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【109】強引な方がいいって誰かが言ってた

「どうしたんだね? フェリナス」


 急に立ち上がるもんだから、フェリちゃんは当然先生に問いかけられた。


「いえ、なんでもありません」


 そう言って直ぐに着席する。


 フェリちゃんもそれ以上の反応をしないから、先生は訝しむように見ていたけど授業を再開した。



 二限目。


 授業内容は数学だった。うげぇ。


 どうやらカードとは関係ない教養の授業もいくつかあるみたい。


 嫌だなぁと思っていたら内容は非常に簡単なものだった。


 小難しい数式とかの話ではなく普通に足す引くかける割るが出来れば問題ない内容。つまり、数学じゃなくて算数だね。


 貴族じゃない一般の生徒もいるから、最低限の教養を身に付ける為なのかな? 俺のいた世界じゃ当たり前のように小学生低学年で教わる内容だけど、そもそも俺らは【6年間+3年間+3年間+α】で十数年かけて勉強しているのである。


 それに比べてこちらは、高い入学金を支払った人だけが四年間だ。カードについての勉強の片手間でやるには、そこまで難しい内容には触れられないのかもしれない。


 俺としては楽できて嬉しいけどね。


 俺が配られた問題用紙をあっという間に解いて暇そうにしていると、フェリちゃんがまた俺を睨んでいた。


「なにかな?」


「うるせぇ、話かけんな」


 えー。見てたのそっちだよね?



 三限目。


 言語のお時間です。要するに国語だね。


 これに関しては完全にお手上げです。だって俺、日本語しか読み書き出来ねえもん。


 と、思っていた時期が俺にもありました。書けます読めます、アルス語にマルス語。


 そういえばこっちにやって来てから、言語や文字で困ったことって一度もなかったわ。これはあれか、転生した時の特典ってやつだね。サンキューロッリ!


 というわけで、この授業も特に考えることなくスラスラ用紙を埋めてお仕舞い。うーむ、暇だ。


 俺が暇そうにしてると、またフェリちゃんが睨んで来た。


 なんでなん?



 というわけでお昼である。


 お昼の鐘が鳴るとみんな席を立って、教室を出て行く。大体の人たちが食堂へ行くのかな?


 フェリちゃんも無言で立ち上がると、俺の事を無視して何処かへ行こうとする。


 俺はそんなフェリちゃんの腕をガシッと掴んだ。


「キャッ! って、てめぇなにすんだ!」


 キャッ、だって。ふふふ、ギャップ萌えですね。知ってますよ。


「入学したばかりで右も左もわからない俺を置いて行くなんて、酷いと思わないか?」


「別に。誰か優しそうな奴に案内でもしてもらったら良いだろ!」


「じゃあ、案内とかしてくれる?」


「話聞いてたのかよっ!」


「え? フェリちゃんが優しそうに見えたから聞いてるんだけど?」


「なっ! 変な呼び方してんじゃねぇ!」


「じゃあ、なんて呼べばいいんだよ」


「うるせぇ、俺に関わんな! 話しかけんな!」


「断る!」


 なんだこいつ、みたいな目で見られてるけど、普通断るよね? 可愛い女の子と仲良くなりたいって普通だよね? あれ? 俺がおかしいのか?


 フェリちゃんは溜め息を吐いた。


「なんなんだよ、てめぇは。仕方ねぇな、食堂に案内するだけだからな」


 そう言うと、フェリちゃんは俺の手を振り払って、付いて来いと合図して来た。


 よしよし、このまま強引な感じで仲良くなって行こう。俺がそう思って、フェリちゃんへ付いて行こうとすると。


 教室の扉がバーン、と開け放たれた。


 見ればそこに立っていたのは、桃色のツインテールをしたヴァンパイア、レインだった。


 教室内は騒然となる。


 なんだかみんな、レインを怖がっているように見えるんだけど……。


「レ、レイン様、どうなさったのですか?」


 メガネをかけた委員長みたいな生徒が、恐る恐るといった感じでレインに話しかけた。


「ブルは居るかしら?」


「え? 本日入学された方ですか? それでしたらあちらに」


 委員長ちゃんは、俺を指差した。


「あら? ありがとう。ブル、何をしているのさっさと行くわよ」


 レインがさも当然のように言うと、周囲の生徒たちは騒ついた。俺の内心も騒ついた。


 あいつ何者だ? とか、レイン様とどういう関係だ? とかヒソヒソと囁かれてるけど、全部聞こえてるからな。おまいらもうちょっとボリューム下げろな。


「レイン、悪いんだけどさ。俺はこれからフェリちゃんと食堂行くから、また後でな」


 俺が普通にそう言うと、周囲はギョッとした目を向けて来る。フェリちゃんまで、瞳が馬鹿なのこいつって語っている。


 なに? 俺なんかおかしな事言ったか?


「ブル、あなたね。私を誰だと思っているの!」


「え? 寂しがり屋ヴァンパイアちゃん?」


「違う! イーヴィル家の次期当主、レイン・ゼノ・イーヴィルとは私のことよ!」


「それ、もう何度も聞いたよ。じゃあ、レインも一緒に食堂行く?」


「わ、私がついでみたいな扱いですって!」


「行かないの?」


「行くわよ!」


 結局行くんかい。


「いや、レインお嬢様と約束してるなら、俺は行く必要ねぇだろ」


 フェリちゃんがそんなことを言って来たけど、俺はフェリちゃんの腕をガッシリ掴んで捕まえていた。


 強気なフェリちゃんも、レインには弱いみたいだから丁度良い。一緒にご飯を食べる機会を俺は強引にゲットしたのだった。

お読みくださりありがとうございます。


あ、パリスと絡ませるの忘れてた。

まあいっか、野郎の事とかどうでも良いね。

どうせその内ツクヨミあたりにポコパンされるだけだしね。

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