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【118】天才なのにゃー!

 メイド喫茶。


 それは、貴族でもない一般市民がひと時の間ではあるが、ご主人様となれる仮初めの空間。


 お帰りなさいませと出迎えられて、行ってらっしゃいませと送り出される第二の我が家である。


 側で控えている彼女たちは、手上げるだけで動き出し洗練された所作でご奉仕してくれる。


 時には話し相手になってくれたり、時には身嗜みを整えてくれたり、食事をあーんしてくれるのは当然別料金。


 というより、メイドにかかる金額は全てご主人様のお支払いである。ご指名制もあるから、そこにもプラスで料金がかかり、ご主人様たちは競い合いようにお気に入りのメイドにお金を使う。


 そして、支払った金額でスタンプが貰える。


 そのスタンプが溜まると、一日王様扱いしてくれるとかなんとか。


 俺が適当に想像も交えてメイド喫茶について語ると、ネコミミちゃんは目をキラキラさせて俺の話を聞いていた。


「て、てて……」


 て?


「天才にゃー!」


 わかるかい? そう、俺ってば天才だったわけよ。まあ、俺が考えたシステムじゃないけどね。寧ろ、課金制にするとカフェじゃなくてキャバクラになっちゃうから気を付けてね。


「そ、そんなお店が別の街にはあるのかにゃ?」


「いや、たぶんないよ。俺の想像だし」


「やっぱり、天才にゃー!」


 ふふん。もっと言ってくれて良いんだよ。


「で、出来るにゃ! その喫茶店ができれば、他の追従を許さにゃい最強のケモケモ喫茶が出来るにゃ!」


 うーん、さすがにちょっと大袈裟じゃないかな? ほら、人気のお店って他も真似しちゃうしさ。真似出来ない長所を伸ばす方が良いと思うんだよね。例えば、コーヒーの味とかさ。


 一応注意もしようと思ったら、ネコミミちゃんは物凄い勢いでお礼を言って何処かへ行ってしまった。


 大丈夫だろうか。失敗しても俺の所為じゃないよね。


「てめぇ、メロディになにを吹き込んだんだよ!」


 ん? メロディ?


 ああ、ネコミミちゃんのことか。


 メロディちゃんと入れ替わるようにしてやって来たのはフェリちゃん。なんだかんだで、こっちを気にしてくれるんだから優しい子である。


「まあいいや。つか、さっさと帰れよ」


 うん、優しい子である。


「おかわりください!」


「てめぇは、話を聞いてたのかよ! こんなところで油を売ってないで、帰って勉強でもしてろよお坊っちゃま」


「いや、俺ってご褒美がないと頑張れないから……」


「そんな事情は知らねえよ! ったくなんなんだよ!」


 プリプリしながらもフェリちゃんは、伝票にカキカキして俺のお代わりを作りに行ってくれた。


 モフモフの尻尾を左右に振って歩く後ろ姿は、とっても可愛い。



 暫く待つとフェリちゃんがお代わりのカフェラテを持って来てくれた。


 あれ? さっきより機嫌が悪そうに見えるけど?


 フェリちゃんが俺の前にやってくると、カップをガンッと乱暴に置く。


 あちぃ! ちょっと跳ねたんですけど!


 俺が抗議の声をあげようとしたら、眉間に皺を寄せたフェリちゃんが苛立たしげに言った。


「店長が、てめぇを特別顧問で雇うっつってんだが!?」


 は? なにその話?


 俺ですら知らない事で怒らないで欲しい。


「てめぇがメロディに話した内容で大盛り上がりなんだが!」


 あ、そうですか。やるんだ、メイド喫茶。上手くいくと良いね。


 ああなるほど、それで意見を出した俺が特別顧問として扱われることになったのか。


 ……いや、待て! そもそもやるなんて話もしてないんだが!?


 勝手に決まってるだけなんだが!


 驚きでフェリちゃんのがうつってしまった。

読んでくださりありがとうございます。


特別顧問ってなんだよ!って思う人もいるかもしれません。そんな人はタグ見てね。ちゃん書いてあるでしょ、ご都合主義だって!

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