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141/204

【141】作戦は……ない!

 計画を練るために、パリスと俺は【305】号室の自室へやって来ていた。


 しかし、俺の部屋へやって来るや否や、パリスは硬直して大人しくなってしまった。


 部屋の中を重々しい沈黙が漂う。


 俺の部屋に置かれた丸テーブルを囲んで腰かけているのは三人。


 俺とパリス。そして、ご存知この方、レイン・ゼノ・イーヴィルさんでーす。ドンドンドンパフパフ!


 部屋に帰って来ると何故かレインが俺の部屋で待ち構えていて、それを見たパリスは状況が掴めなくて硬直してしまったのだ。


 加えて部屋では、ツクヨミとセンがベッドの上でポテサクをバリバリ貪っている。しかも俺のベッドでね。


 君たち! ベッドの上でスナック菓子を食べるんじゃあ、ありません。


 その様子をレインが微笑ましく眺め、後ろで控えているスズネちゃんがサッとお茶を注ぐ。


 そして更に、透明になって俺の警護をしているワタツミが、部屋へ戻って来るなり姿を現したのだ。


 自分をボコボコにした召喚モンスターが突然現れて、パリスの動揺は更に大きなものへとなったようだ。


 とりあえず、席に座って一連の流れをレインに話すと、レインは静かに頷いた。


「内容は大体わかったわ。それで? 私は何をすれば良いのかしら?」


 紅茶を啜りながらレインがそう言うと、パリスの目がクワッと開かれる。


「し、失礼ですが、レイン様が関わるような内容ではないと思いますが?」


 恐る恐るパリスがそう言うと、レインは首を横に振った。


「いいえ、パートナーであるブルの味方をするのが私の役目よ。何より【ウンエイ】のリーダーが動くとなれば、メンバーが黙っているわけにもいかないわ」


「パ、パートナー? ウンエイ?」


 混乱するパリスを置いてけぼりにして、俺はレインに言った。


「別にみんなでやるような事じゃないよ。家庭の事情みたいなもんだし、ポコパンして終わると思うし」


「相手は二位階級の貴族でしょう? ポコパンなんてしたら、大事になるわ」


「大事になったら、それもポコパンするから大丈夫だよ」


「あら、珍しくやる気なのね。でも、だからこそ、三位階級であるイーヴィル家の力があった方が良いわ。そこのパリスと言ったかしら? 彼の力だけでは役不足でしょう?」


「……話が見えないのだが」


 パリスが困惑し始めたので、ザックリとあらましを説明してあげた。


 レインと俺の関係、ウンエイという組織についてである。


「……ブルが、レイン様のパートナー……一緒にウンエイというクランを立ち上げた?」


 説明してあげたのに、パリスは困惑したままだった。


 もういいや、放って置こう。


「まあ、付いて来るのは構わないけど、俺の好きなようにやるから邪魔しないでね」


 そう告げると、レインは素直に頷く。続けてセンに声をかける。


「セン、ザッハトルテの街へ飛べる?」


「うーん、飛べるけど、ちょっと遠いかな? チビジャリの車で行った方が効率は良いと思うよ」


「効率?」


「うん、具体的には、飛んだ後めちゃくちゃお腹が空くから、食費が増えるね」


 げっ! ただでさえ無茶苦茶食うのに、その当人が無茶苦茶って言うぐらいだとヤバそうな感じだな。


「ツクヨミのブルドーザーは三人ぐらいしか乗れないからなあ……」


「もっと大きなの出来る。スピードも三倍ぐらい」


 それは良いね。つか出来るならこの前も出せば……いや、お陰でフェリちゃんと密着出来たから良しとしよう。ナイス!


 俺はツクヨミに車を出してもらう事にして、ザッハトルテまでの距離を確認すると、どうやらツクヨミの車なら半日ちょっとで到着出来るみたい。


 学校を何日か休むつもりだったけど、それなら授業が終わった後に出れば間に合う感じだ。


「ブル、具体的な作戦とかはないのか?」


 うーん、作戦会議の名目だったけど、よくよく考えれば【LG】たちがいればなるようになる気もする。


「式に乗り込んで花嫁を奪い去る。それで良いんじゃない?」


「一流の闘士たちが警護に付いている筈だぞ。いくらお前の召喚モンスターが強力だと言ってもさすがに厳しいと思うが?」


「パリス・ワイズマン。それに関して心配する必要はないわ。手駒はワタツミだけでは無いもの。問題なのは事後処理の方よ。あなたも、二位階級の貴族に弓を引いて無事で済むと思っているのかしら?」


「思ってはいません。ですが、命を賭けるだけの借りがブルにはあります」


「あなただけの問題ではないと言うのに……少し考えが足りないと思うけど?」


「……ですが!」


「あんまり意地悪な事言わないであげてよ。この件に関しては、パリスにもパリスの家族にも危害が及ぶような結末にはしないつもりだからさ」


「ブル、カードだけが力ではないわ。カードを用いた暴力だけでは解決出来ない事があるのよ」


「わかってるよ。でもね、レイン。俺がウンエイの目的を果たしている内は、三位階級よりも強い後ろ盾がある事を忘れちゃいけないよ」


 俺の考えを察して、さすがのレインも押し黙る。


 そう。俺がウンエイの職務を全うしている限り、俺には神の後ろ盾があるのである。


 ロリさまに力を借りるつもりはないけれど、これを言っておけばレインは強く出れない筈だ。


 レインを黙らせた俺は一人思う。


 今回は、自重しないで好き勝手にやろうと。

読んでくださりありがとうございます。


普段乗っている電車に珍しく乗り遅れてしまった。しかし、乗った電車は普段と同じ電車だった。


何を言ってるかわからねーと思うが、俺も何が起こってるのかわからなかった……

空間転移とか時間停止とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……


……まあ、遅れてただけなんだけどね。

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