


 これだけ無力化してあげれば諦めるかと思ったけど、どうやらそれだけじゃダメみたいだ。


 仕方ないなあ。


「ツクヨミ!」


 俺が声をかけると、ツクヨミは眠た気な瞳のまま顔を向ける。


「蹴散らしてくれる?」


 俺のお願いにツクヨミは小さく頷いた。


 すると。


 ツクヨミは、左手で右目を隠すようにポーズを決めて声を発した。


「ツクヨミが命じる。お前たちは全員―――死ね!」


 そう言って、左手を前に振って右目を赤く光らせたツクヨミ。


 ……まだ続いてたの? それ?


 つか、ダメダメ! 君たち本当になにをやるかわかんないから、死ねとか言うとまじで怖いよ!


「ワタツミー、ツクヨミがやり過ぎないように制御してね」


「承知!」


 俺が指示すると、ワタツミは顔を引き締めて動き出した。うん、ワタツミは素直で扱い易い。


「ツクヨミパイセン! 殺してはダメです! 半殺しに留めるべきだと主君が仰っております!」


 言ってない! そんな事言ってませんよー!


 慌てた俺だったが、もう遅い。


 烈火の如く動き出した二人はもう止められない。


 ツクヨミが【胡蝶】を抜き放ち。ワタツミは水の槍を振り回す。


 ……ワタツミよ。何故お前も一緒になって暴れているのか?


 瞬く間に召喚モンスターを一掃した二人は、闘士たちにも強烈な一撃を入れて行く。


 斬られたりはしてないけど、バキッとかボコッて音がここまで聞こえてくる……彼らは本当に大丈夫なのだろうか?


 そして。


 僅か三秒ほどの間に、その場にいた召喚モンスターは消え去り、立ち塞がっていた闘士たちは漏れ無く昏倒していた。


 周囲に静寂が満ちた。


「お姫様を攫うまでが遠足でしょう?」


 いつの間にか俺にもたれ掛かっていたセンが、囁やくように言った。


 ついでに、ビリリとキツい一撃を俺に入れてきた。


 あびゃびゃびゃ!


 めっちゃ痛かったけど、これはセンのバフだ。


 つまり、センは俺の手でミルを攫って来いと言っているのである。


 センの奴め最後に仕事した感出すのをやめろ。実際ちょっと役に立ってるから文句も言えないじゃないか。


 悪い狐に後押しされた俺は、静まり返るその場を歩き出して、目を腫らしたミルの元へと向かった。


 涙でぐしゃぐしゃになった顔を必死に拭っているミルの頭へ、そっと手を置く。


 そして、そのままお姫様抱っこでミルを抱き上げた。


 驚いた表情で俺を見たミルだったが、そのまま俺の首に巻き付くように抱き着いてくる。


 センのバフのお陰で、一時的ではあるが力持ちになった俺にとって、ミルは羽のように軽かった。


 俺がミルを抱いて背を向けると、後ろから声が鳴った。


「こんな事をして、ただで済むと思っているのか!」


 チラリと振り返ると、綺麗に切り揃えた髭を蓄えた男がこちらへ鋭い視線を向けている。


 けど、俺はそれを無視した。


 無策で来たつもりだったけど、来る途中にレインから色々と提案されていたのだ。


 だから、あとはもう決めた通り俺は退場すれば良い。


 俺と入れ替わるようにして、レインが男の前に立った。


 そして、バイザーを外して素顔を晒す。


 そのレインの顔を見て、男は喉を詰まらせていた。


「ただでは済まないとは、どういう意味かしら?」


 ボケボケだったり、切れ者だったりとキャラの定まらないレインではあるが、堂々したその姿はやはりどこか風格のようなものが見えたのであった。

読んでくださりありがとうございます。


唐突におっパブ行こうぜって誘われました。


女子に。


世の中にはいろんな人がいるんだなあって思いました。


え? 結局どうしたのかって?


まあ、こんな作品を書いてるこじらせた人物ですよ自分は。想像出来るでしょ!

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