【137】気付いちゃった
「まさか、アウナス様と直接お声を交わせる日が来るなんて!」
理事長室をあとにして、レインが興奮した様子で声を上げた。
「……本当にあの方がアウナス様なんですか?」
とフェリちゃんは疑うような言葉を発するが、尻尾がブンブン左右に振られているからやっぱり興奮してるみたい。
「あの神々しいお姿を見てわからなかったの?」
「神々しいっつーか、匂いが普通の人と違いましたけど……」
二人にはロリさまの事がどう見えていたのだろう。普通に考えたら、偉そうな幼女にしか見えないと思うんだけど……。
それでも、あの場で何処からともなく書類を取り出し、クラン登録と部活の登録を済ませてしまったのだから、凄い権力を持ってることはわかる。
普通はクラン登録をする場合、Aランク以上の闘士が一人と三名以上のパーティーが二組、最低六名のメンバーが居ないと登録出来ない。
しかも、委員会の審査があるからあんまり人数が少なかったり、怪しげな人物では登録を断られることもあるそうだ。
俺たちは三名。
しかも、闘士として登録しているのは俺だけだから、クラン結成の条件を満たしてないはずなんだけど、それでもあっさりと登録されてしまった。
レインとフェリちゃんをHランクの闘士として登録して、足りない三名は事後承諾で勝手にメンバーへ加えたらしい。
この三名は一先ず名前だけ貸して貰ってるだけだから、不要なら人数が揃って来たら好きに除名すれば良いとかなんとか。
とは言ってもお互い何処の誰だかわからないから、除名するもなにも関わって来ないんじゃなかろうか?
まあ、取り敢えずは人数が増えるまで放っておくことにした。
因みにレインの方は大丈夫だったけど、フェリちゃんは闘士登録出来るほどカードが揃ってなかったから、お前が用意してやれと言われて鉄の【白無垢】を三枚渡された。
なので、フェリちゃんには【SR】【ライトウルフ】、【SR】【ダークウルフ】、【SR】【連携】のカードを【実装】してあげた。
フェリちゃんは受け取りを拒否しようとしたんだけど、ロリさまの命令だったからそれも出来ずに仕方なく受け取った。けど、この時が一番尻尾がブンブン振られていた気がする。
やっぱりカードをプレゼントするのが一番喜ばれるのかな?
ともあれ、トントン拍子に話が進んで行って、今や俺は一クランの代表にして、部活動の部長である。
……で? なにすりゃ良いんだ?
新たに与えられた部室に、テーブルと机だけを運び込んで、俺、レイン、フェリちゃんの三名は机を囲んで座っていた。
「取り敢えず、部長は私で良いかしら?」
レインが唐突に発言した。
なに言ってんの? 結成したその日の内に、俺を部長の座から引きずり下ろさないで欲しい。
「いや、さすがにそこはブルだと思いますけど?」
「クランの代表はそうね。けど、学園での活動においては、私が部長をやった方が良いわ」
「理由を聞いても良いですか?」
フェリちゃんに言われて、レインはニヤリと笑みをこぼす。
「私が部長をやっていれば、やる気のない者は近付いて来ないわ。ブルが部長だと、権力に笠を着たいい加減な連中が集まりそうじゃない?」
「まあ、そうですけど……部員とかクランのメンバーは増えた方が良いんじゃないですか? アウナス様は最終的に魔王を全員すげ替えろと仰ってましたよ? 人数が増えた方が、実力者が入ってくる可能性が高いと思いますけど……」
「なにを言っているの? 人数は必要ないでしょう? 魔王は全部で七人。私、それとフェリナスで二人。最低でもあと五人居れば十分でしょう?」
「え!? 俺なんかが魔王になんてなれないですよ!」
フェリちゃんがそう言うと、レインは小さく溜息を吐いた。
「フェリナス、あなたアウナス様の話を聞いていたの? アウナス様はね。現在の魔王たちに不満を抱いているのよ。おそらくだけど、己の地位に満足して、より高みを目指さない彼らの事が不満なのよ。だからこそ、ブルが【ウンエイ】を組織する事を許可した。そして、アウナス様は私たちを見て暗に魔王になる事をお認めになったのよ。つまりそれは、私たちにはその資格があると言われているようなものでしょう?」
ここに来て、レインの名探偵振りが発揮された。
あー、ロリさまの思惑とかまるで考えてなかったわ。
そういえばあの人、エディナが魔王になりたいってわかった時も反応良かったよね。エディナを急にSランクの闘士にしたり、いきなり決闘挑むような奴も仕向けて来たり。
その流れで俺は、エディナにティターニアを【実装】してあげたんだっけ。
エディナを魔王にしようとした計画は、振られた所為で中途半端になっちゃったけど、ティターニアを持つエディナだったらその内魔王になってるんだろうな。
……おや?
そこまで考えて俺は、はたと気が付いた。
俺に下された使命は、クラン内の人間で魔王をすげ替えることだったな? エディナはクランに所属してない。
つまり。
「うわああああああ!」
あ、変な声出た。
二人に変な目で見られたけど、ちょっとそれどころじゃない。
エディナが勝手に魔王になっちゃったら、俺たちはいずれ、エディナから魔王の称号を奪い取らなくてはいけなくなってしまうのである!
ロリさま! そりゃないよ!
読んでくださりありがとうございます。
今日は山にこもるので、明日の更新はないです。
何故山にこもるのか?
それはね。ファンタジー小説を書く為に、実体験をして来ようと思ったんだよ。
別にキャンプしようぜって言われて、良いよって適当に返事しただけじゃないんだからね!
この物語のように計画性がある人物なの! 自分はね!




