【117】ネコミミちゃんは真面目
ウサミミ店長さんに、殺すって言われました。
この世界に転生してから、殺すって言われたのは何回目だっけ? 前世ではそんな言葉、滅多に言われたことないと思うんだけど、この世界って過激ですね。
つか、フェリちゃん。矛先を変えてあげたんだから、後ろでやれやれーってウサミミ店長さんを応援しないで!
「あら、私ったら……失礼致しました」
意外にも直ぐに冷静さを取り戻した店長さんは、申し訳なさそうにペコリと頭を下げた。うむ、腐ってもプロである。接客を一応は分かっているのだろう。
まあ、そんなことよりも、頭を下げた勢いで長いウサミミがペチンと俺に当たるんですが……。
それに気が付いたウサミミ店長さんは、ごめなさいと言いながら再び頭を下げる。そうするとまたペチン。
あんた、わかっててやってるよね?
フェリちゃんもニヤニヤしない!
「店長! さっさと追い出しましょう!」
こらっ!
「駄目ですよフェリナス。一応、お客様なんですから」
一応ってなんだよ! 含みをもたせんなよ!
でもね、悪いけどそんなことじゃ俺は引かないんですよ。ケモっ娘の悪ノリなんて、センで慣れっこですから。
「とりあえず、フェリちゃんのお勧めを貰える?」
俺が平然と告げると、ウサミミ店長さんはちょっと驚いた顔をした。
「意外と図太いんですね」
やっぱ、あんたは接客向いてないよ。
「フェリナス、あなたのお勧めは?」
「はい、雑巾で濾したラテです!」
そんなメニューないだろ! ねえ、俺がフェリちゃんになんかしましたか? ちょっと抱き着いて、強引にお昼誘ったぐらいだよね? あ、ストーキングでお店にもやって来ました。普通にキモいね!
「さすがにそれは、せめて靴下とか……」
「いやいやいや! ん? 誰の靴下? フェリちゃんのだったら……うーん、良いよ!」
「よくねえ! その辺のおっさんのに決まってんだろ!」
「その辺のおっさんに迷惑をかけるな!」
俺たちがワーキャーしてると、ネコミミちゃんが目を釣り上げながら、席までやって来て言った。
「うるさいにゃ! 他のお客様に迷惑だにゃ!」
店長も含めて普通に怒られました。はい、すみません。
どうやら店長より、このネコミミちゃんの方がしっかりしてるらしい。ウサミミ店長さんは、俺やフェリちゃんと一緒になってシュンとしている。
「それで、お客様のご注文はなんにゃ?」
「えーと、それじゃカフェラテを一つもらえる?」
「わかったにゃ、ちょっと待つのにゃ」
そう言って、ネコミミちゃんは伝票にサラサラ記入して奥へ行ってしまった。
ついでに、ウサミミ店長さんとフェリちゃんに散れ散れ、と手で合図をして追い払っていった。
やるな、ネコミミちゃん。
程なくして、俺の前にはカフェラテが運ばれてくる。ちゃんと俺の知ってるカフェラテだ。鼻腔をくすぐるこの香りは、雑巾でも靴下でも濾してないだろう。
……たぶん。
では、さっそくいただきます。
グビッと一口飲むと……。
うまいっ! テーテッテレー。
飲み物は美味しいし、働くケモっ娘たちを眺められるこの環境は中々良い。
でも、何故だろう。
あんまりお客様さんの入りは多くない。
この世界の人たちはこの良さがわからないのかな?
気になったので、俺の横を通りかかったネコミミちゃんに聞いてみた。
「ねえ、このお店ってお客さんの入りはいつもこんな感じ?」
「日によるにゃ。でも、この通りは競合するカフェが多いから、客引きが大変なのにゃ」
「そうなんだ。ケモっ娘がいっぱいで、飲み物も美味しくてパラダイスだと思うんだけどね。集客って大変なんだね」
「そうにゃ。お客様は意外とわかってるにゃ。狙い通りのはずにゃのに、なかなかお客さんが増えないのにゃ」
「これでメイド喫茶とかだったら、もっとお客さんも増えそうだけどね」
俺がなんとなく言った言葉に、ネコミミちゃんは凄い勢いで食い付いて来た。
「なんにゃ? メイド喫茶って? はじめて聞くにゃ」
お、興味深々だぞ。
これは上手く話をすれば、ここの制服がメイドになる事もあるでないで。
メイド姿のフェリちゃん……ありですね!
読んでくださりありがとうございます。
凄えよ! 学園に行ったらカードバトルに発展すると思ってたら、そんな気配が微塵もない!
そんな馬鹿な!




