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111/204

【111】何しに来たんだろう?

「あー、いたいた!」


 注目を集めながらセンが俺の方へと駆け寄って、ガシッと抱き着いて来た。


 あのさ、人目があるんだから、もう少し自重して欲しいんですが。そう思うものの、センが抱き着いてくると、豊満なおっぱいが俺に当たるから強くは抵抗出来ない。


 恐るべし、おっぱいの魔力。


 ツクヨミは抱き着いて来ないけど、眠そうな瞳をしたまま、俺の後ろへ音もなく回り込む。


 食堂にいた生徒たちは、一様にセンとツクヨミを凝視しているんだけど……。


 余計に注目を集めてるのは、なんでだろう?


「あれって忍者か?」


「あの獣人の毛並み見たかよ」


「あの二人って従者? 珍しい格好だけど?」


「レイン様とも親しげにしてるし、あいつ何者なんだ?」


「あんな可愛い女の子を連れてるとか、死ねばいいのに」


 あー、そうですか。


 ヒソヒソ話をされてますけど、答えを教えてくれてありがとう。だけどおまいら、ヒソヒソするならもっとボリューム下げろな!


「二人とも遅くない? もうお昼だよ」


「えー、だって従者は授業が終わるまで教室には入れないって言うんだもん」


「あ、そうなんだ。じゃあ、今までどこにいたの?」


「学園をプラプラしてたの。お昼になったから、食堂にいるかなって。ねぇ、うーめん食べて良い?」


 いるかなって、千里眼で見てただろうに。


「この食堂は学生専用よ。従者が食事をすることはできないわ」


 レインが口を挟むとセンは、いつも通りメンチを切った。


 ほんと俺以外が話しかけると直ぐに威嚇するんだから。でも凄いね。レインは動じる様子もなく言葉を続ける。


「だから、私がご馳走してあげるわ。スズネ、マルモットのお店に連絡を入れてちょうだい」


 レインに命令されると、スズネちゃんは一瞬だけ姿を現して直ぐに何処かへ消えてしまった。


「なんじゃ、淫乱ピンク。我に媚びへつらうとは、殊勝な心掛けじゃな」


「い、いんら―――まあ、良いわ。あと、媚びを売るのではなく、私はあなたたちとも仲良くなりたいのよ」


「ふむ、なるほど。偽らない言葉は、僅かではあるが好感が持てる。まあ、あとはお主が思い描いたフルコースとやらが、我を満たせるかどうかといったところか」


「なっ! なんで私の考えてる事が!」


「ふん、淫乱ピンクの考えなぞ、手に取るようにわかる。まあ良い、チビじゃり、マルモットという店に行くぞ」


 いやー、凄いね。俺ってば一言も発して無いのに、話が勝手に進んで行くよ。ご主人様の許可もなく、勝手にどっか行くとか自由過ぎやしませんかね。別に良いけど。


「え? いや、お店にはまだ―――」


 レインが言いかけると、センは手をかざして空間を捻じ曲げた。


 なんで空間を捻じ曲げたかわかるのかというと、センの目の前にぽっかりと穴が空き、その向こう側によく知らない通りが見えるからである。


 そして、センがレインの言葉も聞かずにその穴へ足を踏み入れると、その後ろからツクヨミが蹴りを入れた。


「あびゃっ!」


 変な声を上げてセンが穴の向こう側に行ってしまうと、ツクヨミがこっちへ振り返る。


「行ってくる」


 意外にも律儀なツクヨミ。


「うん、良いけど喧嘩しちゃ駄目だよ。あと、多分準備とかまだ出来てないから、その事で揉めちゃ駄目だからね」


「わかった」


 ツクヨミが穴に入り込むと、その穴は直ぐに消えて無くなってしまった。


 ふう、まったくあの二人は無茶苦茶なんだから。


 ―――ざわ、ざわ。


「おいっ! お前の従者が消えたぞ!」


 一部始終を目撃していた皆さんがざわつき、フェリちゃんが怒鳴った。


 おおぅ。そうだった注目を集めていたんだった。


 チラリとレインの方を見たけど、呆れ顔をこっちに向けている。これは駄目だ、味方になってくれなそうだ。


 というわけで、俺はフェリちゃんに素直な言葉で言った。


「うちの子は凄いんだよ」


「凄いとかそういう次元じゃねえよ!」


 うん、その通りですね。

お読みくださりありがとうございます。


GW終わり!おわーり。

意外と忙しくて草生えた。大草原。森になったね!

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