【013】男の子ですもんね!
俺の名はブル。姓はドッグ。
ふざけた名前だろう? だがしかし、俺の天使が可愛いって言うんだぜ? つまりそれは、これ以上ないくらい最高の名前だってことさ。
ロリさまよ。目論見が外れたな。よし、このことは今日の日記へ自慢気に書いてやろう。そうすれば、ロリさまもさぞかし悔しがるだろう。
ざまあみろっ!
「ちょっとブル! 変な顔してないで手伝ってよ」
エディナが散乱している荷物から、使えそうな物を漁っている。
ああ、エルフに名前を呼ばれるのって、なんて素晴らしいんだろう。
俺の名はブル! ぬふふ。いかん、癖になりそうだ。
俺は小躍りしながら、エディナを手伝って荷物を掻き集めた。
「幾らか食料もあるし、街までは保ちそうかな」
集めた物資をみてエディナはそう言った。
元は俺たちの物じゃないけど、そんなことは知らない。だって落ちているんだもの。盗みじゃない。
エディナだって当然のように拾い集めているし、きっと問題ない筈だ。
「街まで一緒に行くでしょ?」
「当然! というか、今エディナに見捨てられたら、右も左もわからない俺は、路頭に迷っちゃうよ」
「まあ、記憶がないんじゃそうよね。じゃあ、さっさと行きましょう。夜になる前に森を抜けたいわ」
そう言ってエディナは、集めた物資を指差す。
え? どういうことですか?
……いや、わかるよ。わかってますよ。男の子ですもんね。
俺はエディナに促されるまま、物資を大きなリュックに入れて背負うことになった。
…………重い。
三十分ほど森に囲まれた街道を歩いていると、俺の疲れは既にピークに達していた。
俺の背負っている荷物は、使えそうな物を詰め込んだ大きなリュックが三つ。
三つだぜ? 信じられるか? 対してエディナは肩がけの鞄を二つ持っているだけだ。
だって仕方ないだろ? いいところ見せたかったんだもん。完全に自業自得です。はい。
ぐう。何故だ。この体は何故こんなにも軟弱なのだ。
前を歩くエディナの尻を目で追いかけていなければ、俺は既にギブアップしていたかもしれない。
頑張れ俺! あの尻を俺の物にするまで! 限界を超えろ! 小宇宙を燃やすんだ!
頑張る俺のことを前を歩くエディナがチラチラとみてくる。
ぐおおお! フラフラすんな俺! ケツを引き締めて胸を張れ! 情け無い姿なんか見せるんじゃねえ!
エディナと目が合うと、俺は爽やかな笑顔を返した。
待て。なんでそこで、げっ! 気持ち悪っ! みたいな顔をするんだよ!
俺が人生で一番の頑張りを見せていると、前を歩いていたエディナがピタリと足を止めた。
危うくつんのめりそうになって、俺はなんとか足を踏ん張り停止する。
「やっぱり無理があったわね」
「え? なにがだい?」
俺は努めて冷静に声を出す。ぜいぜいと息を切らしているから、疲弊していることがバレてない自信はこれっぽっちもないけどな!
「いや、そんな辛そうな顔で言われても……。ちょっと荷物を減らしましょう」
「だだだ、大丈夫だよ」
「でも、そんな大荷物運ぶなら、普通は召喚モンスターを出して運ばせるわよ?」
「え?」
「私の手持ちが今は使えないから甘えちゃったけど、さすがにその量は無理があったわね」
なにそれ。召喚モンスターって、カードバトルで使用するもんじゃないの? 日常的に使える感じ?
とそこで俺はティンと来た。
「【白無垢】のカードで、召喚モンスターを召喚することはできるか?」
「え? 出来るけど……って本気で言って……あー、そっか。記憶が無いんだったわね。じゃあ、一応説明してあげる」
そう言って、エディナは俺に【白無垢】についての説明をしてくれた。
読んで頂きありがとう御座います。
ココアに塩を少々入れると驚くほど甘みが増すらしいんです。そんな情報を仕入れたら当然試してみたくなるわけです。でもって試しましたとも。結果……ココアはしょっぱくなりましたw
原材料見たら既に塩入ってますやーん。
ココアに塩を入れる時は、原材料の確認を忘れずにね!