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【120】起きたらまた……

 チュンチュンチヨ。


 あ、目が覚めた。


 リズムを狂わせてくれる小鳥の鳴き声で、いつも通り目を覚ました。


 昨日はレインと話をしてたらなんだかんだで時間が過ぎてしまったので、夕食をみんなで外へ食べに行った。帰って来たあともレインとチェスみたいなボードゲームをやって、そのあと眠くなったので日記を書いて眠りについたのだ。


 パートナーがどうだのうるさいけど、レインと遊んでいるのもそれなりに楽しい。やっぱり男の子は、女の子と話しをするだけでもウキウキしてしまうものなのだろう。


 そして、乗せられたというのもあるのだろうが、俺は昨日、レインのパートナーとなる事を了承した。


 と言っても、良く分からない関係になったわけじゃない。何かにつけて協力するよって意味で、ちょっと親しい友達になっただけだ。


 文字通り、相棒って感じかな?


 レインが何故パートナーを求めているのかは聞いてない。何か事情があるのだろうが、真面目な話を長時間するのも嫌だった。それに、そもそもそんなに悪い子に見えないから好きなように利用してくれって感じでもある。


 大きな問題を起こしてくれなければ、大概のことはツクヨミやセンに任せれば何とかなるだろうし。


 因みにレインを起こすお仕事も任された。


 血が足りなくて寝起きが悪かっただけだと思ってたんだけど、どうやら元々寝起きは悪いらしい。


 まあ、それでも昨日のように噛み付かれる事は、そうそうないだろう。


 噛み付かれないのであれば、スケスケレインを起こしに行くのは、ただのご褒美にしかならないので、俺は二つ返事で承諾してしまった。


 そんなわけで俺は、今日もレインを起こしに行かなくちゃいけない。


 さっさとベッドから抜け出し、起き上がろうと思ったのだが……。


 おかしいな。ツクヨミやセンは別のベッドで寝ている筈なのに、体に何かが巻き付いている感覚がする。


 ツクヨミの衣みたいに苦しくないし、センみたいに力いっぱい抱き着いてる感じじゃない。あと、なんか良い匂いするんだけど。


 恐る恐る毛布を捲って中を覗き見ると、桃色の頭頂部が見えた。顔は俺の胸元に埋められていて、浅く呼吸を繰り返しいるのか、全体が上下に小さく揺れている。


 何故だ!


 部屋の鍵は閉めた筈だし、どうやって入り込んだ!


 俺が首を回して周囲を見渡すと、そこには見慣れない高級そうな家具が並んでいる。


 あれ? 俺の部屋じゃない?


 よくよく見ればそこは、【305】号室ではなく、レインの部屋である【307】号室であった。


 どうやら入り込んだのはレインではなく俺の方らしい。いや全く記憶にないんですが! 怖いんですが!


 どうしようかと考えていると、レインが俺の胸元をガジガジ噛んでくる。


 あいたっ! ちょ、寝ぼけてるみたいだけど、結構痛いから! なんか一部鋭い歯があるんですけど!


 モゾモゾと動いてレインのガジガジを躱していると、レインが目を覚ましてしまった。


 あ、やばい。言い訳とか考えてなかった。


 そう思ってると、レインは気にした様子もなく、俺の胸元へ顔を埋める。


 そしてガブリッ!


「あいたー!」


 思わず声が出た。


「あら、ごめんなさい。美味しそうな匂いがするからつい」


 この状況で言われるとちょっとゾクゾクしなくもない台詞だけど、レインの場合まじで食事として美味しそうって言ってるから怖い。


「それはいいけど、なんで俺はレインのベッドで寝てるんだよ」


「覚えてないの?」


 えー、まじで記憶にないんだけど。本気で自分のことが怖くなって来た。


「センにお願いして、寝ている間に運んで貰ったのよ」


 覚えてるわけねー! つか、あのキツネは何やってんだよ!


 俺の考えを察したのか、レインが補足を入れてくれる。


「高級狐揚げをあげたら、快く引き受けてくれたわ」


 買収されてるー! しかも、大した金額じゃないー!


 もう怒りました。あのキツネには、お仕置きが必要なようです。

読んでくださりありがとうございます。

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