【114】みんなの放課後事情
「と、ところでさ。みんなは放課後に、何をして過ごしてるの?」
わーわーぎゃーぎゃー、質問攻めに合っていた俺は、少し大きな声でそれを遮った。
折角なので、放課後の過ごし方についての参考にしたかったのだ。
「私は図書室に行ってお勉強なの!」
そうなんだ。さすがクラス委員長だね。
お手本のような答えにも納得。けど、ちょっと勉強はしたくないかな?
「私は部活行ったり、研究室に顔出したりしてるね」
「部活ってなに部?」
「無双部だね!」
無双部? なにそれ、全く想像出来ないんですけど。
「無双部って?」
「え? 無双する部活だけど?」
だからその無双ってなんだよ! 戦い抜くのか! つか、無双って集団でやるもんなのか? まあ、チームや軍隊で無双するとかはあるけど、なにを無双すんのかまるでわからん。
「じゃ、じゃあ、研究室は?」
「無双研究会」
はい、ダメー。ディーナは参考にならないー。
「俺は―――」
「セレナは何してるの?」
「えっと、私は―――」
「ちょっとちょっと、俺の事飛ばさないでよー!」
チッ、うっさい奴め。お前の話は興味ないんだよイケメン。
「セレナに被せて発言するとか、非常識だと思うよ。ファッキュウは一人でリアを充電して来た方が良いんじゃない?」
「俺に被せたのブルだよね! あと、俺はファイツね!ファ・イ・ツ! そんな罵るような名前じゃないからー! それにリアを充電ってなんだよー、ブルはツッコミどころの宝石箱かよー」
こいつまじウゼー。
しかも、律儀に全部ツッコミ入れてくるとか、イケメン過ぎんだろ。良いやつかよっ!
ただし、返しは面白くない。あと、イケメンは絶滅して欲しい。
「俺はアルバイトをしてるよ」
「苦学生か。イケメンでしかも頑張ってるとか、やはり相容れないな」
「いやー、そうじゃなくて遊ぶお金が欲しいんだよねー。女の子ときゃっきゃウフフをするのが楽しいっていうかさー」
フハハハ! ついに正体を現したなイケメンの面を被った悪魔め! その面で何人の女を泣かせて来た! あーん? なに? 今まで食ったパンの枚数を覚えているかだと!?
この野郎!
「そんな事言ってますけど、ファイツは学費を一日でも早く返そうと頑張ってるんですよ」
「ちょっとセレナー、そういうのは言わないから良いんじゃないかー」
ががーん。本物のイケメンやった。
表面も内面も負けるとかショックで立ち直れません。
「私もアルバイトをしながら、空いた時間で勉強してますね」
「うーん、みんな頑張ってるんだね」
なんてこった。俺の知ってる学生さんは、遊ぶ事しか考えてない奴ばっかりだったのに、ここの学生さんは真面目な子が多くて逆に困る。
「貴族でもないとここの学費は安くないの! 貴族のブル君が羨ましいの!」
「そうだね。でもまあ、俺は名前だけで家とはあんまり関係ないから、貴族扱いしなくて良いよ」
「関係ないなんて言ったらダメなの。お金を出して貰ってる内は感謝しなくちゃダメなの!」
「ああ、俺、家から支援を受けてないから、本当にあんまり関係ないんだって」
「え?」
俺がそう言うと一同は首を傾げた。
「ブルさあー、従者を二人も連れてるんだよね?」
「そうだけど?」
「随分と高そうな服着てるよね?」
「マルーイで安く売ってた服だよ」
「レイン様と親しそうでしたよね?」
「まあ、あの子が勝手に絡んでくるんだよね」
「ブル君、お家の支援がなくて、入学時の頭金はどうしたなの?」
「頭金というか、全部一括で支払ったけど?」
シーン。
急にみんなが黙りこくってしまった。
あれ、なんかおかしかった? あ、いや、おかしかったかもしれない。けど、あんまり嘘ばかりつきたくないんだよね。あとあと面倒臭くなるし。
でも、入学金とかの話はしない方が良かったかな?
俺がそう思っていると、一斉に指を差されて言われた。
「「「「おかしい!」」」
ですよねー。
指摘をされつつも、みんなの視線は興味深々だ。
さて、順風満帆な学園生活を送るには、なんて説明するのが正解なのかな?
読んでくださりありがとうございます。
令和のこの時代に昭和みたいな事を言うなと言われました。
自分は急ぐ事を「ダッシュで!」って言ったんですけど、どうやら古いらしい。
じゃあ、今時はなんて言うのが正解なのかと聞いたら、その人はこう言った。
「ちょっぱや?」
ヤンキーかよ!




