【134】フェリちゃんの事情
うおおおお! 俺はやるぞおおおお!
と、意気込んでみたけど、直ぐに何かが出来るわけじゃない。
組織を作るって言っても、何から始めて良いのかよくわからないからだ。
組織の運営には、お金も人材もかかる。
頭金ぐらいは用意出来るけど、俺はそもそも知り合いがそんなに居ないから、人を集めるのは難しい。
しかも、人を集めるにしても全て可愛い女の子にしたいという欲望を、どうやって満たせば良いのか?
金や【LG】をチラつかせる?
うーん、それじゃあ碌な子が集まらなそう。
「ところでさ。フェリちゃんはなんでウンエイに入りたいの?」
「そりゃあ、一流の闘士になりたいからだ」
「一流になってどうするの?」
「そりゃあ……カッコ良いだろ、一流って」
「……それだけ?」
なんとなく聞き返したことだったけど、フェリちゃんの表情は真剣なものへと変わった。
青い瞳を薄っすらと細めて、ここではない何処かに想いを馳せてるみたいだった。
「……昔、助けてくれた人がいたんだ」
そう言ってフェリちゃんは自分の事を語り出した。
フェリちゃんがまだ小さかった頃の話らしい。
カダライムって言う、凶悪なモンスターに襲われた事があったんだって。
フェリちゃんの周りには大人も沢山いたみたいだけど、みんな一斉に逃げ出してしまって、小さかったフェリちゃんは足がすくんで逃げ出せなかったそうだ。
巨大なモンスターに詰め寄られて、もうダメだって思った時、一人の闘士が現れてカダライムと戦いを繰り広げ、フェリちゃんのことを助けてくれたらしい。
たった一人で勇敢に立ち向かう闘士の姿。
魔法や召喚カードを巧みに使って戦う姿が、フェリちゃんの瞳には凄くカッコ良く映ったそうだ。
胸の高鳴りは、恋とか愛に結び付かず、強い憧れになった。自分もあんな闘士になりたいという憧れに。
自分のような弱者が困っている時、颯爽と駆け付け手を差し伸べる。
そんなヒーローみたいな闘士になるのが、フェリちゃんの夢らしい。
なるほどね。だから、男勝りな口調なんだね。
でもって、ウンエイに入ることで力を付けられれば、自分の夢に近付くと。
うーん、合格!
チート能力を使ってハーレム作りたいだけの俺なんかより、よっぽど真っ当な理由だよ! こういう子にこそロリさまの恩恵を受けて欲しいね!
「取り敢えずさ、ウンエイって組織になってないんだよね。だからさ、ロリさまに相談してみるよ」
「は? ロリ……ってアウナス様のことかよ? つか、相談って気軽に言って、ブルはアウナス様のなんなんだよ」
「マブダチ? 交換日記してるし」
「ぶはっ! 神様と交換日記だ!? 本気で言ってんのかよ!」
「本当だって」
俺はツクヨミに持ち歩かせている日記を取り出して貰って、フェリちゃんに手渡した。
それを受け取ったフェリちゃんがページを捲っていくと、その表情がどんどん怪訝なものへと変わっていく。
「……随分とフランクな神様だな」
「まあね。でも、腐っても神だから、日記を忘れた時山みたいなモンスター召喚されてビビったよ」
「このウシドーンってやつか……確かにキャロットが過去に無い凶悪なモンスターに襲われたって話は聞いたが、それってSランクの闘士が倒したんじゃ……そのSランクの闘士って誰だ?」
う、フェリちゃん鋭い……。
「……俺と一緒にウシドーンと戦った子だよ」
「そいつが【LG】持ちか?」
「…………そうだけど」
「ってことは、そいつの【LG】はブルが【実装】したもんだな!」
なんでわかんの!
レインもそうだけど、名探偵多過ぎ!
俺が驚いた表情をしていると、フェリちゃんは小さく溜息を吐いた。
「いや、【LG】なんてものを【実装】出来る奴が、何人もいるって考える方が不自然だろ」
まあ、そうだよね。
しかも俺ってば反応でわかり易いし。
でもね。エディナの事については、絶対に言わないんだ!
読んでくださりありがとうございます。
何故同じ時間に書き終わるのか!
不思議である!




